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【完結】最強クラス【影霊術師(シャドウネクロマンサー)】に覚醒し、俺を捨て駒にした勇者パーティと世界の全てに復讐する  作者: なすび
【第1章】Born of the SHADOW Necromancer

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24 懐かしの場所と小さなシスター

今回のAIイラストはエカルラート(等身大イラスト)です。

最近ちびエカルラートばかりで威厳がなくなってきたからね……

ここらでAI君に格好いいのを作ってもらいました。


挿絵(By みてみん)

 トンッ――と瓦礫の山の上に着地する。

 俺が瓦礫の下敷きになり、自分自身の肉体に【死霊操術(ネクロマンス)】を発動させた場所だ。


 ここから最奥部までの道のりは今も覚えている。


「ネズミ達――様子はどうだ?」


 聖教会を尾行させている影霊(シャドウ)ネズミと視界共有する。


「何やら慌ただしいな。視界しか共有できないから何を喋っているのか分かんねェ……」


 指揮を取っているであろう金髪の女聖騎士が、部下達に指示を出したかと思うと、聖騎士達は6人ごとのチームにバラけて四方へ散っていく様子が伺える。


「下層に続く階段を探すために手分けしているのか? それにしては女が鬼気迫る雰囲気なのが気がかりだが」


 とりあえず遠隔でネズミ達に指示を出し、バラけた聖騎士団それぞれに最低1匹の監視を付ける。


「妙だな……シスター服のガキがいない。尾行漏れがあったか?」


 聖騎士達の動向をチェックしながらダンジョンを進んでいると――




「きゃあああああああッッ!!」




 ――少女の叫び声が回廊に響いた。





 この声――聞き覚えがある。

 馬車で出会ったシスターの声だ。


「ッ! なぜこんな下層に!?」


 声のした方へ疾走すると、回廊の先に声の主を発見する。


『グオオオオオオッッッッ!!』


 シスターの少女は尻もちをついて長い金髪の毛先が地面に広がっており、その向かいには棍棒を振り下ろす直前の赤肌のオークの姿。




――()ッ!



 地面を蹴りあげ、一足飛びで少女と赤肌のオークの間に割り込み――左腕で攻撃を受ける。


『グオオオオオオッッッッ!?!?』


 右腕で長剣を抜いて首を刎ねれば、赤肌のオークは後ろ向きに倒れて絶命した。

 この赤い肌――オークの上位種であるレッドオークだな。


「大丈夫か?」


「あ、ありがとうございますっ! あっ! あなたは先日のシカイ族の方!」


「また縁があったな」


 少女は俺の手を借りながら立ち上がると、深々と頭を下げる。


「危ないところを助けて頂きまして、まことにありがとうございます。あなたは命の恩人です」


「気にするな。焼き菓子の礼だ」


「そんな! お菓子1つとではつり合いが取れません! あっ、腕から血が出ています! 私を守るために怪我を……!」


 レッドオークとの間に割り込んだとき、オークの攻撃で左腕で受け止めた時の傷だ。


「心配はいらん。すぐに治る――」


「私、回復魔法は得意なんです。【ヒール】」


 少女は俺の左腕に手を伸ばすと回復魔法を発動、そして――




――グツグツグツグツ……バシュッ!!




「がッ!?」




 ――左腕が爆ぜる。







――HP840/1000







「えッ!? な、なんでッ!?」


 少女同様に俺も驚きが隠せない。


『シド、おぬしは既に妾と同じアンデッド。回復魔法は逆に毒となる』


「(確かにアンデッド系の魔物に回復魔法をかけるとダメージを与えることが出来るが、まさか俺の身体もそうなっていたとはな……)」


 不死身の肉体の意外な弱点が露見する。


「どうして……私、確かに回復魔法を……!? 間違えて攻撃魔法を出してしまったなんてことは……!?」


「落ち着け、俺は平気だ。そんな泣きそうな顔をすんな」


 残った方の腕で少女の頭を撫でて落ち着かせる。


 その間に弾けた腕は再生する。


「こ、今度はなくなった腕が……ッ!?」


「あー、ちょっとした特異体質で回復魔法を浴びると逆にダメージを食らうんだ。その代わり、身体の傷は勝手に治っていく――この通りな。だから俺に回復魔法は必要ない」


「そ、それってまるで……ア、アン――」


 失言だと気付いた少女はアンデッド――と言い切る前に、両手で自分の口を抑える。


「気にすんな。アンデッドみてェなもんだ。不気味か?」


「い、いえ……あなたが命の恩人であることに変わりはありません。むしろあなたの体質のことを知らず、逆にご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ございませんでした!」


 少女は拒絶するどころか、先ほど爆ぜた方の腕に小さな両手を添える。

 恐らく――拒絶していないことに対する気持ちを行動で表しているのだろう。


 本当に珍しいシスターだ。


「それで、お前はこんな所に1人でなにやってんだ? ここがS級ダンジョンの最下層だって分かってるのか?」


「さ、最下層!? そ、それは存じ上げませんでした」


 話を聞くに、最初は仲間と一緒にいたのだが、転移トラップにかかって1人だけ別の場所に飛ばされてしまったらしい。

 孤立した所をレッドオークに見つかり殺されそうになっていた所を、悲鳴を聞きつけてきた俺に助けられた――ということらしい。


「なるほどな。そもそもなんで聖教会はS級ダンジョンに来たんだ?」


「えっ!? そ、それは……」


 少女は言いにくそうに口をまごまごとさせる。

 けれどレッドオークに命を救われたことと、回復魔法で腕を吹き飛ばした負い目もあり――ここへ来た目的をゆっくりと話し始めた。



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