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無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ 【コミカライズ企画進行中】  作者: 桜井正宗
カファルジドマ大帝国編 (最終章乙)

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黄金の聖女と聖書 - エル・ドラード -

 浮遊する古の王家の白銀剣(オージェンタム)古の王家の白銀盾(カーディナル)を対処しつつ、俺はシックザールに鉄球を浴びせていく。


 大砲に等しい速度で射出される鉄球なのだが、シックザールは『白銀の世界聖書(アルゲントゥム)』を使い、そのページから白銀の魔法を放ってきた。……な、なんだこの白い光!



「……っ!」



 スコルを小脇に抱えつつ回避。

 白銀の塊は、俺の拠点内の畑を蒸発させていた。な、なんて威力!

 あの野郎、白銀の世界聖書(アルゲントゥム)から光線を放ってくるとは……!



「ダス・ユングステ・ゲリヒト」



 そう唱えるシックザールは立て続けに光を放ってきた。野郎、世界聖書(ウルガタ)にどれだけの魔力を蓄えていやがる!


 こちらは回避で精一杯だが、これでいい。

 代わりにナハトとアイファが反撃に出てくれていた。



「ヘルブレイズ!!」



 ナハトの魔剣ヘルシャフトから“闇の炎”が大きく広がり、シックザールの背後を襲う。……これなら、いけるか!?



「お前はワンパターンすぎるんだよ、ナハト。いい加減に学べ」

「その言葉をそっくりそのまま返すぜ、シックザール!」


「……なんだと?」



 その時、アイファが空高く舞い上がっていた。――って、ハイジャンプってレベルではない。綺麗な弧を描いてシックザールの頭上を捉えていた。

 まてまて。

 アイファって身体能力(フィジカル)が高いのか……!



「エル・ドラード!」



 そう叫ぶアイファの周囲には“黄金の光”が現れた。お、黄金……だと!

 やがて黄金は無数の針となり、雨のようにシックザールへ襲い掛かっていた。


 な、なんて数だ。

 あれならさすがのシックザールも回避不可能だ。



「我が娘、アイファ。実の父親である私に歯向かうか……!」



 激昂するシックザールに隙があった。これは好機!

 俺は直ぐに無人島開発スキルで生成した『鎖』を四本同時に放つ。


 ジャラジャラと音を立てて向かっていく鎖は、シックザールの手足と両足を捕縛。確保に成功した――!



「これで身動きできないだろ!」

「ラスティ、貴様ああぁぁッ! ――なんて言うと思ったか!」


「なにッ!?」


「今こそ明かそう。私がなぜ“封印”から脱出できたのか!」



 懐から更に本を取り出すシックザールは、それを掲げた。しかし、その前にアイファの黄金の針が炸裂!



『ドドドドドドドドドドドドド…………!!』



 百、二百以上は降り注いでいた。

 槍のような針だ。さすがのシックザールも無事では済まないはず。


 砂埃が待って視界が悪いが、直ぐに結果はそこに現れ――



 な……!



 煙が晴れると、そこには無傷のシックザールの姿があった。



「ラスティさん!」

「……ああ、スコル。あの男……シックザールは生きている」



 いつの間にか鎖を外し、黄金の針さえも消失させていた。いつの間に。いや、あの世界聖書(ウルガタ)を取り出してから状況が大きく一変した。


 …………なんだよ、あの黄金の聖書。



黄金の聖書(エル・ドラード)

「なに……それって、今アイファが唱えた技と同じ名前……」

「そうさ、ラスティ。エル・ドラードはもともと世界聖書(ウルガタ)に記されていたスキル。それを我が娘に授けたのは……この私」


「そうか。だから、アイファは“黄金の聖女”……!」



 ようやく繋がった。つまり、シックザールの娘っていうのは本当だ。真実だ。

 アイファ本人は地面に降り立ち、認めていた。



「そうです。この力はあなたからいただいたもの。そして、その一部をナハトさんに分け与えたのは私……」



 特殊スキル『トレジャーハンド』のことか。

 金の宝箱を生成し、箱の中からS級以上の武具を取り出せる最強の能力。


 シックザールの黄金の力の秘密――世界が浸食されている元凶があの野郎だと確定した。


 そうか、全てはあの『黄金の聖書(エル・ドラード)』から始まっているんだな……!



「だからなんだ、シックザール!」

「ほう。ナハト、まだ勝つ気でいるのか?」

「違う。貴様には罪を償ってもらう。親の、村の、あらゆる被害者の仇……!」



 ナハトのヘルシャフトが赤く染まっていく。まるで血のように。

 な、なんて禍々しい魔力!

 魔剣本来の姿を現しているかのような、そんな気配がした。


 距離があるのに、凄い熱気だ。……暑い。とても暑い。まるで蒸気でも発しているような、そんな爆熱を感じた。



「刃を赤くしたところでどうなる」

「シックザール、お前を殺す……!」



 一瞬にして消えるナハトは、神速の域を超えていた。……捉えられない!



黄金の聖書(エル・ドラード)よ、ナハトを粉砕せよ」



 シックザールもまた詠唱をはじめ、黄金の力を発揮する。どっちが先だ? ナハトの攻撃が先に通るか、それともシックザールの黄金か……!


 でも、俺だって立ち尽くしているばかりじゃない。


 スコルの力も借り、右手に膨大な魔力を集中させていた。


 万が一、ナハトが外せば……俺は全魔力を使い、この大技を放つ――!

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