魔の森の主 ‐ 3
(「・ω・)「ガオー
大見得を切って話を始めようとした瞬間
リッタが飲み物を準備しに奥へ引っ込んでしまった
拍子抜けした僕は肩を落として ふと思う
「……お腹すいたな」
結局少女にも外で果物を取ってきてもらい
みんなでお茶会の準備をすることになった
せっかく作った“語りのムード”は
どこかへ消えたけれど悪くない時間だ
席につき
湯気の立つお茶を一口飲んでから口を開く
「キミは“人間”以外の存在に会ったことがあるかい?」
「え……魔物や動物のことですか?それなら何度か」
「そうじゃないんだ
“生き物”でも“モノ”でもない―“ナニカ”にだよ」
少女は首をかしげる
僕は微笑んで言った
「僕とリッタは “人間” じゃないんだ」
少女は言葉を失って、ただ目だけで続きを促す
「正確には
僕は“人間だった”んだけどね
こっちの世界に来るとき少し混ざっちゃったんだ
今の僕たちは“人間”でもなく“ナニカ”でもない
ただの混ざりものなのさ
……少し“神”の要素も混じってるけどね」
リッタが肩をすくめて補足する。
「要するにいろんな"モノ"が
この世界には存在しているのさ」
少女は理解できないまま
それでも真剣に聞こうとしている
僕は笑いながら少女にクッキーを差し出した
「まぁ前の世界から
“引っ越してきた”と思えばいいさ
“魔の森の主”になるまでの前置きってことでね」
クッキーをかじりながら話を続ける
「リッタと混ざったことで
長く生きられるようになってね
“不老”や“不死”のスキルも手に入れた
外の世界の理を少しだけ知っていたおかげで
魔法やスキルにも人より詳しくなった
鍛えたり、学んだり、分け与えられたり
――そうして
何でもできるようになったってわけさ」
「キミが知っている
“魔の森の主”ってのはどんな噂だったのかな?」
少女は慎重に言葉を選びながら答えた
「神に逆らって森に封じられたと
……でも
教会の人たちはあなたに感謝していました」
「感謝?」
「お祈りの時間も
どちらかといえば神様より“あなた”に
向けられていたような……」
僕は思わず目を丸くする
「珍しいね……もしかしてその教会って
聖女アズラがいる場所じゃない?」
「はい!アズラ様です
義足なんですが
言われるまで気づかないほどお強い方で!」
少女の瞳は、憧れと敬意で少し輝いていた
初めて会ったときの敵意はもうどこにもない
“魔の森の主”の語りは、まだまだ続いていく――




