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見返りありきの装備職人  作者: 隠し子
魔の森の主
20/50

魔の森の主 ‐ 2

(「・ω・)「ガオー


「それで? 

 力を貸してもらうための作戦は浮かんだかい?


 君が死ぬところなんて見たくない

 なにより“死ぬため”に力を貸す気にはなれないよ」


リッタと並んで僕は少女に問いかけた。



少女は静かにうつむいて言葉を選ぶようにして口を開く


「……何も、浮かびませんでした

 “あいつ”を殺して

 家族の元に行くことしか考えていませんでした



 昨日言われたように

 自分を鍛えて復讐するのが正しいのかもしれません


 でも、強くなれるかも分からない

 戦う力を教えてくれる人もいません



 私にとっては家族が一番大事でした


 だから……

 私だけが生き続けるなんて耐えられません」


しばらく沈黙が落ちる


「でも、昨日の私はただの失礼な子供でした

 力を貸していただく側だということを

 ……分かっていませんでした」



その言葉にユズはわずかに眉をあげる

これまでにも

 “復讐のために力を求める者” は大勢いた

だが、一晩経っても考えを変えない者ばかりだった



“何も浮かばない”と正直に言える少女


その誠実さだけはこれからも失わないでほしいと思った



「それじゃあ、どうする? 

 力を借りる理由を探すために一度帰るかい?



 次も必ずここに辿り着けるとは限らないけどさ」



「……いえ、力は貸していただきたいです」

少女は顔を上げた


「そのために――“魔の森の主”である

 あなたについて教えてください」



「僕について、聞きたい?」思わず笑ってしまった



「“条件”じゃなくて“僕”の話を? 

 それはまた珍しいね。意図を聞いてもいい?」



「助けてくださった剣士さんに言われたんです

 “あいつらは友達少ないから仲良くしてやってくれ” 

   

 それに……実は人見知りだって」



「ジットめ……」思わず頭をかいた


魔の森で暮らすようになった理由まで

知ってるくせに、そんな紹介の仕方をするとは


けれど彼の優しさを知っている僕たちは

嫌悪どころか懐かしさすら覚えていた



少女は続けた。

「それに、

 剣士さんから教えてもらった

 “人生を全て見ていい” という言葉の意味も


 私には分かっていないんです」



リッタが目を細める


「じゃあひとつ確認するけれど

 どうしてその意味も分からないまま


 “人生を全て見ていい” なんて条件を出したんだい?

 賢い選択とは思えないのさ」



「それは……復讐のことしか考えていなかったから


 どうしても話を聞いてもらいたくて……



 今では正しい判断だったとは思っていません」


俯きながら少女は小さく言葉を落とした。




「まぁまぁ、リッタ

 僕たちには時間ならたっぷりあるんだからさ」


僕は笑いながら立ち上がった


「話してあげてあげるとも!

 話を聞いて……


 ――本当に僕たちに“力”を求めるか


 君自身で判断すればいい」




「ユズ……

 久しぶりの来客だからってはしゃぎすぎだよ


 ジットの名を聞けたのが嬉しいのは分かるけどね

 それに……

 もう“力を貸す”って決めてるんだろう?」



「さぁ、どうかな!」

わざとらしく咳払いをして喉を整える


ここしばらく使っていなかった

“語り部”のための声を出すために



「――それじゃあ、語ろうじゃないか!」


僕は胸を張って声を響かせた


「ある人は “あらゆる魔法の使い手”と崇め


 ある人は “力を吸い取る略奪者”と恐れ


 ある人は 優しさ溢れる祈りの象徴”と感謝し


 ある人は “魔物を従える平和の敵”と罵る


 ある人は “全てのスキルを司る精霊”と敬い


 ある人は、“神に逆らった愚か者”と語り継ぐ



 ――正体不明の《魔の森の主》についてをさ!」





少し冷めたリッタの視線が刺さる


けれど、僕は負けない



強い心 負けないメンタル 不屈の精神



僕は自分で自分の物語を語り始める



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