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【完結】最強クラス【影霊術師(シャドウネクロマンサー)】に覚醒し、俺を捨て駒にした勇者パーティと世界の全てに復讐する  作者: なすび
【第3章】In the abyssal depths of the boundless SHADOW

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88 リンの焼きもち

今回から3章スタートです!




これまでのあらすじ。

シドは勇者パーティに復讐を果たすも、王族を手に掛けたことが露見し、指名手配犯に指定されてしまう。

同時に影霊術師に強い忌避感を抱く《聖痕の騎士団》に命を狙われることとなる。

それはそれとして脈絡もなく王都近隣のダンジョンが一斉に崩壊し、魔物が地上に溢れかえるも、シドの介入によりなんとか撃退する。

大規模ダンジョン崩壊を修めたシドは、安住の地を求め、リンの故郷リングランド村を目指す旅を再開するのであった

「わぁっ! 凄い眺めですねっ! ご主人様っ!」


「そうだな」


 現在地――上空約300メートル。


「アーディオンがあんなに小さく見えますっ」


「あまり身を乗り出すなよリン。落ちるぞ」


「ご主人様の腕に掴まってるから平気ですっ♪」



 ――王都を襲った大規模ダンジョン崩壊から2日が経過。

 俺達は現在――影霊(シャドウ)グリフォンの背に乗って移動していた。


 ワシの翼が大きくはためき、ロングコートの襟や裾をはためかせながら、空路にてリングランド村を目指していた。

 最近はダークホースを働かせ過ぎたので、ここらで休暇を与えないとな……。


 リンは初めての空中飛行だというのに怯えた様子はなく、持ち前の好奇心を剥き出しにして、目下の風景を眺めてははしゃいでいる。

 タイタンとの戦闘でグリフォンの操り方の練習をしておいて良かった。


 見上げる程に大きかった商業都市アーディオンの外壁は、その全貌が視界に収まる程小さくなっており、周囲に点在するダンジョン群はもはや点にしか認識できない。





名前:グリフォン +0 → +2

ランク【A → S】

総合戦闘力5000 → 10000

風属性魔法 A- → A




 ちなみに、グリフォンのステータスはこのようになっている。

 仲間にしてすぐに、ダンジョンコアと手持ちの魔石を消費して上限まで強化したので、総合戦闘力はミノタウロスやウィンディーネと同じ5桁クラスになっている。


 移動手段のみならず、戦闘面でも主力級として期待できそうな大型ルーキーである。

 先日のタイタン戦でも大活躍だったしな。



名前:リンリン・リングランド

クラス:盗賊

レベル:31

HP:560

MP:340

筋力:99

防御:71

速力:186

器用:170

魔力:65

運値:173



 

