表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】最強クラス【影霊術師(シャドウネクロマンサー)】に覚醒し、俺を捨て駒にした勇者パーティと世界の全てに復讐する  作者: なすび
【第1章】Born of the SHADOW Necromancer

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/168

33 ウィンディーネと影霊強化

前回のあらすじ

ダンジョンボスのウィンディーネは無数のブルーシルフを召喚して、シドに差し向ける。

影霊にブルーシルフの相手をさせて、シドはダークホースに騎乗して、本体のウィンディーネの元へ到達するも、ウィンディーネが展開するバリアに拒まれるのであった。

 ――――キィンッ!


「なッ!? 弾かれたッ!?」


 ――――ウィンディーネの2メートル程手前で、刃が遮られる。



『障壁魔法でバリアを張っておるな』


 強化され定期的に回復するブルーシルフに行く手を阻まれ、ようやくたどり着いたと思ったら今度はバリアかよ。


「引きこもり過ぎるだろッ!」




『――――ッ!!』



 ウィンディーネが鳴く。


 仲間を回復させる時の歌うような声ではない。

 管楽器に思いっきり息を吹きかけたような、キンキンとした高音。




――轟ッ!





 甲高い声と共に繰り出したのは水属性の攻撃魔法。

 圧縮され高出力で吐き出された水の帯びが、俺の胴に叩きこまれて吹き飛ばされる。


 どうやらウンディーネの攻撃はバリアを透過できるらしい。





――HP1260/1560

――HP1360/1560

――HP1460/1560




 直撃とはいえ、一発でHPが2割程持っていかれた。

 傷は即座に回復したが、吹き飛ばされたことでまたウィンディーネと距離が広がってしまった。



「ダークホース!」


『ヒヒ――ンッッ!』



 落下地点にダークホースを召喚し、鞍の上に着地。

 再びウィンディーネめがけて走らせる。




『〜〜〜〜♪』



 ウィンディーネの歌声。

 今度は回復魔法だ。

 影霊が相手しているブルーシルフの傷が癒える。


『思ったより手ごわいのゥ。影霊(シャドウ)もミノタウロス以外苦戦しておる』






 ――ガーゴイルHP0【消失】





 物理攻撃には強いが、魔法攻撃に弱いガーゴイルが消滅した。

 他にもゴブリンライダーが結構な数消滅している。


 すかさずMPを消費して再顕現。

 とにかく雑魚の相手は影霊に任せ、俺はウィンディーネに専念する。





『――――ッ!』





――轟ッ!





「ダークホース――飛べッ!」


『ヒヒ―ンッ!』


 ウィンディーネが耳障りな高音で鳴くのと同時に、ダークホースを跳躍させる。

 ダークホースがさっきまで走っていた場所に、ウィンディーネの水属性魔法が着弾した。


 魔物の言葉は分からないが、声の音域で次に繰り出される技がなんとなく分かってきた。

 日頃影霊とのコミュニケーションで魔物の声を聞く機会が多いからかもしれない。


 跳躍するダークホースの鞍を蹴って、ウィンディーネへ2度目の接触。




――――キィンッ!




 やはりバリアで弾かれる。

 だがバリアが張られていると分かっていれば、対策はいくらでも練れる。


「ヴァナルガンド――繋げろ」


『ワオンッ!』


 バリアの表面が闇色に染まる。

 ヴァナルガンドは空間を跳躍する能力を持っている。

 S級ダンジョン【緋宵月(ひよいづき)】で戦った時に、その厄介さは身を持って覚えた。


 ヴァナルガンドが作った闇色のゲートをくぐり――バリアの内側に入り込む。


「よぉ――やっとてめェをぶッ刺せるぜェ!」


 長剣でウィンディーネの腹部を突き刺す。

 青色の血がしぶき、バリアの内側に付着する。




『――――ッ!!』




 ウィンディーネは美しい顔を驚愕に変える。

 だが即座に反撃を繰り出した。




――ザバッッ!




「がッ!? がぼッ!?」




 ウィンディーネは全方位へ向けて大量の水を放出。

 バリアの中が水に包まれる。

 心臓の止まった俺の肉体は呼吸を必要としないため窒息の心配はないが、水の中では思うように動けない。



 だが――この程度の反撃なら問題ない。




「(呑みくだせ――ヴァナルガンド)」



『ワオンッ!』




 ヴァナルガンドは空間移動だけでなく、空間収納能力も持ち合わせている。

 エカルラート曰く別世界の月さえ呑みくだしたと言われるヴァナルガンドは、あっという間にバリアを満たした水を飲み干した。


「水分補給させてくれてありがとう――だってよッ!」




――斬ッ!





