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無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ 【コミカライズ企画進行中】  作者: 桜井正宗
カファルジドマ大帝国編 (最終章乙)

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ヘイムダル宰相の計画

【カファルジドマ大帝国】


 俺たちを警戒する多くの騎士たち。

 以前と変わらぬ景色がそこにはあった。

 久しぶりに戻ってきた――この国に。


「どうやら、我々は歓迎されていないようですな」


 当然のことを言うアルフレッド。その通り、騎士たちはこちらを睨みまくっていた。

 いつ襲ってきてもおかしくない雰囲気だぞ、これは。


 だが、俺たちが星帝シックザールを倒したという噂が広がっているおかげか、無謀に挑戦してくる騎士たちはいなかった。


 みんなと共に大帝国の中央にある城へ向かう。


 無事にたどり着き、城内へ。

 もちろん、城を守る騎士たちがいたのだが、不思議と手を出してこなかった。……止められているのか?


 気にせずヘイムダル宰相のいる部屋を目指す。


 そして、交戦するとなく到着した。

 こんなアッサリたどり着けるとは思わなかったぜ。



「……なんだか罠クサイな」


 猫耳をピョコピョコさせるハヴァマールは、じとっとした目で部屋の扉を見つめる。この先にヘイムダル宰相がいるはずだが――『罠』か……。


 そうだな、罠だろう。


 俺とスコルは一度、無人島に飛ばされている。それに、ルドミラたちも捕まった。

 ここへ来るということは、またその可能性があるということ。

 だが、同じ(てつ)は踏まない。



「みんな、今回は大丈夫だ」

「どういうことですか、ラスティさん」


 スコルが聞いてくる。


「みんなには話していなかったが、ヘイムダル宰相は……エドゥの母親だ」



 そう打ち明けるとみんな騒然となっていた。ルドミラとテオドールすらも知らなかったようだ。……秘密にしていたのか。



「どういうことだい、エドゥ!」


 テオドールが叫ぶ。本当に知らなかったようだ。


「……」


 本人は喋りたがらない。いつも以上に無口だった。

 こうなったら、この部屋に入るしかないだろうな。


 俺は先頭に立ったまま、扉を開けた。

 ギィっと軋む音。

 その先には――



「……来ましたね」



 ヘイムダル宰相の姿があった。俺たちを飛ばした時と同じままの姿で。

 ずっとそこにいたのか。


 スキル『クイックシルバー』で霊体だから、飲み食いの必要もないだろうしな。



「お母さま……もう止めてください」

「久しぶりですね、エドゥアール」


 エドゥアール?

 エドゥアルドじゃないのか?


「……」

「それとも……“本当の名”で呼ぶべきでしょうか」

「やめて」


 珍しく拒絶するエドゥは、明らかに表情を曇らせていた。コイツがこんなに感情を露わにするなんて珍しい。いつも仏頂面で顔色をほとんど変えないのに。


 俺はエドゥを(かば)うようにして質問を投げる。



「ヘイムダル、あんたにひとつ聞きたい」

「なんでしょう?」

「星帝シックザールに服従しているのか?」



 返答次第では……エドゥには申し訳ないが、ヘイムダルとは敵対となるだろう。辛いけど……。

 だけど、仕方ない。

 それに相手は不老不死の“霊体”だ。倒すというか、封印するような形にはなるかもしれない。


 なんであれ、返答次第だ。



「……ラスティ、あなたを無人島へ飛ばした理由ですが」

「む?」


「あなた方を逃がす必要があったのですよ」

「つまり、俺たちの味方ってことか」

「ええ。味方と思っていただいて構いません。あの時は申し訳ない」


 謝罪の言葉が出ると、ルドミラは警戒を解いて前へ出た。


「私からも聞きたい。今までのことはシックザール討伐の為と思ってよいのでしょうか」

「ええ。作戦の内です」

「なるほど。私たちを捕えたのも作戦の一環であると」

「雑な扱いをしてしまったことはお詫びします。ですが、シックザールに悟られては意味がない。ので、私は宰相としての仕事を全うしたのです」



 そういうことか。俺たちを無人島へ飛ばしたのも、ルドミラたちを捕えたのも全てはヘイムダル宰相の計画であり、作戦なのか。

 なら、この先の『プラン』を聞こうじゃないか。

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