表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ 【コミカライズ企画進行中】  作者: 桜井正宗
カファルジドマ大帝国編 (最終章乙)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

519/579

カファルジドマ大帝国

 ルサルカ大陸を抜け、ついにオラトリオ大陸へ突入。

 ここまで二日を要したが――意外と早く着いた。


 その間にも、カファルジドマ大帝国からやってくる人間は後を絶たず。俺とスコルは特に人気者だった。

 嬉しくない人気だな。



「……おぉ、あれが大帝国なのですね」



 遠くを見つめるスコルは、妙に懐かしそうな表情をしていた。

 縁はないはずだが――ボヘミアに引っかかる部分でもあるのだろうか。


 俺は『覚醒無人島開発スキル』で小屋の風化を修繕しつつ、ドラム缶風呂に目をやった。

 すると、そこにはのびのび風呂に入るハヴァマールの姿が。



「なんだ、ハヴァマールか」

「おう、兄上」


「……って、ハヴァマール!?」



 人体を失ったはずのハヴァマールがそこに降臨していた。いつの間にいたんだよッ!



「久しぶりに下界に降りてきたのだ。やはり、黄金の宮殿(ヴァルハラ)は退屈でなぁ」

「お前な。しばらく無理じゃなかったのかよ」


「それが不思議なことにな。カファルジドマ大帝国に接近すればするほど魔力が高まったのだ」



 マジかよ。どういう理屈だよ、それは。

 まあいいか。こうして目の前に復活してくれたことは兄として嬉しい。



「一緒に行動できるんだな?」

「んや。肉体が戻ったとはいえ、動けぬ」

「なんだって?」

「まだ完全ではないのだ。歩行は困難だ」



 そんなことって……。

 お風呂は入れているのに、歩けないというのか。

 まあいい、ハヴァマールはここに置いておくとして――。



【カファルジドマ大帝国】



 到着だな。

 眼前に広がる恐ろしく広い国。

 どこまでも街並みが続き、建物が無数にあった。……これが貧困? 信じられねえ。


 どう見ても経済力のありそうな国だけどな。


 なんなら、俺のドヴォルザーク帝国と遜色(そんしょく)ないレベルだ。



「おや」



 国を見つめるルドミラは人差し指を街並みへ向ける。すると、直後。



『ピュ~~~ドォォォン!』



 と、綺麗な花火が打ちあがっていた。一発だけ。



「なんだ、花火を打ち上げるだけの余裕はあるじゃないか」

「ラスティくん。カファルジドマ大帝国は未知の国ですから、団体行動は避けた方がよろしいかと」


「そうだな。今回は何人かアルケロンで待機してもらう」


 と、俺が発言するとみんなが『え~!』と不満そうに声をあげた。

 ……みんな行きたいんだ。



「自分は常にラスティ様と」


 エドゥは、ちょっと恥ずかしそうに俺の服を引っ張る。


「私もエドゥに同感でね。この目で大帝国の内部を確かめたい」


 テオドールも恥ずかしそうに俺の服を引っ張る。――って、気持ち悪いわっ!



「わたくしもご同行させてください」

「ああ、今回はストレルカは一緒だ」

「まあ、嬉しいです! ありがとうございます」



 レイナルド伯爵の要請で、エチェナグシアの民たちを島国ラルゴへ避難させた。その任務で随分(ずいぶん)とがんばってくれたようだし、お礼もしたいと思っていた。

 だから、ストレルカは連れていく。



「俺は単独行動しようと思う」

「ナハト、だが……」


「ちょっと気になることもあってな」



 そうだな、アイファを一番に見つけたいのはナハトだ。俺が行動を制限できることではない。



「分かった。気をつけてな」

「いざとなったら合流するさ」


「了解。じゃあ、エドゥに転移してもらえ」

「そうする」



 エドゥの転移スキルでナハトは、直ぐに地上へ降りた。一足先にカファルジドマ大帝国内部へ進んだ。


 さて、俺たちも向かうか。


「私も行きますよ」


 ルドミラはアイテム整理をしながら、そう言った。

 となると、()()(ばん)はハヴァマールだけか。




「余のことなら気にするな。どうせ動けん」

「って、ハヴァマールさん。いつの間に!?」

「おう、スコル。さきほどからいたぞ」



 ニッカリ笑うハヴァマールは、ドラム缶風呂に浸かりながらピースしていた。お気楽なヤツめ。



「あの、ラスティくん」



 困惑気味にルドミラは俺にたずねてきた。



「ん?」


「ハヴァマールさんは……消えたのでは?」

「いやまあ、アイツは神様みたいなものだからな」

「……なるほど」



 ()に落ちてなさそうだが、正直俺もそうだ。ハヴァマールは、俺が考えるよりも上位存在なんだろうな。ていうか、無人島開発スキルをくれたのも覚醒させてくれたのもハヴァマールなんだよな。

 我が妹、大切にせねば。



「じゃあ、行ってくる」

「おう、兄上。ピンチになったら余を呼ぶがよい」

「ああ、頼りにしてるぜ!」



 エドゥが指を鳴らす。

 その瞬間にはカファルジドマ大帝国の街中にいた。


 心の準備がまだだったが、あっさりと中へ入った。……ここが大帝国の街中。



 ボロボロの服で、しかも裸足で闊歩(かっぽ)する人々。

 表情に生気も笑顔もない。

 しかし、なにかを求めているような――かつて、俺が“泥水を啜ってでも生き残ってやる”と豪語した時のような、そんな人間の欲深さ、執念を感じる。



 周囲の人間、十数名ほどが俺たちに集中する。



 その目つきはまるで――獣のような。


 草原や高原フィールドで散々感じた殺気と似ていた。


 いや、そのものである。



 ま、まさか!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