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無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ 【コミカライズ企画進行中】  作者: 桜井正宗
カファルジドマ大帝国編 (最終章乙)

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黄金の頂へ

「――で、シックザールは生きているのか?」

「はい。島での戦闘では、あなた方が撃退したようですが……残念ながら生きています」


 ヘイムダルが断言するのだから間違いないだろうな。あの時、シックザールは地の底へ消えただけ。消滅したわけじゃない。

 だけど、確実な大ダメージを与えている。

 無傷では済まないはず。

 よって、弱体化はしていてもおかしくはない。


「なかなかしつこい男ですね」


 ルドミラは少し呆れていた。

 そうだな、俺もナハトも何度も戦ってきた。アイツほど厄介な男は初めてだ。


「シックザールの生命力はゴキブリ並みさ」


 と、付き合いの長いナハトがそう言った。……だろうね。



「教えてくれ、ヘイムダル。あの男はどこにいる?」

「いいでしょう。世界平和の為に力を貸します」


 どうやら、ヘイムダルは俺たちの味方になってくれるようだな。正直、本当に信じて良いか微妙なところではある。

 だけど、エドゥの瞳は“信じて大丈夫”だとそう言っているようだった。


「直ぐ分かるのか?」

「ええ。星帝シックザールの魔力は独特なので」


 ヘイムダルは右手を伸ばし、念じる。すると、数秒で判明したようだ。……早いな。



「場所は?」

「島国ラルゴ」


「……な!?」



 俺だけでなく、みんなも驚いていた。まさか、また再び島国ラルゴを狙う気か!



「ラスティさん、島の人たちに危険が!」

「そうだな、スコル。大至急で戻る必要がある」


 こうなったら、エドゥに転移魔法を展開してもらうしかない。俺は視線を向けた。すると、エドゥは「お任せを」と短く返事。


 即座にワープポータルを展開した。

 光の柱が現れた。


 中へ飛び込めば『島国ラルゴ』へ転移できる。



「行くのだな、兄上」


 俺の前に立つハヴァマール。まるで覚悟を決めろと言っているようだった。実際そうなのだろう。多分、次が『決着』になる。そういうことなのだろう。

 俺自身もそれは感じていた。

 終わりの時は近づいているように思えた。


 前回の戦いで俺たちはシックザールを圧倒しつつあったし、実際に勝利した。だから、次は決着となるはず。



「もちろん。世界も大切だが、一番は島国ラルゴだからな」


 みんな俺の意見に賛同してくれた。

 アルフレッドもストレルカも。

 ルドミラたちも。


 ――さて、戻るか!



「残念ですが、私は移動できません」



 と、思ったがヘイムダルが辛そうに言った。


「そうなのか。来てくれないのか」

「ええ。もうご存じかと思いますが、私は霊体。このカファルジドマ大帝国に縛られているのですよ」


「どういうことだ?」


「守護聖人ヴァーツラフ・ズロニツェの与えてくれた“不老不死”には制約があるのです。……それは常に魔力を消費すること」


 実体を維持する為に常に魔力が必要という。なので、魔力が尽きると死ぬ――というよりは消滅するらしい。……なるほど、ヘイムダルの不老不死にはそんなデメリットもあったのか。

 確かに死にはしないが――“消滅”は避けられない。

 そうか、すでに『霊体』であるから、死んでいるも同然。となると消滅しかないわけだ。

 だから、無理に戦えば消えてしまうらしい。

 そりゃ戦闘には加われないわけだ。



「わかった。大帝国は任せたよ」

「ええ。こちらは気にせず。星帝シックザールを討伐してください」

「おう、わかった」



 今度こそ別れだ。

 これで一旦はカファルジドマ大帝国とおさらばだ。



 ◆



【島国ラルゴ】



 転移を出ると、そこは俺の城拠点の庭。

 本当に久しぶりに帰ってきた。もう懐かしささえ感じてしまうほどだ。


「変わっていませんね」


 周囲を警戒するルドミラは、敵の気配を探っているようだった。

 とりあえず、周辺に敵はいないようだ。


 シックザールはいないようだな。



「……」



 だけど、エドゥはなにか感じ取っていた。



「どうした?」

「山の方かもしれません」

「山の方? アルゴナウタイか」


 かつてコルキスで騒動になった場所。……まさか、あの場所に?


 俺はコルキスに声を掛けようとしたが――既にドラゴンに変身して飛び立っていた。……まさか単独で乗り込む気か!?

【カファルジドマ大帝国編・完】

いったん章完結です!


次回【永劫回帰編】へ続く。

100万文字にて『完全完結』となります。

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