16.Q&A
(「・ω・)「ガオー
「ステータスの上限は?」
ジットの問いにリッタが即答する
「おそらく――ないね
限りなく強くなれるだろうさ」
ジットは目を細め、ゆっくりと息を吐いた
「なぜスキルをそのまま受け取らない?
自分がどんなスキルを持っているかなんて
知らない奴の方が多いだろう」
「僕もそう思うのさ」リッタは微笑む
「でもユズの考えを尊重するよ
この村の人たちにも
“これからの人生”があるんだからさ」
その言葉には
静かな優しさと一抹の寂しさが混ざっていた
「“開花の兆し”については?」
「そもそもなぜ “視える” のかも分からない……
だから他の人に教えようがないのさ」
リッタは軽く肩をすくめた
その姿に、どこか人間らしい諦めが宿る
「貸与時の条件は?」
「ユズの思うままだよ
返してほしいと思えば自然とユズのもとに戻る」
「……自然に、ね」
ジットは小さく笑った
まだ腑に落ちていないような顔だった
正しく使うよりも"悪用"することの方が
容易い"スキル"だなと改めてジットは考える
「この村を出たらどう暮らすつもりだ?」
ボクは少し考えてから答えた
「リッタとも話したけど
ステータスやスキルの直接の貸し出しは
リスクが大きい
だから、世界を見て回りながら――
ボクのステータスを“装備”に付与して
貸し出す仕事をしようかと思ってるんだ」
ジットは顎に手をやり感心したように頷く
「装備の貸し出し屋、、か……面白ぇ発想だな」
「冒険者としての仕事はどうなってるのかな?」
「聖都には冒険者が集まる場所があって
そこに依頼が張り出されるんだ
それ以外の場所では個人契約
採集、狩り、護衛、運搬……それが基本さ」
「なるほどなのさ」
「ステータスについて知ってることは?」
「教会で調べてもらうにも……高い金がかかる
俺は最後の記念に確認してもらったが
普通はスキルと魔法だけ調べて終わりだな
"ステータス"まで"視て"もらうとすれば
場所を選ばなければ聖都に家が建つぜ
冒険者を始めてしばらく経ってから
教会に行ってその結果次第で自分が
どんな冒険者に向いてるかを決めるんだ」
ジットの声には、懐かしむような響きがあった
「魔物って?」
「この辺りにはいねぇな
村の周囲には“祈り”がかけられてる
教会の連中が定期的に巡回して
魔物が寄り付かないよう"祈り"を捧げるんだ
だから村の周辺は安全ってわけだ」
「"祈り"……?」
「“魔物除けの祈り”さ
だが一歩でも村の外に出れば話は別だ
旅人や教会の使者ですら襲われることがある
俺が魔法を学べたのは――
偶然、そのとき助けた神官が
礼として教えてくれたからだ
教会で正式に習おうもんなら
途方もない金がかかるぜ」
「ジットなら魔物に勝てる?」
「俺たちはそこそこ有名なパーティだったんだぜ
魔物を狩って生計を立ててた時期もある
だが――複数相手は無理だ
魔法を使う奴もいれば空を飛ぶ奴もいる
弓が届かねぇ高さの相手は……
そもそもどうしようもない」
「……仲間と一緒に戦ってたんだね」
「そうだ……だが――」
ジットは言葉を切る
焚き火の光が彼の表情を照らした
「……もし、どんなスキルも
努力次第で成長できるって知ってたら……
仲間を失わずに済んだかもしれねぇな」
短い沈黙
風が木々を揺らして火が小さくはぜた
「……俺も、一緒に行ってもいいか?」
静かな声だったけれど
その一言に込められた想いの重さは伝わってきた
「もちろん
ユズとリッタが良いならだけどよ……」




