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無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ 【コミカライズ企画進行中】  作者: 桜井正宗
カファルジドマ大帝国編 (最終章乙)

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未知の無人島 Lv.1

「また部下が失礼を」


 ヘイムダル宰相は、心底申し訳なさそうに謝罪していた。


「いや、大丈夫だ。むしろ、ルーカンの方が心配だが……」



 アイツ、かなりの衝撃で壁にぶつかっていた。

 一応近づいて確認すると、腕を掴まれた。



「ラスティ、貴様あああああああああ!」

「……うぉ!? 死体がシャベッタ!」


「誰が死体じゃ! 死んでおらんわ!」



 なかなかシブトイというか、無駄に防御力のあるヤツだなと俺は思った。

 スコルのあのスキルを食らって、まだ動けるとはな。



「ホーリークロス!」



 ぴゅぅぅぅちゅどぉぉぉん――と、再び聖属性攻撃がルーカンに激突。今度こそ白目を剥いていた。



「今日のスコルは手加減なしだな。どうした?」

「ここへ連れてこられる前なのですが、この方……わたしのお尻を触ってきたんです!」

「んなッ! 痴漢野郎じゃねぇか!」



 なるほど、そういう経緯もあってスコルは激怒していたんだな。つか、俺のスコルに気安く触れやがって……ルーカンの野郎、ヘンタイだったとは!



「なんと申し訳ない……いや、情けない」



 さすがのヘイムダル宰相も呆れていた。

 その後、ルーカンは担架に乗せられ、衛兵の手によって運ばれていった。



「ところで、この美しい方は?」


「ああ、実は――」



 俺はスコルにヘイムダル宰相のことを話した。すると、かなり驚いていた。



「そうだったのですね! では、ラスティさんに罪はないのですね!」

「そういうことです」


「よかったぁ……」



 胸を撫で下ろすスコルは、嬉しそうに微笑む。

 俺も疑いが晴れて安心したよ。



 ――さて、残るはシックザールの話だが――。



 なんか上空から気配を感じるんだよな。……いや、これは!



『…………見つけたぞ、ヘイムダル!』



 どこで来たような声が響き、そしてそれは“飛来”してきた。




「おい、まさか――!」




 あの巨大な黄金竜は『コルキス』か!

 どこへ行ったかと思えば、まさかこんなところで会うとは。



「久しぶりだな、ラスティ」

「あ、ああ……。って、なんでここにいるんだよ」


「この国でナハトの気配を感じたからだ。いるんだろう?」


「よく分かったな。そうだな、どこかにいるはずだ」

「……そうか。それならいい。それよりヘイムダル……!」



 コルキスは、鋭い目つきでヘイムダルを(にら)む。一方のヘイムダルは平然としていた。……もしかして、顔見知りなのか。



「……久しぶりですね、コルキス」

「ナハトの次はラスティを利用する気か!」


「なんのことでしょうか?」



 ヘイムダルはとぼけるように言った。……ナハトを利用? 俺を利用? どういうことだ、それは。


 今までの情報を聞く限りでは、ヘイムダルは味方に思えたがな。そうではないのか?



「しらばっくれるな! ヘイムダル、お前は世界聖書(ウルガタ)を悪用し、シックザールに手を貸した! だから、こんな醜い国が生まれたんだ」



 なんだって……コルキスの言うことが本当なら、ヘイムダルは極悪人じゃないか。……でも、コルキスの言うことが正しいのかも分からない。


 どっちを信じればいいんだ?



「ヘイムダル、どういうことなんだ、これは」

「……ラスティさん。コルキスは全て(・・)間違っている」


「信じるな、ラスティ! この女は……この女こそが大聖女ボヘミア様を暗殺した犯人だ!!」



 ――その瞬間、俺とスコルに“ナニカ”が渦巻いた。



 え、なんだこの、青紫のオーラは――?




「……え」




 ぐにゃりと視界が曲がっていく。


 その時、俺は見逃さなかった。



 ヘイムダルの口元が酷く歪んでいたことを――。

 悪魔みたいな笑みを浮かべていたんだ――。



 ……なぜ!!



『うあああああああああああああああああああああ…………!』



 ・

 ・

 ・



 ――――。



 意識を飛ばされたような感覚だった。


 体がどこかにあるのか。

 まるで幽体離脱のような浮遊感。なぜ、どうしてこうなった……?



 俺は、


 スコルはどこにいる?



『――――ザァァァ』




 波音が聞こえるような。



 ん、波音?



 (まぶた)をパカリと開けると、そこは――。




「海……?」


「ラスティさん、ここはどこですか……!? 何も見えませぇぇん……」



 いつしかのように()のオバケになっているスコル。俺は藻を解きながら、周囲を見渡す。



 おい、おい……うぉい!



 ここはまさか……『無人島』……なのか!?



【未知の無人島 Lv.1】



 は、はああああああああ……!?

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