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4.スキル

(「・ω・)「ガオー




この狭間に立て籠もり始めて

どのぐらいが経っただろうか。



黒髪の女の子とも随分仲良くなることができた。



出会ってすぐのボクは必死で

次に送られる世界について少しでも情報を、、

と質問攻めをしていたわけだが

いまとなってはお互いに会話がなくても

気まずさを感じない関係となった。




⋯ボクが思っているだけだろうけどね。




次の世界に辿り着いたことを確認するまでが

案内人の役割とのことで、ボクがいる限り

次の迷い人は割り振られることはないらしい。




現状、この狭間は誰にも邪魔されることのない

2人だけの空間なのである。




もっともボクが行くことになる世界は

既に決まっており、

その世界についての説明も受けたのだが、、、





「⋯そろそろ行く気になってくれたかい?」




何度目になるか分からない言葉を投げつけられる。


少なくとも日本よりは危険な場所であろう。


行きたいわけがない。


でも、行かなくても済むという未来はない

こと位は理解している。










ボクの向かう世界にはスキルがあるらしい。


「世界を移動する前に

 ここでスキルを創り出していくのさ」



その話を聞いた時、

創り出すスキルによって次の世界での

生活が大きく変わることになると思った。




「悩むならしっかり悩みなよ

 暫くここに居てもいいからさ」



との優しい声掛け(言質)を頂いた為、

この狭間に居座っている状況なのだ。



国外はもちろん、県外にだってあまり

行きたくなかったのに異世界に行くことに

なるなんて喜ぶようなことではない。




スキルを吟味するふりをして時間を稼いでいる。

異世界、怖い。




正直に言うと、

スキルの選択は大きく悩むようなことはなかった。



というのも、

この狭間に迷い込んだ人やモノが

次の世界に行く際には

それまでの自分の生き方や

成し遂げてきたことなどを

エネルギーに変換することにより

次の世界に持ち込むスキルを

創り出すという形となっているらしい。




日本という平和な国に生まれたボクには

大きなエネルギーを生むような劇的な人生を

歩んだ歴史がない。


つまりスキルを創り出すための元手がないのだ。




残された選択肢としてはエネルギーの

必要のない能力の獲得となる。




例えば

魔法がある世界から魔法のない世界に移動する

場合や、スキルがある世界からスキルのない

世界に移動する場合などのように、

持っていくことができなかった魔法や

スキルといった能力がここには保管されている。




それらを選んでも良いという説明を受けて、

ボクもスキルを獲得できるという安心を得ると共に

期待で心を弾ませていたわけなのだが、、




よく考えればすぐに分かることだ。

この狭間には

世界を救ったような英雄が来るわけでもなければ、

生涯を魔法に捧げて真髄を極めた大賢者が

来るわけでもない。



ボクのようにたまたま狭間に入ってしまった

人やモノが大半なのだ。



つまり、

スキルの説明を受けた時に想像していたような、

"強くて" "便利で" "世界を救える" ような

能力はここにはないのである。




それでもスキルを持っていかないという選択肢はない



悩みに悩んで、時には悩んだフリをしながらも

次の世界に持っていきたいスキルを

決めることができた。



⋯⋯決めてしまった。








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