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無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ 【コミカライズ企画進行中】  作者: 桜井正宗
カファルジドマ大帝国編 (最終章乙)

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魔王化の影響

 親父の野郎……勝手に俺の意識に入り込んで、勝手に魔王化しやがって……。今度会ったら一発ブン殴ってやる。

 しかし、今は破壊された部分を修理しなければ。


 無人島開発スキルを発動し、俺は材料を消費して壁や監視塔を修復。元に戻った。


 それから俺はスコルと共に城へ。



 帰還して早々、酷い疲労感に襲われた。魔王化の影響だろうか、肉体的にも精神的にもやられた。これは一度寝ないと無理だ。



「……部屋へ行く」

「わかりました。わたしも一緒に」



 俺の体を支えてくれるスコル。優しい言葉が心に沁みるな。

 今隣にいてくれることが、とてもありがたい。


 部屋の前に到着すると、そこにはハヴァマールの姿があった。なぜ、そこに。



「おかえりなのだ、兄上」

「あ、ああ……ハヴァマール」

「……兄上。さきほど魔王の気配を感じたのだ。兄上からな」


 ハヴァマールを誤魔化すなんて無理だな。



「ああ、さっき一瞬だが魔王ドヴォルザークの力を得た。親父が意識に入り込んできたんだ」


「やはりか。以前、アントニンは冥界の狭間にいたようだが……今は違うらしい」



 思うところがあるのか、ハヴァマールの表情はとても険しかった。そうだよな。オーディンに近しい存在はハヴァマール。正式な後継者といっても過言ではない。

 俺に無人島開発スキルを与えてくれたし、黄金の宮殿『ヴァルハラ』という巨大空間も招待してくれた。


 だから、ハヴァマールにとってはアントニン……親父のことは大問題なのだろう。



「俺は……また魔王になるかもしれない」

「かもな。だが、安心するのだ」


「え……」


「余がなんとかする。きっと兄上の魔王化を食い止めてみせるのだ」



 真剣な眼差しと頼もしい言葉を向けられ、俺は嬉しかった。このままでは完全に魔王ドヴォルザークになってしまうのではないか。そんな不安に襲われていた。


 でも、ハヴァマールがいる。

 スコルもいる。

 みんながいる。


 きっと協力しあえば乗り越えられるはずだ。


 それに、カファルジドマ大帝国へも戻らねばならない。一刻も早くシックザールを撃破せねば、世界は黄金に包まれる。



「ありがとう、ハヴァマール」

「あまり思い詰めるでないぞ」

「ああ、一度寝る」

「そうするのだ」



 部屋へ入り、俺はすぐにベッドへ横になった。……眠い、今は眠ろう。



 ◆



 不思議と夢は見なかった。

 起き上がると体は岩のように重く、倦怠感(けんたいかん)もあった。……どうした、まるで熱でもあるような。


 あれ、おかしい……ぞ。



「…………っ」

「おはようございます、ラスティさん。――って、足元ふらふらですよ!?」



 体を支えてくれるスコル。そうか、あれからずっと一緒にいてくれたんだな。



「なんか動けない」

「もしかして……あ、やっぱり」


 スコルは、手を俺の額に当てなにかを確信する。


「…………どういうこと?」

「風邪ですね」


「か、風邪……!?」



 俺が風邪だって? この歳になってからは一度も風邪なんて引いたことがないぞ。そりゃ、ガキの頃はよくあったけどさ。


 このタイミングで風邪とはな……。これも魔王化の影響か?



「眠っていないとダメです」



 寝かされる俺。

 しかし、この拠点を守らないとだな……。



「外の様子が気になる……」

「ダメったらダメです」

「そ、そうだ。スコルのヒールなら!」

「ヒールは傷を癒したりする力ですので、病は治せないんです」



 それもそうか。病まで治療できたら、それはあまりに万能すぎる。


 ――てか、まて。


 俺は神器エインヘリャルで不老不死のはずだ。不死といっても、病気は掛かるのか……。案外、不死身ってわけでもないんだな。


 守護聖人ヴァーツラフ・ズロニツェも、そこまで万能には作れなかったということか。


 なんであれ、俺はしばらくスコルから看病を受けることになった。

 ありがたいことに、四六時中、休まず俺の傍を離れなかった。……おかゆも作ってくれたし、体も拭いてくれたし……聖女すぎて泣けた。

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