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無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ 【コミカライズ企画進行中】  作者: 桜井正宗
黄金の聖女編(最終章甲)

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黄金の宮殿『ヴァルハラ』

 毒を解除した俺は、ゲイルチュールを剣形状のシグチュールへ変化させた。

 あの爪を叩き落すなら剣の方がいい。


 予想通り、シチリアは毒爪攻撃を放ってきた。


 俺は剣で応戦。爪を地面へ払った。



「ここまで上り詰めただけはある」

「褒めて貰っても嬉しくねぇよ」



 妙に大人びた笑みを浮かべるシチリア。少女にしては落ち着きがありすぎる。……女王だからかもしれないけど。


 次の攻撃に移ろうとするが、異様な気配に俺は足が止まった。


 ……なんだこの胸騒ぎ。



「あ! ラスティさん、上です!」



 スコルが叫ぶ。俺の頭上に“なにか”ある――!


 視線だけを上に向けると、そこには巨大な魔法陣があった。これは……! あのシチリアの魔法スキルなのか!



 これは回避せねばマズイと直感した。

 直ぐに移動を開始するものの、魔法陣が頭上に落ちてきた。……落ちてくるのかよ。



 俺は成す術なく、そのまま“暗闇”に囚われた――ようだ。



 ・

 ・

 ・



「――ぐ」



 記憶が正しければ、ここはアルキメデスのパリンプセスト城のはず。

 しかし、(まぶた)を開けて見た光景は違ったものだった。


 お、おいおい……ここ、どこだよ。


 なんだ、この暗闇の中。

 まさか、俺は死んだのか……?


 以前にも似たような世界に取り込まれたことがある。


 あそこは『冥界の狭間』だった。元クソ親父(アントニン)が言っていたから間違いない。また、同じ場所に来たのか。



「なにをしているのだ、兄上」

「え……。この声、ハヴァマールか!?」



 暗闇がいきなり晴れると、今度は白い空間の中にいた。そこには、いつものメイド姿のハヴァマールの姿があった。

 今まで姿を消し、声だけの存在になっていたが――どうしてここに。



「なに、してるんだ……?」

「それはこっちのセリフなのだ。まさか兄上が“こっち”に姿を現すとはな、驚いたぞ」


 腕を組み、意外そうにするハヴァマール。いや、そう言われてもな。



「ここはアレか。ハヴァマール専用空間ってところか」

「うむ。我が『ヴァルハラ』なのだ」


 ヴァルハラ?

 どこかで聞いたような……。


 俺は疑問を感じて首を(ひね)った。そんな中でハヴァマールは微笑む。白い空間は、更に色を変えて黄金色に染まった。……って、なんだこりゃ!?


 黄金の宮殿……だと。

 信じらんねえ。


 まるで神話時代の――。



「ヴァルハラ……お前、ここでずっとゴロゴロしていたのか」

「失礼なっ。この場所で余はずっと世界を見守ってきたのだ」


「なるほどな。どこにいるかと思ったが――凄いなこりゃ」

「黄金の起源はここだ」


「……なんだって?」


 今、世界を揺るがしている事件の根源ってことだよな?


「すまん。もっと早く言うべきだったのだ」

「そ、そりゃ……驚いたけど。関係あるってことか」


「さあ、そこまでは。しかし、今は悠長に話している場合でもなかろう」



 その通りだ。早くシチリアを倒してアイファの情報を聞き出さねば。

 とはいえ、どうやって戻ればいいんだかな。



「帰還方法は?」

「よくぞ聞いてくれた。ちなみに、兄上は死んだのではなく、強制転移へここで来たようだな」


「……そうなのか?」


「どうやら、兄上には“転移”に関する呪い的なものがあるのかもしれぬ」



 そんな呪いは嫌だなぁ。

 しかし、過去に似たような事象が起きている。因果関係があるのだろうか。あって欲しくねえなぁ。



「まあよい。きっと無人島開発スキルが覚醒したせいもあるのだろう」

「そういうことかな」


「多分な。さて、帰る方法は簡単だ。この先に出口がある」

「あんのかよ!」



 ハヴァマールについていくと、宮殿の近くに扉だけの物体があった。黄金の扉だ。こんなモンがあるとはな。



「ここを通れば下界へ帰れるぞ」

「下界って……。てか、ハヴァマールも一緒に帰ろうよ」


「それは無理なのだ」


「なぜだ」

「余はまだ魔力が戻っておらぬ。余はまだ天の声としてここにいるのだ」


「そうか。ちょっと残念だが、ここへは来れそうだな」

「永遠の別れではない。余は常に兄上のココにおる」



 胸のあたりを指さすハヴァマールは、ヒマワリみたいな笑顔で笑った。そうだな、それなら寂しくない。


 俺は黄金の扉を開けた。



 ◆



【パリンプセスト城】



『――ズウウウウウゥゥゥゥン』



 俺のいたであろう場所には大穴が出来ていた。アレを受けていれば俺は木っ端みじんだったわけだ。


 シチリアは勝利を確信していた。


 だが、俺は彼女の頭上にいた。



 落下する中で俺は、覚醒無人島開発スキルを発動。


 鋼鉄チェーンで体をグルグル巻きにしてやった。




「な、なんだこれはああああああ!?」


「お前の負けだ、シチリア!」


「ラスティ、貴様! 生きておったのか……!!」




 焦りながらも身構えるシチリアだが、もう身動きはできない。これが最大のチャンスだ。




「ぷちライトニングボルト!」




 ビリッとシチリアを(しび)れさせた。


 さすがの俺も、こんな少女を本気で倒せるわけがなかった。しかし、これで十分だ。



「ぐ、う……」



 パタリと倒れるシチリア。


 俺のランキングは【2】→【1】へ。


 これで決着はついた。

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