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【完結】最強クラス【影霊術師(シャドウネクロマンサー)】に覚醒し、俺を捨て駒にした勇者パーティと世界の全てに復讐する  作者: なすび
【第1章】Born of the SHADOW Necromancer

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36 2回目の影霊強化

今回は前半はアルムガルドを中心とした3人称。後半は1人称視点になります。


 シド・ラノルスが去ったA級ダンジョン【藍蘭湖(あいらんこ)】の跡地。


 S級冒険者アルムガルドは、未だ目を覚まさない勇者パーティを仰向けの体制にして介抱してから、黒髪の青年に譲ってもらった霊薬――ウィンディーネの涙を手に取った。


「シド・ラノルス……冒険者協会で初めて会った時から不思議なオーラを纏っていたが、まさか短期間であれほど強くなるとは。ワタシもうかうかしていられないな。とはいえ、彼には感謝しなくては」


 アルムガルドは黒檀色の甲冑に手をかけ、頭部を露出させる。


 沈みゆく夕日が――アルムガルド――彼女の長い髪をキラキラと反射した。


「これでワタシの呪いが解ければ良いのだが」


 魔法で変声機能を付けた甲冑を外したことで、彼女本来の美しい声が漏れる。

 アルムガルドはゆっくりと、ウィンディーネの涙を飲み干すのだった。





 人類最強。

 現存する唯一のS級冒険者。

 アルムガルド・エルドラドの正体が、絶世の美女であることを知る人物はいない。





***






 王都郊外に居を構える幽霊屋敷。

 シド・ラノルス邸に到着する。


「デュラハン、ゴブリンロード、変わりはなかったか?」


『グルルッ!』


『――――』


 ベッドの上では、相変わらず奴隷の少女が苦し気な顔で浅い呼吸を繰り返している。


「変わりがあったのかなかったのか分からんな……」


 影霊(シャドウ)は俺の言葉を理解できるので命令をはき違えることはない。

 しかし、逆に魔物の鳴き声の声音と、ボディランゲージだけでは完全なコミュニケーションは取れないので、影霊と完全に意思疎通するのは難しい。


 人の言葉を話す魔物でもいればいいのだが。

 もしくは――人間を影霊にするか。


「仕事を忠実にこなした影霊(シャドウ)の変わりにいうが、シドがウィンディーネと戦っている最中に賊が入り込んだぞ」


「マジかよ」


『グルルッ!』


 肯定の声音。

 エカルラートもネズミやコウモリといった動物を操り、少女のことを気にかけてくれていたらしい。


「賊の正体は小娘の所持者だった奴隷商じゃ。シドに一発かまされたことが相当頭に来たみたいでの、お礼参りにきたようじゃ」


 しかしゴブリンロードとデュラハンに返り討ちに遭った――と。

 返り血や死体がないのを見るに、殺しはしなかったらしい。

 俺も頭に血が上って暴力を振るったものも、王都で殺人事件を起こすつもりはない。


「2匹ともよくやった。最高の仕事だ」


『――――ッ!』


 デュラハンは光栄だと言いたげに、片膝をついて(こうべ)を垂らした。

 首はないんだけど。


「それじゃ早速この子の傷を治すか。来い――ウィンディーネ」


『――――』


 デュラハンとゴブリンロードを影に収納し、ウィンディーネを召喚する。

 ウィンディーネは全長4メートル程あるので、身体を縮こませて貰っても一気に部屋が窮屈になる。


「ウィンディーネ、この子の傷――というか身体の悪いところ全部治せ」



『~~~~~~~~♪♪』



 ウィンディーネは心地よい音を奏でると、少女の身体が淡く輝く。

 苦し気だった少女の顔は安らかになり、寝息も安定したように思える。


「エカルラート、どうだ?」


「どれどれ」


 エカルラートは少女を診察する。


「肌の変色、瞳の濁りもない。足の裂傷もきれいさっぱりなくなり子供特有の綺麗な肌になっておる。細かい擦り傷や古い痣もなくなって綺麗なもんじゃ。あとは十分な栄養を与え汚れた髪と身体を洗ってやれば良いじゃろう」


「……良かった」


 確かに改めて見ると髪や身体の汚れが酷い。

 以前の持ち主は外仕事をさせていたのか、身体も随分と日焼けしている。


「ま、峠は越えたんだ。そう急ぐ必要もないか」


 ウィンディーネを影の中に戻して俺も一息つく。


「そういえばA級ダンジョンのダンジョンコアも手に入れたな」


 ヴァナルガンドに収納させていたダンジョンコアを取り出す。

 レベル80になった時に覚えた【影霊強化】のことを思い出した。




――【影霊強化】

――【効果】魔石を消費することで影霊の能力値を上げることが出来る(現在1段階まで強化可能)。




 A級のダンジョンコアだ。

 隊長クラスの影霊を強化するにも十分なパワーを秘めているだろう。


 という訳で少女が目覚める間に2回目の強化タイム。


「さて、ミノタウロスの次は誰を強化するか」


 手持ちの影霊(シャドウ)を総合戦闘力順に並べると――




 ミノタウロス――7500(強化済み)

 ウィンディーネ――5000

 デュラハン――3500

 ゴブリンロード――3100

 ダークホース――2500

 ガーゴイル――1100

 オーク――1000



 以下、無数の下級影霊。




「ウィンディーネは攻撃魔法も使えるが後方支援として使いたいし、既に十分強い。となるとデュラハンを強化するか」


 デュラハン師匠はステータスに依存しない素の戦闘技能も卓越している。

 ゴブリンロードとはほぼ同格だが、あいつの戦闘スタイルは腕力にものを言わせて武器を振り回すだけなので、伸びしろを考えればデュラハンを強化すべきだろう。


「デュラハン来い――【影霊強化】」


 デュラハンの肉体にダンジョンコアが吸い込まれる。





――デュラハンが1段階強化されました。





名前:デュラハン+1

ランク【B+ → A】

総合戦闘力5000

(現在これ以上強化出来ません)





「おお。ウィンディーネや初期のミノタウロスと総合戦闘力が並んだな」


 着実に戦力が増えている。

 今回の決闘で勇者パーティ相手に既に圧倒出来るだけの能力差があることも分かった。


 となれば後は――







「具体的にどんなエグいやり方で復讐するか……だな」



 片目を潰して、鼻をへし折り、失禁させた程度で今までの鬱憤が晴れる訳がねェもんな。

・影霊強化について

 影霊を強化するのに必要な魔石は、強化する影霊の強さによって変わります。

 小さな魔石でも大量に用意すれば、強い影霊を強化できます。

 逆に強化に必要な魔石のエネルギーよりも多くのエネルギーを蓄えた魔石を使っても、余剰分は返ってきません。


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― 新着の感想 ―
[一言] この物語は良い可能性を秘めていると思います。ただ、この物語におけるワールドビルディングのような用語は狭すぎる。 いくつかの国を加えて舞台を広げることはできるかもしれないが、シドが復讐を果たし…
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