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見返りありきの装備職人  作者: 隠し子
魔の森の主
29/50

少女の話 ‐ 5

(「・ω・)「ガオー



「……本当に大丈夫なのかな……」



少女は足元の土を見つめながら呟いた



家族と一緒に森へ入ったことはあっても

こんな深くまで来たことはない


加えて洞窟の入り口を守るため

ジットが1人で戦い続けているという状況だ




前を歩く2人――コンとポンが振り向く

「コン は つよい だいじょうぶ」

「ポン も つよい だいじょうぶ」


「「それに ジット も 強い」」


小さな体でまるで当たり前のように言ってのける


この世界に危険を及ぼす

“ナニカ”という存在を前にして

なぜ彼らはこんなにも落ち着いていられるのだろう



少女は無理やり笑ってみせるがその足取りは重い


それでもポンの持つ“静心”のスキルが

心を整えてくれるおかげで

恐怖に飲み込まれることなく

歩を進めることができていた



口の中で小さくつぶやく

「ユズさんたちが来てくれたら……」

心のどこかで そう願わずにはいられなかった



──その時

コンとポンが同時に顔を上げる

「「前から くる」」



少女の身体が自然と構えを取る


ユズから借りている “戦闘” スキルが

恐怖よりも先に反応してくれたのだ



闇の奥から兎のような形の

“ナニカ”が飛びかかってくる


ポンが巨大な獣の姿へと変わりそれを受け止める



コンが腕輪を弓へと変化させて矢を放つ――


音もなく影が霧のように消えた




「その弓……どこから出したの?」


「この腕輪 弓に変身 トトさま 特製」

「トトさま すごい」  「カカさま も すごい」


2人は嬉しそうに跳ねる

魔獣の姿のポンが低く唸りながらも

その声にはどこか温もりがあった


ユズとリッタという存在が

どれほど2人にとって大切なのか

少女は微笑みながら

自分の家族を思い出してしまい目頭が熱くなった



──



何度も襲いかかる “ナニカ” を

コンとポンは確実に撃退していったが

それらの死体は残らず血も流れない



少女は何度か休憩を提案するが

2人の返答はいつも同じ


「「早いほうが いい」」


どれほど時間が経ったのかも分からない




ただ、奥へ進むたびに空気が

濃く、重く、冷たくなっていった



──そして



「「 いる 」」



その声が響いた瞬間

洞窟内の温度が一気に下がった



そこにいたのは“人型のナニカ”


その口から

泥のような魔物たちを吐き出している



吐き出された"ナニカ"は地面に触れた瞬間

獣のような叫びを上げて突進してきた



これまで通りにポンが受けコンが射抜く



……だが本体へ向けた矢は

音もなく吸い込まれるように沈んでいった


「……ダメ ?」

「「やっぱり 効いてない」」


コンが動きながら魔法を重ねるが結果は同じ


攻撃は通らず

“ナニカ”はこちらを見据えたまま動かない


コンの行動が時間稼ぎへと変わり

ポンがすぐにジットへ通信を試みる



「……スキル 発動して!」




その声に少女が反応しようとした瞬間――



“ナニカ”が音もなく消えた

次の瞬間

目の前に現れた刃のような腕が……少女を襲う




「――っ!」





壁に叩きつけられて視界が白く弾ける

コンもポンも、反応すらできなかった



「「……これは よくない」」



2人が慌てて少女のもとへ駆け寄る

その時、砂煙の中から声が聞こえた






「……いててて……間一髪だったな」



煙の中で少女の身体が立ち上がり剣を構えていた


その瞳に宿っていた光は

――少女自身のものではなかった




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