祝福を受けし天上の聖域 - ヘブンリーサンクチュアリ -
「ラスティさん、更なる刺客が現れそうです」
と、ムスペルさんは“予言”した。
今でも数十人の騎士がサバイバルをしているのだが、また増えるのか。
「大帝国から送られてくるんだな」
「ええ。ヘイムダル宰相が決定したようですね。という予言ですが」
「……なんだって」
その予言が正しいとは限らないが、しかしこうも騎士を送ってくるとなると……疑いの余地はないのかもしれない。
ヘイムダルは俺たちに何をしたいんだ……?
シックザールの命令に忠実に従っているだけなのか。
よく分からないが、でも真実が明らかになるのはそう遠くはない。無人島のレベルは上がり続けている。
すぐにカファルジドマ大帝国へ戻ってみせるさ。
「明日です。明日お気をつけください」
「了解」
ムスペルさんは去っていく。
明日、更に敵が増えるという。これ以上、増えたら大変だぞ。
今のうちに拠点を強化しておかねば……!
◆
アルフレッドが無事に帰還した。
木材や石材をかなり集めてきてくれた。数本、数十本という数ではない。数千個にも及んだ。……こりゃ、スゲェな。
「ご命令通り、多くの材料を集めて参りました」
家の庭に置かれていく、大量の材料。
騎士から奪った物資も含まれているようだ。
「騎士は殺したのか?」
「いえ。彼らは敵とはいえ……殺すには値しません。生存の為に必死なだけですから、戦闘不能にしました」
アルフレッドは、騎士たちの手足の骨を折るにとどめたらしい。それでも十分すぎるけどな。
「助かったよ。これで島のレベルを一気に上げられる」
「ラスティ様に貢献できたのなら、何よりでございます」
満足そうに頭を下げるアルフレッド。外でかなりの人数の騎士とやり合ったようだし、たいしたものだ。さすが、元レオポルド騎士団の騎士団長だ。
「ただいま戻りました」
監視塔で監視を続けていたルドミラも戻ってきた。
テオドールと交代したようだな。
「おかえり」
「こちら異常ありません。スナイダー卿の鬼神のごとし剣技によって、敵は瞬く間に打ち砕かれていました……。見惚れるほど見事でした」
と、アルフレッドを賞賛する。神器エインヘリャルで何百年と生き、勇者であるルドミラから見ても、アルフレッドは凄いんだな。
「ごはんできましたよ~」
家の中からストレルカの声がした。
夕食ができたらしい。
ちょうど腹が減ったところだ。食うか。
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ストレルカ特製の美味すぎる帝国カレーをいただき――満腹。
畑で採れたじゃがいもなどの野菜をふんだんに使っていたし、美味かったなぁ……。
やはり、団欒というのは良いものだな。
みんな笑顔で食事を楽しんでいたし、こんな時間がずっと続けばいい。
でも本来なら、島国ラルゴであるべき光景だった。
帰りたいな――故郷に。
外を眺めていると、目の前に魔力を感じて俺は引いた。
「……?」
「……ただいま戻りました」
食事後、監視役をテオドールと交代していたエドゥが戻ってきた。
「拠点の外はどうだい?」
「夜になり、落ち着きました。小屋は今のところ七つ確認。残るは洞窟などに潜伏しているようです」
うまく隠れているようだな。
さすがに夜襲はないと思いたいが、ありそうなので困る。
夜も交代制で監視を続けねばな。
「深夜は俺も監視をする」
「いえ、アクアナイトとゾーダグリズリーがいるので大丈夫でしょう」
「心配性なんだよなぁ……俺」
「そうでしたね。では、スコル様の力を借りましょうか」
「え? スコルの?」
「はい。聖女の力なら、拠点の防衛力を高められるのです」
そうなのか!
てか、それを島国ラルゴでも教えて欲しかったけどな!
スコルを呼ぶと、キョトンとしていた。状況が飲み込めていないから当然だな。
「わたしの力で……?」
「そうです。スコル様には守護スキルがあるんです」
「えっと……新しいスキルは覚えてないですけど……」
「これです。これ」
「あ……本当だ。いつの間に」
どうやら、スコルには新しいスキルが備わっていたらしい。気づかなかったんだな。
「それは?」
「はい、ラスティさん。詳細を教えますね」
[祝福を受けし天上の聖域][Lv.7]
[スキル]
[詳細]
聖域スキル。
物理攻撃および魔法攻撃を防御する。
一部特殊なスキルも防御可能。
一部特殊なスキルによっては防御できない。
魔力が続く限り聖域を展開できる。
魔力が底を尽くと聖域は解除される。
「こりゃ凄い! これなら拠点を守れるな!」




