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俺(私)の小さな世界  作者: アリスと蔵と
3/5

俺って何様?

「んで、君たちは人の店でいったい何をしていたのかな?」


神様と二人で寝ている所をこの人に見つかってしまった訳で・・・。

当然ながら勝手に色々やったのもバレてる訳で・・・。

その流れで行ったら怒られるのは確実な訳で・・・。


「何って、寝てたに決まってるじゃん。見りゃわかんだろ?」


どうせ怒られるなら開き直ってみようと思った訳で・・・。


「はいそこ、開き直らない。どうして反省の色がかけらも見えないのかな」


もちろん、反省なんてしてない訳で・・・。ってコレもういいか。


「確かに俺も寝ていたかもしれない。だが、先にこいつが寝たから仕方なく俺も寝たと言う事実がある!よって俺は被害者だ!」


「いや、もう訳わかんないよ・・・」


もうコイツには何を言っても無駄だ的な諦めを含めた視線を送ってくるのは、何を隠そう加害者の神様だ。

早くも俺とゆー存在になれてしまったのか、最初の時のようなステキなリアクションをしてくれなくなった。残念。


「でも、貴女も貴女ですよ?このバカと一緒に居る時点でそれなりの被害を被る事はわかるでしょう?もう少し人を見る目を養いなさい」


「そうだ、もっと養え!」


「君は黙ってなさい」


なんで俺ばっかりこんなに攻められるんだろう。


「世の中ってって世知辛いなぁ」


思わず呟いた言葉もスルー。

あ、なんか泣きそう。


「とりあえず、君達にはきちんと掃除をしてから帰って貰いますからね」


その言葉にチラっと店内を見回すと、なるほど。

どうやらシャンプー時に神様が飛ばした水が鏡やら何やらにまで飛んで微妙な感じになっている。

でもこれ、俺がやったんじゃないしなぁ。

とゆーことで俺が取るべき行動は一つ。


「あぁ。これ。こいつがやりました。俺は何もヤッテマセン」


「なっ・・・!?」


ずばり事実を言われて何も言い返せないのか、神様は口をパクパクさせて俺を見ている。

それってなに、金魚の真似?どうよこれって感じで俺に見せ付けてるわけ?

まぁ、結構うまいよ。うん。


「・・・ねぇ、もう少し付き合う相手は選んだほうがいいよ?」


盛大に勘違いをしてらっしゃる。

その言葉にも特に反応せず、いまだに金魚の真似をしている神様。

もちろん俺は否定しない。だってそのほうが色々面白くなりそうだし。


「とりあえず拭くだけでいいから、ちゃんとやっておいてね。私は二階にいるから・・・悪さしないでよ?」


「へいへい。わぁったよ。適当に吹いて適当に帰るわ」


適当って言葉に眉をピクっとさせたけど、何も言わずに二階へ上がっていった。

めんどくさいけど、自分の蒔いた種って奴か。






「で、なんで被害者の私まで手伝わなくちゃいけないのかな?」


白くてキレイなコメカミに青筋をたてなはら、笑顔できいてくる。

人間の一番怖い顔って笑顔なんだなぁとシミジミ思いつつ、お前が水を撒き散らしたのが悪いと言って無理やり手伝わせる。


「そもそも、あれはアナタが変な事言うからだよね?」


「変な事って?俺なんか言ったっけ」


「だ、だから・・・濡れてるとか紛らわしいこと言うからっ」


「あぁ・・・だって実際に感じて濡らしてただろ?」


今度は直球で行ってみた。

意外と下ネタいけるんじゃないかなーなんて。


「・・・あ、もしもし?警察ですか?」


「って、ちょっとまてーい!」


ベン・ジョンソンも真っ青のダッシュを披露しつつ携帯を奪取。

今のダジャレ結構うまかった、さすが俺。


「いやおまえ、マヂでサツにかけてんじゃん!」


「当たり前だよ。こんな変態はさっさと捕まえて貰わなきゃ、安心して外歩けないし」


うわー、目がマヂっす。


「いいから携帯返してよ」


「断る!返したらまたサツにかけるだろうが」


「当然。今日会ったばっかりの人相手に濡れてるとか・・・エッチ」


「男は皆エロなのだよ。これはもう世界で認識されている事実だ!」


「いや、そこ胸張れるトコじゃないと思うよ」


呆れるを通り越して面白くなったのか、軽く笑ってる。

たぶん俺よりもこいつは変なんだと思う。

俺に騙されていた事すら忘れたのか、それとも気にしていないのか。

本当なら怒って帰ってるはずなのに、こうやって手伝いまでしてくれて、更には俺に笑いかけてくれる。

瞬間的に怒ったり(怒らせたり)はするけど、後に響かないっていうか、別の事に興味が移ったら怒ってた事すら忘れてしまう。

その一瞬を楽しむ、そんな姿勢で生きているんだろう。


「なぁ、神様。結局カラーしてないけど、どうすんの?」


「あ・・・忘れてた」


このまま帰したら、本当にただの被害者になってしまう。

店員でもない男に騙されてオモチャにされて、最後は掃除までするハメに。


「さすがに、このまま帰すのは気が引けるからさ。ちょっと待ってろ、カラーしてくれるように頼んでくるから」


ベン・ジョンソンも真っ青のダッ(中略)を披露しつつ階段に足をかけたとき、教えてないはずの名前を呼ばれた気がした。


振り向いた時に見えた彼女の顔はとても真剣で、目を逸らす事が出来なかった。

少しずつ近づいてくる。一歩一歩ゆっくりと。


「一つだけ、訊いてもいいですか?」


ゆっくりと、決して大きくは無い声で。

でも不思議とハッキリと耳まで届いてくる。

地球に比べたら本当に小さな小さな俺の身体(世界)は、きっとこの時、神様に支配されてしまったんだと思う。

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