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無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ 【コミカライズ企画進行中】  作者: 桜井正宗
カファルジドマ大帝国編 (最終章乙)

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製造スキル『ミニ・ワークテーブル』Lv.1

 建物の裏へ回ると、確かに騎士の姿があった。その数、一人。

 ヒゲの生やした中年の騎士だった。


「ここから侵入してやる……!」



 剣で何度も外壁を叩き、突破しようとしていた。……いやいや、剣では無理だろ。強固な『石』の壁だぞ。何万回叩いても破壊できないと思うが。



「無駄だ。やめておけ」

「ッ! 貴様はラスティ! そこで待ってろ! お前の全てを奪ってやるからなァ!」



 なんで、どいつもこいつも俺に恨みを持っているんだか。大罪人ってのはヘイムダルの権限で取り消されたはずだ。……いや、関係ないのか。

 物資さえ奪えればいいってわけか。


 それがカファルジドマ大帝国のやり方だから。


 だからって命のやり取りをする必要はない。俺は騎士共に恨みなんて、これっぽっちもないからな。


 さっさと大帝国へ戻り、コイツ等とはお別れだ。


 ならば騎士共は捕らえて地下牢に閉じ込めるしかない。……そうだ、地下牢を作ろう!



「悪いが、ここは通さん! トラップ強制発動、トラバサミ!」


「え……ぐァァァ!?」



 中年騎士の足元にトラバサミが出現し、足を噛んだ。といっても、本物のトラバサミでは足を吹っ飛ばしてしまうので、逃げ出せないレベルにはしてある。



「そこで待ってろ」

「き、貴様あああ!」



 俺は直ぐに空いている土地に簡易的な建物を作り、そこに地下を掘った。500人は収容できる巨大地下だ。

 牢を高速で設置していき――完成。


 こんなところか!


 急いで地上へ戻り、再び建物の裏へ。中年騎士がまだトラバサミに捕まっていた。俺は騎士を確保しようとしたが、アルフレッドが壁を飛び越えて着地。暴れる騎士の首筋に手刀を入れて気絶させていた。


 騎士を小脇に抱え、再び俺の方へ戻ってきた。



「ラスティ様。この方を地下牢へぶち込めばよろしいのですね」

「あ、ああ……見ていたのか」

「ええ。やはり、騎士たちを捕らえるしかないようですな」

「無駄に血を流す必要はない。大帝国のやり方が間違っているんだからな」


「素晴らしいお考えです。では、私は牢へ」


 しゅたっと素早い動きで向かっていくアルフレッド。

 あとは任せよう。


 これでいったん仕事は終わりかなと一息ついていると、キリアンがまた叫んだ。



「敵襲! 南の方向だ!」

「またかっ!」



 俺は急いで南の方角へ。壁を上ってみると、今度は二人組。木製のハシゴを設置し、登ろうとしていたところだった。……いつの間にそんなモノを!


 まずい、これでは侵入される。



「ははは! 壁なんて破壊する必要はない!」

「そうだな、相棒。これで拠点に入って物資を奪ってやる! 女もな!」



 なるほど、二人はペアパーティか。

 だが、ハシゴを登っている最中だ。ならば足で蹴飛ばしてやれば――?



「えいっ」



「「え……うああああああああああああああ!!」」




 当然、ハシゴはバランスを崩し反対方向へ倒れるわけでして。それが弱点だったな。

 二人はバタンと倒れて気絶。


 まさか壁を登ってくる騎士がいるとは思わなかったな。

 あの二人もアルフレッドに任せるか。


 それにしても、どうやってハシゴを作ったんだ? 手作りには見えないクオリティだぞ、これは。


 となるとスキルか。

 騎士たちには製造スキルが備わっているのだろうか。


 俺はいったん監視塔へ走った。


 ハシゴを登り、キリアンの元へ。



「やあ、ラスティ。君の活躍を見させてもらったよ。すげえな」

「普通さ。それより、騎士のことについて聞きたい」


「なにをだい?」


「さっきの騎士は上等なハシゴを持っていた。それこそ売り物になるような」

「ワークテーブルスキルだろう」


「なんだって!? それって……」



 俺の無人島開発スキルの一部にあるヤツだ。そうか、騎士たちも使えるんだな。

 だが、キリアンの情報を聞く限りでは俺ほどではない能力だ。生活の最低限を補助するような感じだった。



[ミニ・ワークテーブル][Lv.1]

[製造]

[効果]

 特殊なテーブルを召喚する。

 日常で使えるアイテムを製造できる。木材限定。

 製造には大量の『木材』が必要だ。


 製造可能:木机、木椅子、棚、木製ハシゴ、ボロい釣り竿、簡易的な水筒



「こんな感じだ」

「なるほど。俺の下位互換ってことか」

「ほう、ラスティ。君はもっと上位のスキルを習得しているようだな」


「まあな。キリアン、情報をありがとう。これで謎は解けた」


「いいってことさ。という俺も、ミニ・ワークテーブルは使える」

「そうなのか」

「だけど、大量の木材が必要でね。ひとつ生成するのに100本は欲しいな」



 そんなにか。なかなか非効率なスキルなんだな。

 だけど、仲間と協力すれば集められなくもない数だ。さっきの騎士はサバイバルしながら、集めたってことか。


 今後、あらゆる手段を使って侵入してくるだろうな。気を引き締めねば。

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