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無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ 【コミカライズ企画進行中】  作者: 桜井正宗
カファルジドマ大帝国編 (最終章乙)

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魔導アイテム『スペルカード』

「お前たちの物資をいただくぜ!」


 ここ三日以内でカファルジドマ大帝国からやってきたという騎士や賊が多発していた。草原フィールドには、何十人と現れ、俺たちの“物資”を狙ってきやがった。


 そして今日も――ひとり。



「またか」



 万能つるはしゲイルチュールを肩に乗せ、俺はポツンと突っ立っている筋肉質の大男を見つめた。

 たった一人で大亀アルケロンに向かってくるとは。



「おい! そこから降りて戦え! 高いところから見下して卑怯だぞ!」



 ――って、言われてもなぁ。

 アルケロンの上が一番安全だからな。


 ここ三日で何度戦ったことやら。

 どいつもこいつも物資狙い、あるいはスコル狙いだった。

 騎士たちはスコルを『ボヘミア』と勘違いしているようで、奪還を試みてくる。どう見ても違うだろうに。エルフだし。



「また……ですね」



 隣で困惑するスコル。その表情には疲労もにじみ出ていた。



「ところで、スコル。カファルジドマ大帝国のことは分かったか?」

「ええ、少しだけ」

「おぉ、さすがだな」


 昨日、カファルジドマ大帝国の座標は判明した。今、向かっている最中だった。

 だが、肝心の詳細が足りなかった。

 実際に行って見て確かめれば早いが、世界聖書(ウルガタ)を使って予め知れるのなら、その方がリスクも減らせるというものだ。



「こう言うのは心苦しいのですが……」

「お、おう?」


「カファルジドマ大帝国は……かなり貧窮(ひんきゅう)しており、物資不足に悩まされているようです」


「それって、つまり貧乏ってこと?」



 こくっとうなずくスコル。

 なるほどねぇ。


 大帝国って割には、そんな事情があったとは。

 飢餓(きが)でも起きているのか。

 それとも、元からそういう国柄なのか。


 とにかく、あの大男を追い払うしかないようだな。



 エドゥに合図を送ると、俺は転移で草原へ。地面に降り立ち、大男の賊と対峙(たいじ)した。



「ようやく降りてきたか、小僧!」

「気が乗らないが、ずっと粘着されてるのも疲れるんでな」



 正直、三秒で片付けてアルケロンへ――スコルの元へ帰りたい。


 だから。



『ズバ~~~~~ンッ!』



 大男の頭上に大量の水が降り注いでいた。



「ぶふぁっ!? なんだこの水!」



 雨でもないにもかかわらず、大男は滝に打たれていた。

 こ、これはまさか!


 アルケロンの方を見上げると、そこにはストレルカの姿があった。

 彼女の水属性魔法スキルだ。



「ストレルカ!」

「水で濡れた彼の命運は尽きました。ラスティ様のスキルでビリッとやってしまいましょう」



 そうか! あの状態なら簡単に倒せるな。

 ちなみに、ストレルカは昨日合流を果たした。

 エドゥが転移して連れてきてくれたのだ。

 おかげで全員集合だ。



「よし、これでも喰らえッ! ぷちライトニングボルト!」



 ビリッと短い音がすると、大男を簡単に感電させた。



「うぎょっ!?」



 そんな情けない声と共に、地面に倒れた。

 強い電気ショックだから、しばらくは気絶することになる。


 さて、コイツの物資は――なにかあるかな。


 物資を奪われに来ている以上、俺にも奪う権利がある。それに、カファルジドマ大帝国のアイテムも気になるからな。



 ――お、これはなんだ?



 大男のポケットに黒いカードが数枚あった。謎の言語で書かれているな。

 収穫はこれで十分だ。



 俺はアルケロンへ戻り、ストレルカに礼を言った。



「ありがとう、助かった」

「いえいえ。わたくしもようやくラスティ様と合流できて嬉しく思います」



 右手で胸を押さえ、感激するストレルカは上品で美しい。

 長い髪が優しい風に(なび)き、女神のようだった。


 見惚れていると、スコルが俺の腕を引っ張った。



「ラスティさん!」

「おっと、すまんすまん。そういえば、黒いカードを手に入れた」


「なんです、それ?」


「さあ? 知らない言語で書かれていて読めないんだよね」



 どうやって発動するんだろうと考え、ふと指で触れてみると――。



『ズゴォ、ドゴオオオオオオオオオオオン…………!!』



 カードから火属性スキルようなものが飛び出て、凄まじい音がすると別方向にあった大岩が木っ端みじんに吹き飛んだ。


 な、なんだこりゃあ!?



「「ええッ!?」」



 スコルもストレルカも驚いていた。いや、俺もだけど!


 なんだこのカードは!


 てか、あの大男……こんな危険カードを所持していたのかよ。



「おやおや。これは珍しいアイテムをお持ちで」

「エドゥ……! お前、これを知っているのか」

「ええ。これは『スペルカード』です」


「スペルカード?」


「指で触れるだけで発動できるスキルカードです」

「マジか」


「しかも、スクロールとは違って消耗しないのです。自身の魔力は消費しますが……非常に強力。それが最大の特徴ですね」



 こりゃスゲェ。

 カファルジドマ大帝国の技術かもしれないな。

 貧困の割には、こういう魔導アイテムは存在するんだな。



[スペルカード:サンバースト]

[レア度:★★★★]

[詳細]

 このカードは火属性魔法スキル[サンバースト]を発動する。指定した場所に大爆発を起こし、太陽の光と灼熱の炎で焼き尽くす。



 エドゥの力によって翻訳された。ほぉ、これが……!

無人島Lv.9999の番外編を個人サイトに掲載しました!

興味のある方はこちらからどうぞ。

http://ludmila.jp/

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