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無人島 Lv.9777

【無人島 Lv.9777】


 気づけば、島のレベルは9999に迫っていた。あと少しだ。

 あれから陣地をかなり強化したし、壁の外の騎士たちが拠点を作りまくるせいで勝手にレベルアップしていた。

 このままいけば、余裕でカンスト。目標到達だ。


 となれば、カファルジドマ大帝国へ帰還できるはず。


「兄上、いよいよなのだな」


 スコルが作ってくれたオムライスを食べながらハヴァマールが瞳を輝かせる。たぶん、オムライスが美味かったんだろうな。


「そうだな。みんなのおかげさ」


「大帝国へ戻り、全ての元凶であるシックザールを止めるのだ」

「なんだ、知っていたのか」

「うむ。兄上の情報は常に耳に入っておる」

「マジかよ」

「安心せい。あくまで重要な情報だけ」



 ――ならいいか。さすがにスコルとの会話だったりを盗み聞きされていたら……ちょっと困る。というか、恥ずかしいっ。



「この島の生活も慣れてきて、毎日が楽しいですが……世界は黄金に染まっていますものね」


 複雑そうに情勢を気にするストレルカ。その通り。今も、世界は黄金の影響が続いているらしく、各地が住めなくなっているという(アルフレッド談)。


 早くしなければ、この大帝国も、俺のドヴォルザーク帝国や島国ラルゴですら飲み込まれる。そうはせない。


 一刻も早く大帝国へ戻らねばならない。

 きっとヤツが王座にいるはず。


 星帝シックザールが。



「ラスティ、俺はシックザールを討つ」

「……ナハト」

「親の仇だ。アイファにとっても」

「そうだな。俺としてもヤツを止めたい。このままでは世界はヤツの支配下だ」


 世界は破壊され、そしてシックザールの手によって再生される。ヤツは理想の世界を創るつもりらしい。



「わたしとしても、あの方を……シックザールを止めていただきたいです」


 アイファは祈るように言った。

 もともとナハトとアイファの世界で、シックザールは暴れていたようだ。しかし、あの男は七つの世界に着目し、世界の統一を目指しているようだ。

 きっと、ヤツはヤツなりに世界の平和を目指しているようだが、方法が全て間違っている。


 ナハトやアイファの両親を殺し、多くの人を殺害したようだ。

 それだけじゃない。

 あらゆる世界で逆らう者を虐殺し、思いのままにしたという。そして、残ったこの世界に現れた。裏で暗躍し、世界を破壊する為に。


 世界聖書(ウルガタ)をかき集め、万能の力を手に入れる為に。

 つまり――シックザールは、神の真似事がしたいのだ。


 ……させるかよ。



「なぁ、ラスティ」

「どうした、テオドール」

「私たちは、この島に追いやられて、ずいぶんと強くなった気がする。確か、ヘイムダル宰相の仕業なのだろう?」


「そうだが」

「あまりに出来すぎじゃないか」

「そうかな?」

「少なくとも、私はなにかあると感じている」



 テオドールは不信感を募らせていた。確かに、あれからヘイムダルもシックザールも直に来る気配がまったくといってなかった。

 もし、俺たちを潰す気でいるのなら……とっくに攻めてきてもおかしくない。なのに、姿すら現さないなんておかしい。

 妨害のひとつやふたつしてもいいだろうに。



「考えすぎではないですか、テオドール」



 お茶を飲んでいたルドミラが、ジトッとした目をテオドールに向けていた。



「なぜそう思う?」

「我々を潰す気なら最初からできたはずだからです。でもそうしなかった」

「なるほど……」


 と、テオドールは納得していた。確かに、ルドミラの言うことも一理ある。シックザールが本気なら、こんな島を与えずに直接手を下せばいいはずだ。ヤツには力があるはずだ。封印から抜け出すほどの力が。


 でもそうしなかったのには、なにか事情があるんだ。


 どうして?



「…………」



 エドゥが俺を真っ直ぐ見据える。

 瞳には光は宿っていないが、確かな視線だ。



「どうした、エドゥ」

「ラスティ様、あとでお話が」

「わかった。――あとで」



 約束を交わすと、スコルがカップを目の前に出してきた。俺のお茶だ。



「ありがとう、スコル」

「いえいえ。ラスティさん、オムライスいかがでしたか?」

「うん、とても美味しかったよ。やっぱりスコルは料理が上手いな」

「えへへ、それほどでも」


 頬を赤くして照れるスコルは、本当に可愛い。

 こんな毎日が続けば、俺はそれでいいんだがな。

 だけど、シックザールをなんとかしないと、世界は終焉へ向かうだけ。スローライフしている場合ではない。


 だからこそ、俺は明日には『無人島Lv.9999』にしてしまおうと決意した。


 みんなとこうして平和にご飯を食べるためにも――。



 だから。



『…………フフ、ハハ』



 え……?

 この気配は、まさか……なんで。


 背筋が凍るような気配を感じた。おい、マジかよ。なんで急にこの悪魔のような気配が周囲を包むんだ。


 あの男だ。

 あの男が自ら乗り込んできやがった……!



 星帝シックザール!

章完結となります!

次章開始まで少々お待ち下さい。


【コミカライズ企画について】

コミカライズ企画も進んでおりますが、とある事情により遅延しております。内容を詳しくは言えませんが、幸いなことに白紙にはならなかったので企画継続中です。

なので、もうしばらく掛かりそうです。

気長にお待ちいただければ幸いです...!


それとですが、私の別作品『全スキル自動攻撃【オートスキル】で無双 ~超レベルアップ冒険譚~』の方はコミカライズが今月配信予定です。


https://ncode.syosetu.com/n8852ga/


comicグラストより配信です。

(※comicグラスト106号に予告ございます)

詳しい告知はまた改めて上記作品ページでいたします。

応援いただけると幸いです。

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