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【完結】最強クラス【影霊術師(シャドウネクロマンサー)】に覚醒し、俺を捨て駒にした勇者パーティと世界の全てに復讐する  作者: なすび
【第1章】Born of the SHADOW Necromancer

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12 初めてのクエスト&勇者パーティの様子

まえがき

今回のAIイラストは勇者パーティの重騎士ガーレンです。

こいつが一番作るの苦労しました。

おかげでなかなか悪そうな顔になったと思います。


挿絵(By みてみん)

 ――翌朝。


 ――吸血鬼との楽しい共同生活2日目。




 昨晩は王都の宿で一泊し、冒険者協会へ向かう。


『なぁシドよ――600万Gもあるのだから、もっと良い宿に泊まっても良かったのではないかのゥ?』


「こちとら5歳まで農村暮らし、村が焼かれてからは奴隷暮らしなもんでな、贅沢の仕方が分からねぇんだ。昨日の宿だって俺からすりゃ十分な贅沢だぞ」


 勇者パーティの元で奴隷していた時は、厩舎で寝泊りしていた。

 奴隷にろくな生活させない癖に、臭い臭いと文句垂れてくるのあいつらのことをを思い出し腹が立ってくる。


「恨みはでかければでかいほど、復讐の快感も増すってもんよ」


 ポジティブに捉えながら冒険者協会に到着。


「あらシドさん! おはようございます!」


 受付嬢のエミリーさんが笑顔で挨拶してくれる。


「本日はどのようなご用件で?」


「クエストを受けようと思いまして。掲示板見させて貰いますよ」


 冒険者の収入は主に2つ。

 魔物から回収した魔石を売るか、冒険者へ依頼されたクエストを達成して報酬を貰うか。


 最終目標はシルヴァン達への復讐だが、そのためには強くなる必要がある。

 魔物を倒してレベルを上げ、更に金が貰える。


 一石三鳥だ。


「これにするか」


『ほゥ……ゴブリン退治か。おぬしのレベルを考えれば、ちと小者ではないかのゥ』


「色々と試したいことがあるんでな」





***





 王都から乗り合い馬車を使い、ゴブリンが出るという近隣の農村付近の森に到着。


『この森に生息するというゴブリンが農作物を荒らして困っとるとのことじゃったのゥ』


 森の中は鬱蒼としており、木の枝や葉に隠されて昼間だというのに薄暗い。


『いかにもゴブリンが好みそうな環境じゃな』


「そうは言っても未だ1匹も姿を見ないな」


 と思ったが――噂をすればなんとやら。

 前方に3匹のゴブリンを発見。


「…………いや、違うな」


『みたいじゃのゥ』


 囲まれている。

 前方だけでなく、側面、背後、木の上にもいる。

 その数は10を優に超えている。


「森の奥に入り込むまで泳がされていたみたいだ」


『ゴブリンは弱い魔物じゃが、バカではない――むしろ狡猾さで言えばトップクラスと言ってもよいくらいじゃ』






『ギャギャッ!』


『ギャギャギャギャ!』


『ゲヒッ! ゲヒッ!』


『ギヒギヒッ!』






 ゴブリンは皆、棍棒や石槍、投石などで武装しており、奴らは一斉に襲いかかってくる――!






 ――が。





「――蹴散らせ」







 ――俺の影がぶわりと広がり、そこから這い出す影霊(シャドウ)達。


『ブルガアアアアアアアアッッ!!』


 隻眼のミノタウロスが戦斧で――


『グルオオオッッ!!』


 オークが大剣で――


『ギギャ――――ッッ!!』


 ガーゴイルが石爪で――







『『『『ギギャアアアアッッッッ!?!?!?』』』』







 ――ゴブリン達を蹂躙する。




「影の拡大範囲は周囲5メートルって所か。顕現速度も悪くない。ゴブリンの奇襲程度であれば問題なく反応出来るな」


『シドッ! 油断するなッ!』




 ――ザッ!





