3.ここはどこ
(「・ω・)「ガオー
「……あー、このままじゃ不便だな
想像してみてよ。
ここがどんな場所で、
キミがナニと話しているかをさ」
……急にイメージしてと言われても難しい。
とりあえず自分の家をイメージしてみると
すぐに見知った我が家の風景にかわっていく。
何故かトイレだったけど……
さすがにこの景色が本物ではないということくらいわかる。
とはいえ、見慣れた景色に少し安心した。
そして、少なくとも今ボクがいる場所はボクが歩いていた道路の上ではないことがわかった。
見慣れた景色のなかで
自分の身体に意識を向ける
煙のような
霧のような
揺れ動く輪郭だけのボクが確かに存在していた。
「次は僕の形だね」
淡々と、急かすように言われる。
言われるがままに慌てて想像してみる。
すると、声の主は黒髪の日本人形のような女の子へと変わっていく。
女の子が言う
「この景色やトイレに引き摺られてしまったのかい。
人間の感覚としては正しいから何とも言えないね」
でも、作り込みが甘いよ。
ほら、話しているのに口が動いていないじゃない
か」
姿が現れてからは少し声に抑揚がつき
心なしか楽しそうに話す声の主にボクは尋ねる。
「ここはどこ?」