 リンのレベルも、グリフォンの経験値を俺と山分けしたことで、一気に31――C級冒険者相当となった。

 無理に危険を冒さなくとも、格下の魔物だけを倒していても、自分の食い扶持だけなら稼げる程度のステータスだ。



『キェ――――ッ!』



 グリフォンは大きく嘶く。

 俺の前に抱きかかえられるように座るリンも、「いえーい!」とグリフォンに続いて声をあげた。


 死体とメイドを乗せたグリフォンは大陸南部――リングランド村を目指して飛び続けるのであった。



***



 その日の晩。

 ヴァナルガンドの異空間にて。


 俺を取り囲むように、3匹の影霊(シャドウ)――ミノタウロス、デュラハン、ゴブリンロードが武器を構えている。

 俺の手にはグリフォンを倒した際に手に入れた《隼刃の双剣》。


 その更に外側には、エカルラートとリンが座って見守っている。


「いつでもかかってこいよ」


 食後の運動を兼ねた、影霊(シャドウ)との摸擬戦。

 旅を続けている間、既に習慣になったいつものルーチン。

 影霊(シャドウ)達も容赦なく俺に飛び掛かった。



『ブルガアアアアッ!!』


 真っ先に攻撃を仕掛けたのはミノタウロス。

 大振りの戦斧をバックステップで回避するも、武器を振った際に発生した突風で身体が仰け反りそうになる。


『グルルルルッ!!』


 突風で体勢が崩れた俺に、ゴブリンロードの大剣が迫る。

 1撃目を紙一重で回避。

 しかしゴブリンロードは即座に2撃目を放つ。


「遅い上に軽いぞ!」


『グラッ!?!?』


 ゴブリンロードが両手で振るう大剣を、双剣1本で受け止める。


 残った方の双剣に魔力を込めれば、刃は風の魔力を帯び――魔力の膜で刀身が伸びたことで、体格差や武器のリーチを無視して、ゴブリンロードの胴体に風刃を叩きこむ!



――隼刃じゅんばの双剣

――ランク【A-】

――【効果】MPを消費することで風属性魔法を刃に纏わせることが出来る。



『グラアアアアッ!?』


『――――ッ!!』



 ゴブリンロードが消滅する。

 だが――背後から迫るデュラハンの刺突。


「遅いッ!」


 デュラハンの攻撃を、背中を向けたまま跳躍して回避。

 そのままデュラハンの頭上を取り、首の奥――鎧の内側へ双剣の片方を投擲する。


『――――ッ!?』



 弱点を突かれたデュラハンは、一撃で消滅。

 地面に突き刺さった双剣を回収し、最後の影霊(シャドウ)――ミノタウロスと対峙する。


「この程度か? 食後の運動にすらならねェぞ?」


『ブルガアアアアッッ!!』


 ミノタウロスが戦斧を振るう。

 人間が扱うには巨大すぎる戦斧を、軽々と振るい、連続で斬撃を繰り出すミノタウロス。


 俺はその連撃を躱し、双剣で受け止め、滑らせるように受け流しながら次々と捌き――連撃と連撃の僅かな隙を見つけ――



 ――斬斬!



 ――風の魔力を付与した双剣で、袈裟斬りと逆袈裟を同時に繰り出した。

 ミノタウロスの胸に×字の刀傷が刻まれ、消滅。



 ――ミノタウロス HP0【消滅】

 ――デュラハン HP0【消滅】

 ――ゴブリンロード HP0【消滅】



「1対3でもこんなもんか――カイネの方が強かった。こんなんじゃアイツには勝てねぇ」


 本来であれば、2段階強化した主力級影霊達は、A級ダンジョンのボスを超越する強さを持っている。

 だがそんな影霊を3体同時に相手してもなお、先日戦った《聖痕之肆》――カイネの方が強かったと言わざるを得ない。


「…………むー」


「ど、どうしたリン……?」


 顔を上げると、俺の修行を見ていたリンが、不機嫌そうに頬を膨らませていることに気付く。

 いつもなら「お疲れ様でした!」と言いながら汗を拭うためのタオルを用意してくれるのだが。


「ご主人様、その武器はもう使わないでください!」


「ええぇ!? な、なんでだよ……?」


「クカカッ!」


 リンがなぜ不機嫌なのか分からず困惑していると、理由を察しているらしいエカルラートは愉快そうに笑っている。


「リン、なんで怒ってるんだ……?」


「もう知りません! 私は寝ます!」


「ええ…………」


 リンは拗ねるように床についてしまった。


「(エカルラート……リンの奴なんであんな不機嫌なんだ……?)」


「(折角エンチャント魔法を覚えたのに、自前で属性を付与できる武器を手に入れたから、自分の役目がなくなると思っておるのじゃろう。い奴よ)」


「な、なるほど……」


 リンの前で隼刃の双剣を使うのは控えようと思いながら、俺もまた自分の寝床につくのであった。


 リンに嫌われたくないからな。


振り返りを兼ねて用語解説

・アーディオン

王都とリングランド村の間にある、王都の次に大きな街。商業都市と呼ばれている。


・リングランド村

リンの故郷。


他にも「これってどういう意味だっけ? なんでこんなことしてるんだっけ?」など気になる点ありましたら感想で教えてください。


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