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見返りありきの装備職人  作者: 隠し子
魔の森の主
46/50

やってきた卵の話 - 5

(「・ω・)「ガオー



「結論から言っちゃうとね、ドラゴンさん


 ――君はこの世界の存在じゃないんだ」



ユズはいつもの調子で、あっけらかんと告げた




「“この世界”の存在じゃない……? 

 その言い方だと、

 世界がひとつじゃないみたいであるな」



ドラゴンはポンの前だからか

少し柔らかく笑いながら問い返した


その表情には

不思議と威圧感よりも可愛げがあった




「察しがいいのさ!」

ユズの隣に居たリッタが一歩前へ出る


案内人としての経験を生かして

世界の構造について簡潔に説明していく




「この宇宙にはね

 いくつかの“世界”が並んで存在しているのさ


 それぞれが自分たちの法則を持ち

 普段は互いに干渉しない



 けれど、時折 “境界” が揺らいで

  ――“存在”が流れ込むことがあるのさ」




「つまり吾輩は……ユズと同じように

 “世界を渡った”ということなのじゃろうか?」


予想外の言葉に、ドラゴンの口調が素に戻る……

その一瞬、ポンの鋭い視線が横から飛んできた



「ちょっと違うんだ」ユズが続ける



「僕は“案内人”の導きで

 狭間を経由して渡ってきた



 でも君は――渡ったわけじゃない

 狭間を通らずにただ流れ込んできたんだ」




ユズの声が少しだけ沈む




「リッタが言ったように……


 君がその姿になったのも

 この世界に来てしまったのも


 君自身の 力でも “願い” でもない


 神様が僕を呼んだ理由は

 “近くの世界”が――1つ消えたからなんだ」




「……世界 なくなる?」

コンとポンが同時に首をかしげる



「そう。文明が滅びたとか

 大災害があったとか、、そういう話じゃないんだ


 “世界そのもの”がね

 跡形もなく消えちゃったんだって」



ユズは静かに語りはじめた



神から聞いた話――

“とある存在”たちが大きな力を得ようと

世界を巻き込む儀式を行ったこと


その目的は戦争だったのか

ただの欲望だったのかはわからないけれど



そこで生まれた “力” は誰にも制御できず

誕生と同時に世界を飲み込み滅ぼしてしまった




「……そして、居場所をなくして彷徨った"力"が

 “境界の綻び”からこの世界へ流れ着いた」



ユズは言葉を選びながら続けた



「君がもとは何だったのか、僕にもわからない


 儀式を行った魔法使いのひとりかもしれないし

 "とある存在"とやらが

 1つになって生まれたモノかもしれない



 それでも確かなのは……

 キミが生まれたことに耐えきれず世界が滅びた



 ――キミの中には僕やリッタを超えるほどの力が

   眠っているってことだ」



ユズの言葉にリッタが続ける



「膨大な力が"卵"としてこの世界に流れ着いた……


 そして無事に孵ったいまのキミの姿は

 その世界の"力"の象徴でもあるのだろうさ」






しばしの沈黙


そして、ポンが優しく問いかける



「……で、どう したいの?」



その声には、親としての温かさが滲んでいた


“生まれが何であれ、今ここにいる子”を

見つめる眼差しにドラゴンは静かに目を伏せた



「何も覚えておらん……が、

 吾輩が世界を滅ぼした存在なのかもしれぬのだな

 



 だが、、この姿にはどうにも違和感があるのだ



 かつての世界にも、、元の姿にも戻れぬとしても

 ――せめて、本来の姿を知りたいものじゃ」



ユズは一瞬だけ微笑み、目を細める。



「――君の その"願い" 叶えてみよう」



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