 自由になった身体でウィンディーネの首を刎ねる。


『――――ッ!?』


 だがウィンディーネの首の断面がウネウネとうごめくと、肉が盛り上がり再び美女の顔面に修復されていく。

 優れた回復魔法を扱うだけあり、本体の再生能力も飛びぬけている。




 でも――こいつは俺と違って不死じゃねェ。




「オラッ! オラッ! オラオラオラオラッッ!!」


 ヴァナルガンドの体内からもう一本長剣を取り出すと、二刀流でウィンディーネを乱れ斬りにする。

 ウィンディーネは回復に専念しなければならず反撃を繰り出せず、しかし再生能力は追いつかずにどんどん肉が削がれていく。





――斬




――斬




――斬、斬、斬、斬ッ!







――斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬――――斬ッ!!






「見つけたぜェ……てめェの本体ッ!」


 肉の奥から露出するのは精霊型の魔物の弱点であるコア。

 球体の石のようなコアを思いっきり突き刺すと――ヒビが走り――パリンッ!



『――――ッッッッ!?!?』



 最後にウィンディーネは壊れた管楽器のような断末魔を上げると、動かなくなる。

 バリアは消失し、宙に浮いていた4メートルの巨体が水上に沈む。





――レベルがあがりました。


――レベル78 → 80


――新スキル【影霊強化】を習得しました

――【効果】魔石を消費することで影霊のレベルを上げることが出来る。






「ウィンディーネ、ゲットだぜ」





***






名前:ウィンディーネ

ランク【A】

総合戦闘力5000

・回復魔法A+

・水属性魔法B

・障壁魔法A

・精霊系魔物強化B




 無事に影霊(シャドウ)にすることに成功したウィンディーネのステータスを確認する。

 かなり強いと思ったが、総合戦闘力がミノタウロスと同じだ。

 そりゃ強い訳だ。


 とはいえ、俺もミノタウロスを倒せるくらい強くなったってことだよな。

 そう思うと感慨深いものがある。


『ブルガッ!』


『グ、グオォ……』


『ギギャ……ァ』


「お前らもよくやった」


 ウィンディーネが消滅すると手下のブルーシルフも消滅し、役目を終えた影霊(シャドウ)達が集まってくる。

 皆かなりの満身創痍で、あのミノタウロスさえも結構な傷を負っていた。


影霊(シャドウ)が倒した魔物の経験値は、全て俺に入るのは助かっているが、影霊(シャドウ)が抽出した時から一切成長しないのが気になってたんだよな」



 だがレベル80の節目を迎えたことで、新たに【影霊強化】のスキルを習得した。



――【影霊強化】

――【効果】魔石を消費することで影霊の能力値を上げることが出来る(現在1段階まで強化可能)。



 足元にはウィンディーネの魔石が転がっている。

 早速【影霊強化】を使ってみよう。


「とはいえ誰に使うか」


 ミノタウロスは既に十分すぎる程の強さを持っている。

 だからと言って今更オークやガーゴイルが多少強くなった所で、ゴブリンロードやデュラハンに並ぶ強さまで育てる必要があるかと言われると微妙な所だ。


「テストもかねてミノタウロスに使うか」


『ブルガッ!』


 取れたてほやほやのウンディーネ産の魔石をミノタウロスに当てて【影霊強化】を発動。

 魔石がミノタウロスの体内に吸い込まれる。




――ミノタウロスが1段階強化されました。




名前:ミノタウロス+1

ランク【A → A+】

総合戦闘力5000 → 7500

(現在これ以上強化出来ません)





 ステータスを確認する。

 ランクと総合戦闘力が上がっている。


 現状強化出来るのは1体につき1回までらしいが、恐らく俺のレベルが上がれば強化回数も増えるだろう。

影霊操術(シャドウネクロマンス)】はレベル×100体までの影霊を抽出できるし、【影霊領域(シャドウフィールド)】はレベル×1メートルまで影を伸ばせる。

 レベルに応じて強化されていくスキルだ。


 なので【影霊強化】も2段階目、3段階目と強化可能回数が増えていくはずだ。


「さて――ウィンディーネも無事仲間にした。戻るか」


 屋敷にいる奴隷の少女があとどのくらいの命なのかは分からないが、苦しみに耐えているのは確かだ。

 玄室の中央に出現したダンジョンコアと、おまけのドロップアイテムを回収し、地上へワープしようとしと手を伸ばした――その時。



「おい――待てェ!」


 玄室に4人組の冒険者が入室してくる。

 冒険者の顔を見て、俺は驚かずにはいられなかった。



 何故なら、そこにいたのは――





「それはオレ達が頂く。ドロップアイテムとダンジョンコアをこっちに渡しな!」


「悪いがこっちにも事情があってね、タダとは言わない、言い値で買おう」


「そうそう❤ 大人しく交渉に応じた方がいいよ~❤ じゃないと、痛い目に遭っちゃうかもしれないからねぇ~❤」


「…………」





 ――勇者パーティ。



 ――俺の復讐対象。

勇者パーティがこんなに早く最下層に来れたのは、シドが道中の魔物を殆ど倒したからです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