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無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ 【コミカライズ企画進行中】  作者: 桜井正宗
カファルジドマ大帝国編 (最終章乙)

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魔王ドヴォルザークの再来

 ――魔王の、チカラ、なんて……イラナイ。

 振り払えない。この黒い闇を、冷たいナニカを。


 親父の野郎、俺になにをしやがった…………!!



『さあ、覚醒せよ、ラスティ。お前の本当の力を世に示すのだ』



 この野郎……ブン殴ってやる。

 でも、体が言うことを聞かない。もうダメだ……。

 手も足もナニカが浸食していく。やがて全身が犯されていくような感覚に陥って、俺は闇の中へ吸い込まれた。



「……ラスティさん?」



 懐かしい声が響く。でも、今は届かない。俺はただ、目の前の男と戦いたい欲望に支配されていた。ヤツを、倒したい。



「ついに諦めたか、小僧! そう、お前は所詮、罪人! 世界の平和と秩序を乱す存在であり、悪魔であるッ! よって処刑する……!」



 エクスキューショナーが俺の目の前に振ってくる。ルーカンの攻撃は、以前に比べて凄まじく速く、恐ろしい。


 だが、今の俺にとってはそれは赤子のようなものだった。


 なぜだろう。

 この男の攻撃は余裕で(かわ)せるし、余裕で反撃できると理解できた。……どうしたんだ、俺は。


 ――闇が強くなる。



「ルーカン!」

「……! ラスティ、貴様……全身が黒く……! うぉッ!?」


「魔王の力を味わうがいい……『肉体は(クアンド・)死して(コルプス)朽ち果てるとも(・モリエトゥル)』……!」



 その瞬間、俺の全身から黒い影が現れ、幽霊のようなソレはルーカンに襲い掛かっていた。



『グオオオオオォォォォ』


「な、なんだこれは……! ラスティ、貴様……やはり、バケモノ!」



 直後には、ルーカンの武器であるエクスキューショナーはドロドロに融解。武器をロストしていた。……あれ、なんで? 俺の力なのか?


 意識がハッキリしない。

 俺は何者なんだ。どうして戦っている……?


 なぜ、こんな戦いをしている。


 背後から声がするような。誰かの懐かしい声。俺の大切な……人の、声。



「――――ラスティ、さん。……どうして」



 たぶん、彼女は泣いている。でも、声があまり届かない。


 第二の詠唱を開始する。



「……『焼かれ、焚(インフラマートゥス・)かれ(エト)るとはいえ(・アッケンソス)』!!」



 黒炎が俺の全身が解放され、それがルーカンを飲み込もうとしていたが――。



「だめです!!」


「…………ッ!?」



 ……俺はなにを。

 この声は、スコルだ。


 そうだ、俺は……なにかヤバイことをしかけたような。――そうだ、親父が俺を魔王にすると言って!


 ……スコルのおかげで正気を取り戻せた。


 だけど、ルーカンのいた近くの壁がぶっ壊れ、地面は数メートル抉られていた。まてまて、これ……俺がやったのか?




「…………こ、降参だ」



 がくがく震えるルーカンは、大の字に倒れて白旗を振っていた。マ、マジか。気づかないうちに倒していたとは。



「ラスティさん、もういいんです! 変な風にはならないで……ください」

「あ、ああ。大丈夫だ。俺はもう正気だ」


「よかった。急に恐ろしい気配に変わったから……」



 やっぱり、魔王化していたんだ。クソ親父のせいで!

 あの野郎、勝手に俺を魔王ドヴォルザーク化させたな。


 ――そうか。思えば親父はもともとオーディンなのだ。それが闇落ちして魔王ドヴォルザークなんかになっちまった。だから俺が魔王化しても何にもおかしくないわけだ。血筋ってヤツかね。



「なにがあったのですか!?」



 ようやくルドミラたちが駆けつけてきたが、破壊された監視塔や外壁を見て驚いていた。



「すまん、ルドミラ。俺が破壊した」

「なんと……! そういえば、魔王ドヴォルザークらしき気配を感じたのですが、あれはなんだったのです?」



 ルドミラは勇者だから、気配には敏感なんだな。ちゃんと魔王を捕捉していたとは凄いな。下手すりゃ俺の首が狙われていたかもな。



「あとで詳しく話す」

「わかりました。それまで私が現場を守りましょう」

「ありがたい、頼む」


 俺はルーカンを地下牢へぶち込む。


 それから……ちょっと休みたいな。

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