炭酸水の水属性魔法『ソーダスプラッシュ』
アルフレッドに材料集めを任せ、俺の方は拠点内に沸くモンスター討伐へ。
どうやら、この島はランダムでモンスターが出現する性質のようだった。
ゲイルチュールを抜き、俺は畑を目指す。
やはり、モンスターの好む場所といえば、あそこしかない。
急いで向かうと、そこにはストレルカの姿があった。
「――スプラッシュ!」
ざっぶぅぅんと物凄い水圧が巨大クモモンスターを粉砕していた。
「ひぃっ! ラスティさん。あんなデカいクモ……無理です!」
[ブラックウィドウ]
[属性:地]
[種族:昆虫]
[詳細]
クモ系モンスター。
猛毒を持ち、咬まれると非常に危険。
毒を吐くこともある。
かなり素早いので注意。
俺の背中に隠れるスコルは怯えていた。確かにデカい。単純に人間の二倍はあるだろうか。
しかし、ストレルカが撃破してくれた。助かったぜ。
「おや、ラスティ様にスコルさんも」
「ありがとう、ストレルカ。まさか先に駆けつけてくれていたとは」
「いえ、わたくしはお花畑に水をあげていたのです。ほら、畑の隣でしたので」
そういえば、そうだ。ストレルカの要望で俺は花畑を作った。今や、赤や黄、青などといったカラフルな花が咲いていた。
が、さっきのクモモンスターに少し荒らされていたようで、一部被害が出ていた。
「畑を守っていたんだな」
「ええ。あんな巨大なクモが現れるとは思いませんでした……」
青ざめながらもストレルカは、勇気を振り絞って撃退したと言った。あんなクモを前にして、よく戦えたものだ。俺でもアレはちょっと厳しい。フォルム的に。
「ストレルカさん、凄いです」
「そんなことはありませんよ、スコルさん。わたくし、今でも膝が震えていますから……」
よく見ると、膝どころか手や腰も震えていた。がんばったんだな。
「常に警戒しなきゃなんてな」
「島国ラルゴとは、どうも違うようですね」
「ああ……。あ、そうだ!」
「……?」
「ストレルカ、島国ラルゴと同じようにアクアナイトを召喚できないか?」
「そうでした! 彼らに警備を頼めばモンスター討伐もしてくれますね」
「決まりだな」
「はい。ご助言、ありがとうございました」
アクアナイトがいれば、勝手にモンスターを倒してくれるし、なんなら外の騎士たちも撃退してくれることだろう。
てか、あの騎士たち……生き残れるのだろうか。
◆
[ソーダグリズリー]
[属性:水]
[種族:動物]
[詳細]
炭酸水の水属性魔法ソーダスプラッシュを使うクマ。ゆるキャラ系クマ。仲間意識が高く、主人には従順。
テオドールの熊が壁の向こうの騎士たちを追い払っていた。
水属性魔法の『ソーダスプラッシュ』は、炭酸水という珍しい魔法スキルだ。一応、飲めるとのことだ。
[ソーダスプラッシュ][Lv.5]
[スキル]
[効果]
水属性魔法(炭酸水)を放出する。
かなりの水圧なので、受けた者は強烈なダメージを負う。
ただし、炭酸水は飲むと美味しい!
体力回復効果あり!
「どうだ、私のペットは可愛くて賢いだろう!」
えっへんと自慢をするテオドール。活躍っぷりに満足しているようだ。しかし、炭酸水を飲まれると体力を回復される難点があったが、今のところはバレていないようだ。
「わ~、あのクマさん可愛いですねっ」
スコルは、マスコットキャラのようなクマを気に入ったらしい。確かに、見た目は人形のように可愛いけどね。
ということで、当面はストレルカのアクアナイトと、テオドールのソーダグリズリーが拠点を守ってくれることになった。これで俺はしばらく拠点強化に集中できるわけだ。




