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02 ミノタウロスと捨て石

「しっかし最下層にはまだつかねぇのかよ。S級ボス、【真紅の吸血姫】だがなんだかしらねぇが、俺たちにかかればあっという間だろうがな! がはは!」


「あと2割くらいだろう。今までの流れからして、あと1回中ボスを倒す必要が出てくるはず……おっと、噂をすれば」


 再びダンジョンを進むと、正面に扉を発見する。


「恐らく中ボス部屋だろう。扉の奥のボスを倒せば、こことダンジョンの入口とを繋ぐ中間ワープ装置が出現するはずだ」


「みてーだな。シドは邪魔にならねーように隅っこで大人しくしてろよ! 間違えてぶった斬っちまうかもしれねぇからよ」


「でもいざという時は盾になれるようにスタンバイしといてね~❤」


 ボス部屋の扉を見つけた一同。

 武器を構えて呼吸を整えたのち、扉を蹴破り玄室に突入した。

 俺も最後尾に続いて玄室に入る。


 そこにいたのは二足歩行の巨大な牛の魔物――ミノタウロスだった。




『ブルガアアアアアアアアッッッッ!!!!』




 ミノタウロスの巨椀には巨大な斧が握られており、侵入者に向かって咆哮をあげる。


「いつも通りボクとガーレンが前衛。リリアムは魔法で援護。ルゥルゥはアサシンスキルで隙をついて攻撃だ」


「おう!」


「おっけー❤」


「…………」


 彼らは全員がA級冒険者。

 例えSランクダンジョンの中ボスであろうと、難なく倒せる――そう思っていた。


 しかし…………。



「くそッ! 牛野郎の攻撃めちゃくちゃ重めェ……! 受け止めきれねェ! リリアム! 魔法で吹き飛ばせッ!」


「さっきからしてるわよ! でもコイツ直撃食らってもビクともしないのよ!」


「どうするシルヴァン! 倒せる気がしねぇぞ!」


「仕方ない、ここまでか。ルゥルゥ、アサシンクラスのスピードでミノタウロスを翻弄して時間を稼げ、撤退する――待てルゥルゥ、どこにいく! 勝手な行動をとるな!」


「ルゥルゥの野郎! 一人で逃げやがった! クソがッ!」


 トップクラスの冒険者である彼らでさえ、ミノタウロスには刃が立たなかった。

 撤退の指示を出す勇者シルヴァン、即座に一人だけ逃げ出すアサシンのルゥルゥ、悪態をつく重戦士ガーレンと魔術師リリアム。


 もはや戦線はボロボロだった。



『ブルガアアアアアアアアア!!!!」



 俺たちはルゥルゥに続いてボス部屋を飛び出す。

 通常であればダンジョンのボスは、玄室から出てくることはないのだが、なぜかミノタウロスは玄室の扉をぶち破って、俺たちを追いかけてくる。


「おいおいおい! あいつ追いかけてくるぞ!?」


「み、皆待ってッ!!」


 皆から預かっているアイテムや回収した魔石を一人で背負っている俺は、だんだんと皆と距離が開いて置いていかれそうになる。


「ちょっと! 追いつかれそうなんですけど~!」


「シルヴァン、どうする!?」


「仕方ない。魔石は全部捨てていく」


 勇者シルヴァンは足を止め、剣を抜いて振り向くと、必死に追いつこうとする俺の太ももを撫でるように切り裂いた!


「ぐあああああ! い、痛いッ! ど、どうしてっ!?」


「リリアム、障壁魔法をシドと俺たちを隔てるように展開しろ」


「分かったわ! 【リフレクト】!」


 切られた太ももを両手で抑えながら立ち上がるも、リリアムによって張られた障壁魔法に拒まれ前に進めない。


「最後の命令だシド。囮になってミノタウロスを引き付けろ」


「待ってくれ! 置いていかないでくれ! 皆!」


「ははっ! 無能なりに頑張って時間を稼げよカス! てめーの面をもう殴れねぇと思うと少し寂しいが、奴隷なんざまた買い直せばいいだけの話だからよぉ!」


 ドンドン――障壁を拳で叩くも壊れる気配はない。




『ブルガアアアアアアアア!!!!!』



 ミノタウロスはすぐそこまで迫っている。


 畜生……! こんな最後ってアリかよ……!!

今回のAIイラストは主人公のシド・ラノルス(現在の姿)です。


可愛いね❤ 臭そうだけど❤

挿絵(By みてみん)

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