15.秘密の共有
(「・ω・)「ガオー
「来たぞ!」
約束した時間ぴったりにジットが家にやって来た
昨夜、ボクはリッタに――
魔法の威力が異常だったこと
そして“直感”のスキルが発現したように
感じていることを話していた
「どれどれ……」
リッタはボクを見つめてステータスを確認する
「おぉ、おめでとう!
キミの言う通り“直感”を獲得しているね
それに魔法もちゃんと2つ習得できているのさ」
初めて
“狭間” で選んだもの以外のスキルを
手にしたことに胸の奥が熱くなるのを感じた
リッタはそんなボクを見て
「キミは確実に成長しているようだね」と笑った。
けれど、その笑みの奥に
どこか自分を責めるような影が差していた……
ボクは静かに言う
「一緒に生きるって 約束したでしょう
ボクの力はリッタの力でもあるんだ」
何度も交わしてきた言葉だった
それでも
口にするたびに意味が深まっていく気がした
最近のリッタは
「キミ、結構ボクのこと好きだよね」
なんて軽口を言っては
照れくさそうに顔を背けるようになった
感情に流されることは減ったが
まっすぐな好意にはまだ慣れないようだった
ボク自身も
彼女を巻き込んでしまった責任を感じている
それでも今は
――心から共に生きていきたいと思っていた
ーー
「……ジットには、全部話そうと思う」
そう切り出すと
リッタは少しだけ目を細めて頷いた
「キミが決めたことを尊重するよ
でも……理由くらいは聞かせてくれる?」
ボクは深く息を吸って“直感”のことを話した
このスキルを得てからというもの
ほんの些細な違和感にも身体が反応するようになった
物事の“真”を見抜くような感覚が常にあり
人の言葉の奥にある意図が
……自然と理解できてしまう
嘘の内容までは分からない
けれど――
その裏にある“想い”だけは伝わってくる
つまりジットは最初から
ボクたちの話が完全な真実ではないことを
感じ取っていたのだ
それでもボク達に悪意がないと理解し
追及せずにいてくれた
「本当のことを話した方が
きっと上手くいく…………そんな気がするんだ」
リッタは少しだけ笑い
「……キミらしいね」と呟いた
ーー
「“ユズ”だけど、“ユズ”じゃない
リッタが“ナニカ”だった、ってことか」
言葉にすれば意味不明なはずなのに
ジットは不思議と
理解しているような顔をしていた
「正直なところ最初から違和感はあった……
村のみんなは “ユズの妹” だと言うが
俺の中ではどうにも腑に落ちなかった
ユズとの歳の差を考えてもよ……
親父さんが村を出た時期も合わねぇ気がしてな」
ジットは苦笑する
「人間じゃないってのには驚いたが……
まぁリッタはリッタだろうし
ユズがいる限り敵になることもなさそうだ」
あっけらかんとしたその言葉に
ボクは胸の奥が温かくなるのを感じた
「能力の話もあったが
――“ステータスの貸し出し”ってやつ
実際に試させてもらっていいか?」
昨日の魔法の件について
リッタは「言葉の認識」と
「魔力の出力量」の問題だと説明してくれた
ボクの魔力はすでにジットの3倍近くに達している
ジットは一流の冒険者として
その差が信じられないらしく
“力の違い”を自分の手で確かめたいようだった
ボクはジットの首にかかるペンダントを借り、
魔力ステータスを15ほど譲渡して返す
「2人とも試すなら……外でしてほしいのさ」
リッタにそう言われて3人で家の裏へ向かった
ジットは手をかざして呟く「〈ウォータ〉」
次の瞬間……
手のひらからまっすぐ数メートル先へ
鋭い水流が放たれた
まるで槍のように伸びて木の幹を抉る
「……すげぇな」
興奮したように息を吐き出して
すぐに真剣な表情に戻る
「……話し合う内容が、また増えたな」
そう言ってジットは立ち上がり
ボクたちは静かに家の中へ戻った




