6.ユズとリッタ
(「・ω・)「ガオー
「おーい、リッタ
今日は野菜をもらったよ
夜ご飯はスープかな」
家に帰り着くと
ボクは黒髪の女の子に話しかける
「おかえり、ユズ
ちゃんとお礼はいったのかい
こんな小さな村なんだから
交友関係は大事にしなきゃいけないよ」
新しい世界に飛ばされてからも
あの狭間で出会った案内人との生活は続いている。
この世界でのボクはユズという
男の子の場所にはまったようだ。
このラルという村で
1人暮らしをしており、両親は既にいなかった。
村の規模からいっても孤児院なんて施設はない為
この家でリッタと共に暮らしている。
今のリッタは狭間でイメージした姿をしているが
発する言葉に合わせてちゃんと口も動いている。
どこから見ても不自然さのない人間となっていた。
「まだ怒ってる?」
定期的に確認してしまうことも
リッタを刺激してしまうとわかっているが
それでもやはり確認してしまう。
「ユズがあんな願い事をしたせいで
身体の感覚には慣れないうえ
歩くと疲れるわ
お腹はすくわ
眠くもなるわ って、、、
それに人間に近づいたからか
1人で居ることが不安だったり
キミがちゃんと帰ってくるか心配だったり
してしまう感情ってのもやっかいだ
人間がこんなにめんどくさいモノだなんて
なってみなきゃわからないね」
案内人をしていた僕とはまるで違うみたいだ、と
愚痴をこぼしながらリッタが続ける。
「でも、いい加減あきらめたさ
この状況を受け入れる努力をしているよ
僕が案内してきた人やモノも
こんな気持ちだったのかな
誰に与えられたか分からない案内人としての
自分も嫌いではなかったんだけどね
僕も予期せぬ事態だったが仕方ない
一緒に生きてくれるんだろう?」
何度目かも分からない問いかけに
初めて前向きな言葉を貰いボクは嬉しくなった。
「もちろん!
ずっと一緒に暮らそうね」
リッタの言葉に安心して緊張が抜けかけた時
「でも、、、」
まだ話は終わっていなかったのかと少し慌てたが
感情がそのまま表情に表れるようになった
リッタからは怒った様子はみられない。
「でも、今となってはこの世界が僕たちの現実だ
この世界の大枠を知っているだけで
"何の力も持てない"僕と
この世界に来たばかりのキミが
これからどうやって生きていくつもりなのか
話してもらおうじゃないか
キミが僕を巻き込んだんだから
全ての責任はキミにあるんだからね」