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見返りありきの装備職人  作者: 隠し子
むかし むかし
18/50

18.旅の準備

(「・ω・)「ガオー




「聖都へはどれくらいで行けるの?」

ボクはジットに尋ねる



「行商人がいれば護衛を兼ねて

 乗せてもらえるかもしれんが


 途中でいくつもの村を経由することになる

 歩いて行くとなれば……

 そうだな……2つほど歳を取るだろうさ」


その言葉にボクは息をのんだ


それほどの距離をジットは仲間を

失ってから1人で戻ってきたのだ


彼の実力と長い時間を独りで生き抜いた精神力の

強さを理解する



友人の子として再会を喜んでくれたのも……

きっと孤独の果てに誰かを求めていたからだろう


――ボクが“ジットの知っていたユズ”では

 ないことが少し申し訳なく感じた




「同行を許してくれて嬉しいが

 さっきも言った通り

 俺のために聖都を急ぐ必要はないぞ



 それに今の俺たちでは奴に勝てねぇ



 まずは旅に慣れて安全を第一に考えてくれ

 ……旅の中で、いろいろ教えてやりてぇしな」



ジットの穏やかな声に焚き火の炎が揺れた

「出発はいつになるんだい?」



リッタの問いにボクは少し考えて答える

「“直感”を得てから

 ほかの“開花の兆し”も

 もう少しでスキルになりそうなんだ


 だから……しばらく村で試したいかな」



「そろそろ寒さも強くなるからな」 ジットが頷く



「日が落ちるのも早いと当然危険も増える

 暖かくなってから出発……ってのはどうだ?」



この世界には いわゆる四季というものがない

暖気と寒気がゆるやかに繰り返していく

それでも、季節の“流れ”を感じることはできる





「僕を置き去りにしないなら賛成さ」


リッタが笑って言う

その声は、以前よりもずっと柔らかかった



「お前らの旅なんだぞ

 置いてかれるのはむしろ俺の方だろうな」


ジットが冗談めかして笑い

3人の間に小さな笑いが生まれる




リッタが共にいてくれる心強さ


ジットという経験豊かな大人の存在


ボクはようやく“仲間”という言葉の

意味を理解し始めていた



「ボクはこれまで通り

 村の人たちから多くを学ぶよ

 

 ジットに戦いを任せることも増えるだろうし

 ステータスのやり取りの感覚も共有しておきたい」



「じゃあ僕は、

 保存食や荷造り、旅の準備を進めるとしよう

 ジット、いろいろ教えてくれるかい?」



「もちろんだ。これからよろしく頼む」




3人の目的が重なった瞬間

確かに“旅の灯”がともったような気がした



その夜、リッタの作った料理を囲んで過ごした



ボクのいた“前の世界”の話



リッタが知る“他の世界”のこと



ジットが歩んできた“冒険者としての日々”




気を遣うこともなく言葉が自然と溢れた

焚き火の光がゆらめいて影が壁に踊る


笑い声と静けさが交互に訪れる時間

それはまるで

長い夜の始まりを告げる合図のようだった





――こうして、三人の旅の準備が始まった

次に来る“暖気の季節”が


やがては"神"をも巻き込む旅となることを

この時はまだ誰も知らなかった




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