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無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ 【コミカライズ企画進行中】  作者: 桜井正宗
開発編

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勇者の手紙

 夜になり、俺は庭でワークテーブルに向かって調理器具やら椅子、テーブルなどを作っていた。集中していると空から何かが羽ばたいて――って、なんぞぉ!?


「うわぁ、鳥ぃ?」


 目の前には『フクロウ』がいた。

 不思議な鳴き声を発し、俺を視認すると目をピカッと光らせた。……うお、まぶしい!! 無駄にまぶしすぎるだろ。目が潰れるわッ。



『ホ~ホゥ!』

「ほ~ほぅ、じゃねぇよ。なんだよ、お前。俺の作業の邪魔するんじゃ……ん?」



 コイツ、足に何か括りつけてられているな。

 気になって俺はその結ばれた紙(?)を解く。それは『手紙』だった。しかも、宛名が『ラスティ・ヴァーミリオン』と俺の名が書かれていた。


 えっ、俺ぇ?


 なぜ俺の名前が手紙に書かれているんだ。てか、誰が送った?



 差出人は――



『ホホホ、ホホー!』


 フクロウが“読みやがれ”と言わんばかりに翼で威嚇っていうか、促してきた。このフクロウ、ただの鳥じゃないな。



「これを読めってか?」


『ソウダ、ヨメ』


「って、喋れるんかーい!!」


『ホンノ、スコシダガナ。ハヤクヨメ、ニンゲン』



 なんか偉そうだな。

 まあ、喋る鳥くらいいるか。

 一部の鳥は頭が良いし、声も発する。



「まあいい……どれどれ」



 手紙を確認する。目を通していくと、書かれている内容に俺は驚いた。こ……これは『ドヴォルザーク帝国』の内情か。しかも国だけじゃない……城での出来事を事細かく。どうして、こんな内容を。



 ◆◆◆◇◇◇



「騎士団長ルドミラ」


 ドヴォルザーク帝国の情勢は急変し、未知の病気が蔓延した。今や、国は対応に追われて大混乱。動ける者が日に日に減り、経済も衰退していく一方だった。民からの不満も多く募っている。このままでは帝国は……。



「おい、騎士団長ルドミラ!!」



 国を憂い、長考していると目の前で第二皇子のブラームスが自分を無視するなと憤慨(ふんがい)していた。相変わらず態度だけは大きく、人使いが荒い。この状況に私は辟易(へきえき)さえしていた。



 第三皇子ラスティ・ヴァーミリオン様が追放され、三日目。唐突な経済衰退に焦りを隠せない帝室は、早くもラスティを捜索せよと気を変えた。そんな命令が私に下る。



 皇帝陛下がラスティ様を強制追放テレポートをしたという砂漠へ向かったが、そこに第三皇子の姿はなかった。あれから三日も経ったのだ。既にどこか別の街へ辿りつたか、それとも諦めて木乃伊(ミイラ)となったか。

 しかし、死の痕跡もなければ、そのような気配もなかった。なら、どこへ行った……?


 ――ある日、仲間の『テオドール』がラスティ様の居場所を突き止めた。テオドールはテイムマスター。だから、モンスター操る異能があった。テオドールのペットにより、ラスティ様の居場所を特定完了。


 どうやら、帝国領海外の『無人島』で存命だと判明した。私はこの事実を直ぐに皇帝陛下に報告。陛下は、まず聖騎士ヨハネスに命令を下した。


 だが、行方不明となった。彼の所在は今も分からないままだ。


 次に、陛下は私に船を出し、向かうように命令したが――第一皇子のワーグナー様が名乗り出た。彼が副団長のエドゥアルド連れて行くと言ったのだ。


 最近、第一皇子とエドゥは婚約を交わしたと聞いていた。本人は“たまには激熱な恋もしてみたいじゃ~ん★”とか言って、第一皇子と第三皇子の因縁に便乗し、勝った方の嫁となるとワーグナー様を煽りまくっていた。


 ……やれやれ、エドゥめ。この数百年、まともな恋をしていないからと、調子に乗りすぎだ。



 後日、戦艦が帝国を出て行った。しかし、半日もせずに帰還した。中にはエドゥの姿はなく、ボロボロの雑巾と成り果てたワーグナー様が単独で戻ってきた。第一皇子は、エドゥのテレポートで飛ばされ、帝国の噴水の中に落ちていた。


 それを見た陛下は――



「ワーグナー、なんて有様だ……酷い顔をしているぞ」



 変わり果てた息子に対し、陛下は怪訝な顔を向けていた。自信を喪失し、別人のようだった。島でいったい、何があった。というか、エドゥは何故戻っていない?



「……お、親父。すまねえ、あのカスラスティに負けちまった……。思い出しただけで……くそおおおおおおお、悔しい!! 悔しい!! あの雑魚になんで俺が敗北しなければならない!! 俺は『氷帝』だぞ!!!」


「それで、副団長のエドゥアルドはどうした。婚約したのではなかったのか」

「知らねえよ! あいつ、俺からラスティに乗り換えやがったんだ!」



 その情けない光景が衛兵には滑稽(こっけい)に映ったようで笑いを堪えていた。それにワーグナー様は気づき、衛兵を睨む。



「おい、お前……今笑ったな?」

「い、いえ、とんでもございません。私はただ……」

「俺を笑うんじゃねえええええッ!!」



 とうとうブチギレたワーグナー様は、衛兵五人を一斉に凍結状態にした。これでは、完全な八つ当たりだ。


 こんな状態では、帝国はどんどん悪くなっていく一方だ。最近では、不穏な動き(・・・・・)も見せている。いよいよ『戦争』かと囁く者もいた。貧困脱却には、それしか道は残されていないかもしれない。



 だが、私は戦争反対だ。

 この帝国の騎士団長ではあるけれど、それは成り行き(・・・・)。この国をいつだって見限っても構わなかった。……ただ『世界聖書』を取り戻したいだけなんだ。



 私は、手紙を書く事にした。

 無人島にいるラスティ様とエドゥアルドに向けて。きっと、この手紙を読んで驚いていられる頃だろう。私は近々、そちらへ向かう。


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『――――勇者ルドミラより』

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― 新着の感想 ―
[良い点] …ええー!!?と、へー!…件の騎士団長は、あの勇者様だったのかー!…ラスティの元へ行く!?…てーことは…この状況から考えて…仲間入り!!?…やっっっとぁーーー!!!!!(やったー) [気に…
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