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見返りありきの装備職人  作者: 隠し子
魔の森の主
33/50

少女の話 ‐ 9

(「・ω・)「ガオー



少女は歩いていた


かつて

“魔の森”へと駆けたときのような焦りはもうない



今はただ、景色を楽しみ、露店を覗き、

行き交う人々と笑顔を交わしながら──


生きていることを楽しんでいた



家族を失い

あの森で生涯を閉じようとしていたあの日



けれど洞窟で見た光景は

信じがたいほど鮮烈だった



"神"であるユズたちに願えば、もしかしたら──


家族のもとへ行けるのではないか

そんな希望が、胸の奥に灯っていた



もし家族に会えたなら、何を話そうか


“魔の森の主”と出会ったこと


自分の身体が“ナニカ”と戦ったこと


“神様”と話したこと


たった数日ではあるが

お土産話はいくつもいくつも溢れてくる



"願い" の代償に何を求められるだろう


ユズやリッタに渡せるものは何だろう


──たとえ無理難題でも


家族と再び会えるのなら


その為なら何十年だって頑張れそうな気がしていた



---



“魔の森”にたどり着くと

コンとポンが出迎えてくれた


ジットにペンダントを返しているため

此処から先へは"道案内"が必要なのだろう


少女がジットのあれからを尋ねると


「「 ジット  骨  バキバキ 」」

「「 ジット 今頃 グーグー 」」


「アズラ 心配」 「ジット が 悪い!」


いつもの調子でジットへ責任を押しつける

2人に少女は思わず笑ってしまう



そしてふと、気になっていたことを尋ねてみた



「アズラさんとジットさんってご結婚されてるの?    

 

 少し年が離れてるように見えるけど……」



すると2人は顔を見合わせ、そろって小声で言った



「「……トトさま に 聞くといい」」



急に雰囲気が変わる

慌てて話題を変えようと少女は元気に言葉を返す



「2人とも本当にありがとう!

 大きな姿もかっこよかったよ!」



だが、その言葉が逆に2人の気持ちを

沈ませてしまうとは思わなかった



「コン 弱かった」 「ポン 役立たず」



落ち込む2人を励ましながら

少女は一緒に屋敷を目指した



---



「「 着いた 」」


森の奥

見覚えのある景色の中で2人が立ち止まる


コンとポンはゆっくりと手を伸ばし

何かの境界を撫でるように弄った



「「 "ただいま" 」」



その声とともに空気が波打つ

数日前に訪れたユズの屋敷が静かに姿を現した




「「 案内 おわり 」」

「「 コン と ポン は 修行 」」



そう言い残して2人は林の奥へと駆けていった


少女はその背に 「ありがとう」と

もう一度感謝を告げて 深呼吸をし扉を叩く



──トン トン



「はーい!」



扉の向こうから現れたのはポンよりも小さな男の子




見間違えるはずがない


少女の弟だった





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