『ゴギャッッ!!』


 ゴブリンの死体の下に隠れていた生き残りが、石槍を突き出して俺の背を狙う。


「――分かっている」





 ――斬ッ!





 石槍の突きを躱し、ナイフでゴブリンの首を刎ねた。


『おお、気付いておったか。見事――妾の余計なお世話じゃったのゥ』


「ずっと命がけの索敵をやらされていたんだ。ゴブリンの殺気くらい読み取れるさ」





***




 ――一方そのころ。


 ――第二王子シルヴァン率いる勇者パーティ。



『ギギャッ――!!』


「うおッ!? ゴブリンッ!? どこから湧いてきやがったッ!」


 シドを失った勇者パーティは、重騎士ガーレン、魔術師リリアム、アサシンルゥルゥ、勇者シルヴァンの4人で昨日に引き続きS級ダンジョン【緋宵月(ひよいづき)】に潜っていた。


「死ねオラッ!」




――グチャッ!





「はぁ、はぁ、雑魚が手間取らせてんじゃねェぞゴミカスッ! 死ねッ! 死ねッ!」


 ――ダンジョン地下1層。


 回廊の物陰に隠れていたゴブリンがガーレンを奇襲した。

 ゴブリンの奇襲程度で死亡する貧弱なステータスではないため、ガーレンは即座に反撃して一撃でゴブリンの脳天を潰したものの、ガーレンの太い腕は負傷して出血していた。


「まだ1層だというのにこの体たらく。王宮騎士団所属が聞いて呆れるな、ガーレン」


「悪いシルヴァン、油断しただけだ」


「ぷぷ~❤ ガーレンだっさ❤ ゴブリン程度に遅れとってるんじゃないわよ❤」


「あ゛あ゛ッ!? ンだとリリアム文句あんのかよッ!?」


「きゃ❤ こわ~い❤ シルヴァン助けて❤」


 リリアムは笑いながらシルヴァンの背に隠れる。


「……ったく、気分わりィぜ」


 シドに索敵を任せっきりだったツケが出ていた。

 自分で敵を探す能力が衰退していたのだ。

 更にガーレンは4人分の荷物を背負っており、普段より動きが遅くならざるを得なかった。


「つーかリリアムてめェ、荷物少し持ちやがれ! なんで俺が全部背負わなきゃなんねェんだよッ!」


「やだよ重たいもん❤」


「じゃあルゥルゥ!」


「…………」


 褐色肌のアサシン、ルゥルゥはガーレンの言葉を華麗に無視する。

 仲間とはいえ、王族のシルヴァンに荷物持ちをさせる訳にはいかず、ガーレンは渋々荷物を背負い直した。


「あのさァガーレン、シドがいなくなってからさ、イライラをアタシにぶつけるのやめてくんない? 普通にうざいんですけど❤」


「あ゛あ゛ッ!? それはてめェもだろうがッ! 煽ってんじゃねェぞメスガキ!」


「2人ともやめないか。俺たちは仲間だ、ダンジョン内で喧嘩するのはよせ」


 このパーティ、全員がすこぶる性格が悪く、自分の不機嫌を他者を攻撃することでしか解消することが出来ない、精神的に未熟な者ばかりだった。


 これまではシドが鬱憤の受け皿になっていたのだが、シドが死んだ(と思い込んでいる)現在、勇者パーティの雰囲気は最悪だった。


「ったく胸糞わりィぜ! シルヴァン、早いところ新しい奴隷を調達してくれよ!」


 シドを失い運命の歯車が狂いだした勇者パーティは、そのことに気付けるはずもなく、ダンジョンの奥へと進んでいくのであった。

・勇者パーティを現実世界に当てはめると

 重騎士ガーレンはシンプルに暴力を振るってくるヤンキー。

 勇者シルヴァンは優等生面して教師のいないところで陰湿なイジメをしてくるカースト上位男子。

 魔術師リリアムはカースト上位男子を盾にして陰キャを馬鹿にするギャル。

 アサシンルゥルゥは、特になにかしてくる訳ではないが、人を下に見るような目で見てくる大人びた女子、という感じですかね。

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