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無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ 【コミカライズ企画進行中】  作者: 桜井正宗
カファルジドマ大帝国編 (最終章乙)

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怒りの追放

 小屋を出ると、少し離れた場所にかなりの人数の騎士が盾を構え、待機していた。

 お、おいおい……なんて数だよ。


「……なぜ、こんなに」


 恐怖に震えるスコルは、青ざめていた。

 相手の人数が多すぎる。

 10人――いや、20人はいるかもしれない。



「大帝国も慌てているということか」


 冷静につぶやくハヴァマールだったが、なにかを感じ取って(まゆ)を吊り上げていた。



「どうした?」

「…………この気配、まさか」


「え」


「兄上。あの騎士たちの中にエドゥアルドの気配がある」

「エドゥの!?」



 ま、まさか“人質”として連れてこられたのか……?


 だとしたら、絶対に許さんぞ。コイツ等全員ぶっ飛ばす。



「とうとう騎士団連中が来たか……」

「そうなのか、キリアン」

「ああ、間違いない。ムジョルニア騎士団だ」



 カファルジドマ大帝国の騎士団で間違いなさそうだな。



「大罪人ラスティに告ぐ! こちらは貴様の仲間である少女を人質にしているぞ」



 背の高い誰かがエドゥを連れ出してきた。

 金髪の女騎士だ……かなり美人だが、殺気しか感じない。なんだ、この女は!



「ヤツは、霹靂(へきれき)の『レスクヴァ』だ! まずいぞ、いきなり副団長とはな」



 と、キリアンは情報をくれた。マジかよ。

 あの余裕たっぷりの表情は自信の現れ。かなり強そうだぞ。


 レスクヴァは、かなりの数の拘束具でエドゥを逃げられないようにしていた。目隠しやら、口枷(くちかせ)まで! 手足までオモリなどでビッシリだ……そんな過剰な!



「……くっ!」


「反応がないな、ラスティ。いいのか、仲間が痛い目に遭うぞ」



 突然、レスクヴァは魔力で剣を()み――それをエドゥの腹部にぶっ刺していた。



「…………ッッ!!」



 神器エインヘリャルで不老不死とはいえ、痛みはそのままだ。

 エドゥは叫びこそしなかったが、明らかに苦痛で(もだ)えていた。……血が、あんなに。




「レスクヴァ、貴様ああああああ!!」


「ハハハハ! 何度でも刺してやる!」



 ヤツは狂気じみていた。

 何度も何度も、黄色に輝く魔法の剣でエドゥを突き刺していた。……やがて、エドゥはその場に、ぐったりと倒れていた。



 …………あの女だけは絶対に許さん!



「おまえ……」


「楽しい! とても楽しいぞ、ラスティ! そうは思わないか!」


「ふざけるな!」


「オモチャは死んでしまったようだ。さあ、はじめよう! この島なら思う存分に戦えるだろう……!」



 騎士を引き連れていきなり現れたかと思えば、俺のエドゥを乱暴に扱いやがって……! 死なないとはいえ、これは残酷すぎる。



「ラスティさん、エドゥさんが……!」

「ああ……スコル。でも大丈夫だ。エドゥは神器で死なないさ。でもきっと精神的に辛いはずだ。こっそりでもいい、ヒールを頼む!」


「わかりました」



 後方支援は任せた。

 ムスペルさんとキリアンは下がらせた。


 ハヴァマールは、さっき魔法スキルを使って魔力がないらしいし、俺が戦うしかない。


 俺は久しぶりに怒りに支配されていた。


 仲間を、エドゥを血まみれにしやがって……!



 +10覚醒ヴェラチュールを即召喚して、俺は本気でブン投げた。




「――怒りのライトニングボルテックス!!」




 光速で到達した俺の槍は、レスクヴァに命中してアッサリとぶっ飛ばしていた。ついでに、周囲の騎士共も飛散していく。




「――ぬ!? ぐあああああああああああ……!?」




 予想外だったらしく、彼方まで飛翔していった。……怒りに身を任せて全力投球したからな。



「兄上! 思い出したのだ! 無人島開発スキルを使うのだ! 島の“マスター権限”があるだろう!」



 …………!


 そうだったぜ!!



 更に、俺は『覚醒無人島開発スキル』の【追放】権限を発動した。これがあったな! ナイス、ハヴァマール!




「キリアン以外の騎士は、全員追放だ馬鹿野郎!!」




 その瞬間、ムジョルニア騎士団の気配は一斉になくなっていた。……よし、全員送り返してやったぜ。

 しかも、ただ追放しただけじゃない。

 奴らを、どこかの適当な無人島に送ってやった。しばらくは戻れないだろう。




「……エドゥさん、しっかり!」

「…………スコル様、ヒールをありがとうございます……」



 俺も直ぐに駆けつける。

 エドゥはかなり衰弱していた。

 この拘束具を取らないと。


 俺はすぐに外して、エドゥを自由にした。これで……ヨシっと。



「よかった。神器のおかげで出血は止まったな」

「ラスティ様のおかげです……」


「いや、すまん。まさか人質にされるとは……」

「……気にしないで。自分は不死身なので」



 不幸中の幸いってヤツだな。エインヘリャルに助けられた。

 もし神器がなかったら……今頃は命はなかったかもしれない。そう思うと、神器を生み出したスコルのお父さんに感謝だな。



「エドゥ、今小屋へ運んでやるからな」

「で、でも……自分は今、血まみれで……」


「気にすんな」



 俺はエドゥをおんぶしていく。



「…………ラスティ様、自分は……わたしは…………嬉しい、です」



 普段はクールを装っているエドゥだが、時折見せる素が可愛くてたまらない。もう大賢者の風格である必要はないのにな。

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