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無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ 【コミカライズ企画進行中】  作者: 桜井正宗
カファルジドマ大帝国編 (最終章乙)

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未知の無人島 Lv.5000

 三日後。

 無人島――もはや、バトルフィールドと化した島は、相変わらず殺伐(さつばつ)としていた。

 外壁では、騎士同士で戦ったりしている。

 我が拠点を狙ったりもしてくるが、最近は撃退成功率が高い。

 更に追加した“強化トラップ”だけでなく、ストレルカやテオドールの召喚モンスターや、ルドミラとナハトの白兵戦により、なんとか奇襲(レイド)されずに済んでいた。



 そして、アルフレッドの助言によって『外壁』を鉄板で覆うことにした。追加で有刺鉄線も張り巡らせることに。

 さすが元レオポルド騎士団の騎士団長、考えることがエグい。


 俺にその発想はなかった。


 そもそも、鉄は結構貴重な材料だからな。

 だけど、今はそうもいっていられない。


「――よし、不要な装備を分解して鉄にした」

「さすがラスティ様です。敵の武器も鉄に変えてしまいましょう」


 と、騎士から奪った剣や盾、アーマーやガントレットを山積みにするアルフレッド。そんなに奪ってきていたとは……!


 しかもこれ、A級やB級のレアリティを誇る武具ばかり。

 騎士のヤツ等、結構良い装備をしているんだな。



「助かるよ。これだけあれば外壁を強化できる」

「それでは良かったです。……ただ」


「ん? どうした?」


「近頃は、敵も強くなってきております。パーティを組み、協力して武具を強化しているようなのです」



 ――なるほど、それで拾ってきたアイテムのレアリティが高いのか。つまり、これらは敵が製造した武具なんだ。


 どうやら、騎士の中には武器や防具の製造スキルを持つ者が多数いるようだな。鍛冶屋(ブラックスミス)でもないのに、なんてヤツ等だ。

 それとも、紛れているのか……?


 調査してみるのもアリかもしれないな。

 どうやって潜り込むか、その方法が思いつかないが。



「今のところ俺たちの拠点が最強だ。壁を突破されない限りは様子見かな」

「ええ、どの家よりも立派ですからね。……ところで、ラスティ様」


「おう?」


「そういえば思ったのですが、コルキス様にドラゴンとなってもらい、飛び乗ってカファルジドマ大帝国へ戻るというのは如何でしょうか?」


「……あー、それな」



 俺も少し思ったが、残念ながら今は“対策”されてしまった。この島周辺に『飛行禁止エリア』が設定され、今はもう上空を飛ぶことができない。


 カファルジドマ大帝国の皇帝――つまり、シックザールが権限でそうしたのだろう。


 野郎、完全に俺たちで遊んでやがる。



 なので、コルキスはドラゴンになっても飛ぶことはできなくなった。昨日、本人が試したので証明されている。



「そうでありましたか」

「となると、島のレベルを上げるしかないさ」


「今はいくつでございますか?」


「この前は3000で……今は5000だ」

「おぉ、もうそんなにレベルを上げられたのですね」


「気づけばな。それに、騎士も次から次へと現れてくるからなぁ……」



 毎日、大帝国からどんどん送られているらしい。

 俺の予想だけど、島で稼げるとか謳って募集して転送しているんだろうな。

 あまりも雑というか、闇雲というか……無鉄砲というのかな。それとも、ただのアホか。

 際限なしに騎士ばかりをこの島に放ってやがる。

 死者も多数出ているのに、お構いなしだ。


 シックザールにヘイムダル……いったい、なにを考えているんだ。



 俺はいったん、外へ出ることにした。

 監視塔には変わらずキリアンの姿があった。すっかり定着した気がする。


 気になって螺旋階段を上がった。

 屋上にはタコスを貪るキリアンがいた。……美味そうだな。



「……うめぇ。って、ラスティじゃないか」

「よう、キリアン。順調か?」


「まあね。ムジョルニア騎士団に比べると快適な仕事だ」

「そりゃよかった。いっそ、俺の島に来いよ」

「君の島……?」


「そうだ。俺はこの島よりも、もっと大きな島国を所有している」

「なんだって!? ラスティ、君は王様か何かなのかい?」


「一応、ドヴォルザーク帝国の皇帝かな」

「…………え」



 いきなり青ざめるキリアンは、タコスを持ったまま土下座していた。そんな献上するみたいに向けられてもな。



「今更いいって。気にするな」

「こ、皇帝に向かって数々のご無礼をっ!」


「いつも通りでいい。今の俺は、ただのラスティさ」

「し、しかし……。む、むぅ……分かった。その島国には興味がある。ただし、家族と移住したい」


「わかった。この戦いが終わったら招待するよ」

「ありがとう」



 お皿に余っているタコスをくれるキリアン。俺は遠慮なくもらった。

 口へ運ぶと――うまッ!


 噛みしめた瞬間、スパイスとハーブが花火のように弾け、野菜の清涼感が夏の風を思わせる。わずかな時間の食事が、祝祭のひとときへと変わったような感覚。ん~、こりゃスコルの手作りに違いない。


 圧倒的な美味――!

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