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【完結】最強クラス【影霊術師(シャドウネクロマンサー)】に覚醒し、俺を捨て駒にした勇者パーティと世界の全てに復讐する  作者: なすび
【第3章】In the abyssal depths of the boundless SHADOW

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103 フロウとアニスの様子

今回は聖教会サイドの3人称視点です。

前回とはうって変わって平和回です。

久々にフロウ(金髪のヒーラー)(聖痕之漆)とアニス(赤毛のアサシン)(聖痕之陸)が登場します。


今回のAIイラストは私服姿のフロウちゃんですです。

きゃわたん❤ きゃわたん❤

挿絵(By みてみん)

――シドがソブラと影霊合戦にて死闘を繰り広げている一方その頃。


――王都にて。



「はっ、はっ……アニス様、遅れてしまい申し訳ございませんっ!」


「いやいや――約束の時間5分前だし、ウチも今来た所だから気にしなくていいっスよ~」


 中央に噴水が設置された円形の広場。

 待ち合わせのランドマークとして王都民から親しまれている広場に駆けこんできたのは、《聖痕の騎士団(ナイツオブスティグマ)》の《聖痕之漆》――フローレンス・キューティクル――フロウであった。


 そんなフロウに笑顔で手を振るのは、同僚の《聖痕之陸》――アニス・レッドビー。

 約束の時間の1時間も前から待機していたというのに、爽やかな笑顔である。


「っていうかフロウちゃん、私服可愛すぎっス!」


「ほ、本当でしょうか……? 私、休日も教会支給の衣類を着ているので、よく分からず……」


 真っ白なワンピースに、腰部をベルトできゅっと締めたフロウの恰好は、彼女の清楚さと華奢な身体付きを強調している。



――じゅるり。



 年下好き(ロリコン)同性愛者(ガチレズ)アニスは、口元を手刀で切るように、垂れる涎をアサシン特有のスピードで拭い取った。

 あまりにも早い手刀。

 フロウはアニスの涎に気付いていない。


 なぜ私服姿の2人がこうして会っているのかというと――


「今日は付き合ってくれて本当ありがとうっス。ウチ、フロウちゃんと遊べるのをとっても楽しみにしてたッスから」


 ――2人の休日が重なったこともあり、アニスの方からフロウへ遊びのお誘いをしたのであった。



 フロウは以前、孤児院に行く予定があったために、アニスの誘いを断ってしまった事があった。

 そのことを負い目に感じていたフロウは、アニスの提案を受け入れたという次第であった。


 ちなみに遊び人のアニスは完全にデートだと解釈している。


「それじゃあまずは食事に行くッスよ。美味しいパンケーキのお店知ってるんスよ」


 アニスはフロウを連れ、広場を後にする。


 隣を歩くフロウの小さな歩幅に合わせながら王都の通りを歩いていると――フロウが自分の髪を気にするようにツンツンと触っているのに気付く。


「そういえば、今日は髪の毛編んでるんスね?」


「は、はい……その、休日に誰かと遊ぶ経験がなくて……お洒落とか、よく分からず……昔シーナ様に編んでもらった髪型を見よう見真似で再現してみたのですが、い、いかがでしょうか?」


「(うぐ……かわゆい……)」


 上目遣いでアニスを見つめるフロウ。

 本日のフロウは、いつものストレートヘアではなく、左右から一房づつ掴んだ髪を三つ編みにし、後頭部でまとめていた。


「大丈夫――めちゃくちゃ似合ってるッスよ」


「よ、良かったです。実はなかなかうまくいかなくて、それで遅れてしまったのです」


「ウチと会うためにお洒落してくれただけで嬉しいっスよ」


 アニスは普段、とっかえひっかえにしているシスターにそうするように、フロウへフォローを入れる。

 だが、フロウに対してはそのどれもが本心から出た言葉である。


「アニス様の私服も、格好いい系で素敵だと思います」


「そっスか? いやー、フロウちゃんにそう言われると嬉しいッスね~」


 アニスの私服は白いブラウスに黒のベストを羽織り、下は乗馬ズボンという恰好。


「(こういう恰好すると、女の子が喜ぶんスよね~)」


 中性的な顔立ちもあいまって、男装の麗人といった出で立ちだ。


「ていうか、ウチは最近知ったんスけど、フロウちゃんってシーナ先輩と一緒に暮らしてるんスよね?」


「はい。2歳の頃に母を亡くしており、以来シーナ様が私をここまで育てて下さいました」


「意外っスね~。あの堅物な先輩が、赤ん坊だったフロウちゃんのお世話してる姿想像できないッスよ」


「ふふっ。そんなことございませんよ。シーナ様はお優しいですし、お料理も上手なんです」


「嘘だ~。シーナ先輩に怒られた記憶しかないッスよ」


 美人が好きなアニスでも、シーナに対しては苦手意識を持っているアニスであった。

 少なくとも、フロウの髪の毛を結ってあげている姿など想像も出来ない。


「(ま、ああいうクール系美女が年下にベッドの上で好き放題されて子猫ちゃんみたいに乱れる姿を見るのは好きなんスけど)」


 そんな雑談を続け、2人は目的の店に到着した。


 パンケーキが看板メニューとなっているお洒落なカフェ。

 外装は石造りだが、中はログハウスを彷彿させる温かみのある内装となっており、ウェイトレスが2人を席まで案内した。


「わ、私こういったお店に行ったことないので……何を頼めばいいのか……」


「大丈夫ッス。こういう時は鉄板のバニラクリームがおすすめっスよ」


 アニスは手慣れた様子でウェイトレスを呼び、あたふたしているフロウの分も代わりに注文を済ませる。


 女子受けするお洒落な内装――アニスは日頃シスター相手に女遊びしている際、この店を頻繁に利用しているため、勝手知ったるかのようにスムーズだった。


 また、砂糖やバターを大量に使う甘味菓子は、下っ端のシスターの俸給では気軽に口に出来る値段ではないため、デート中に別のシスターと店でばったり出くわす事が少ないのも気に入っていた。

 司教クラスの俸給が支払われる、《聖痕の騎士団(ナイツオブスティグマ)》の高給様様である。


「わぁ、美味しそう……ですっ!」


 やがて注文したパンケーキが到着する。

 フロウは食前の祈りを捧げた後、「もきゅ、もきゅ」と擬音が付きそうな小さなお口でパンケーキを口に入れている。

 そんな姿も愛らしいと感じるアニスであった。


「(あー、やっば、何しても可愛いとか反則過ぎなんスけど……)」


 アニスはお得意の「フロウちゃん、ウチのパンケーキも1口食べてみるッスか?」と、手元のチョコソースパンケーキを一口差し出し、お返しにアニスのバニラクリームパンケーキを貰うという、〝あーん&間接キッス〟作戦をさりげなくこなしながら、美少女とのデートを最大限楽しむのであった。


シド「俺が必死に戦ってる時にイチャイチャすな」

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