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無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ 【コミカライズ企画進行中】  作者: 桜井正宗
黄金の聖女編(最終章甲)

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追放されし大賢者

「そうか。点と点は繋がった」


 意味深な発言をするシチリアは、俺の方へゆっくりと向かってくる。

 周りはどうでもいいらしく、戦いだけを望んでいるようだ。


 なぜ俺にこだわる……?


 戦ったところで、双方にメリットなんてないだろうに。

 でも、国柄なのなら仕方ない――か。



「分かったよ、シチリア。お前を倒せばいいんだな」

「そうだ。仲間は下がらせるがよい」


「心得た」



 俺はルドミラに合図をした。

 みんなを下がらせたが――スコルだけは俺の腕にしがみついた。



「わ、わたし……離れたくありません!」

「スコル……気持ちは嬉しいよ。でも、勝たねば先へ進めないんだ」


「……でも。でも」



 かなり前から心配してくれていたんだな。

 俺というヤツは、いつも肝心な部分に気づかない。



「ありがとう。勝って必ずスコルのもとへ戻る」

「約束ですよ……!」


「ああ。だから、ルドミラの(そば)を離れるなよ」

「はいっ」



 俺の言うことを素直に聞くスコルは、ルドミラの方へ走っていく。


 ……さて、俺はゲイルチュールを召喚した。


 よし、使えるな。

 マキシマスのせいで召喚できなくなっていたが、今は大丈夫だ。問題ない。



「ラスティ。世界の秘密を知りたくば、この私を倒せ」



 背中から白い翼を広げるシチリア。……コイツは“天使”なのか――?


 まさか、あのステンドグラスは彼女本人か!


 少し驚いたが、冷静に考えればこの『アルキメデス』は俺たちとは違う世界の国。その世界では天使はありふれた存在なのかもしれない。そう考えることにした!



「望み通り、ぶっ倒してやるさ!」



 最近マイブームの『サンダーボール』を生成し、俺はゲイルチュールで打った。

 超高速でサンダーボールは、シチリアに命中した。……よし!



 ――ん?



「……なにかしたか、ラスティ」


「お、おい。マジかよ」



 シチリアは、ピンピンしていやがった。

 魔法防御耐性が高いのか!

 伊達に【1】ではないってことか。


 密かに覚醒無人島開発スキルを発動していると――。



「ラスティ様。その女王は、獣人族の中では異質です」

「そうなのか、エドゥ。つまり、天使ってか?」


「――いえ。彼女からは複数の種族を検知。これは……『キメラ』の属性」



 なッ。

 キメラだって……?


 つまり、簡単に言えばウサギやゴリラ、イヌやネコなど多種が混ざり合った獣ってことか。たぶん、天使の翼も合体したものか。



「そこの賢者……なぜ分かった?」



 冷たい表情と瞳でエドゥの方を向くシチリアは、妙に不快感を露わにしていた。……痛いところを突かれたって感じだな。



「ソウルフォースは万物であり、(ことわり)。真実しか語りません」

「そうか。お前は厄介だ……城外から追放する!」



 指を向けるシチリアは、そう叫ぶ。

 すると、エドゥの姿が一瞬にして消えた。


 こ、これは『強制転移』じゃないか――!


 俺もかつてアントニン(元親父)から喰らったことがある。というか、俺自身も国の管理者だから、今は国に滞在している場合は『追放』が使用可能だ。


 つまりこれは管理者権限というわけだ。



「そんな、エドゥさんが……」



 あわあわと焦るスコルは、目を丸くしていた。


 俺も正直、追放は予想外だった。

 だがしかし、相手は『女王』だ。しかも、ここは王政だからな。王が絶対だ。



「シチリア! 俺の仲間に手を出すんじゃねぇ!」

「ならば勝つことだ」



 目を赤くするシチリアは、いきなり怪光線を放ってきた。ちょ、目からッ!



「こ、このォ!」



 ひょいっと回避したが、怪光線が背後の壁を貫いていた。な……なんちゅう威力。あんなモンを喰らったら俺の心臓が貫通していたところだ。


 どうやら、キメラってのは本当らしい。


 厄介な!!



「では、これはどうかな」



 左手を向けるシチリア。五本指の爪が全部飛んできた。今度は鋭すぎる爪が吹き矢のように飛んできやがった。


 なんだそれ!!



「サンダーブレイク!」



 風属性魔法スキルでカバーしていくが、一本の爪が俺の頬をかすめた。


 ピッと裂傷。負傷した。



 ……この程度なら…………む?



 体が、おかしい。



「気づいたか、ラスティよ。その爪は巨人も秒殺する“猛毒”なのだよ」

「な……んだと」



 クソッ、早くも毒が回ってきやがった。こんなの反則だろッ。


 つか、死ぬ……!



「おいおい、ラスティ。だから、不老不死になっておけと。まあいい、受け取れ!」



 笑みを浮かべるテオドールは、数えきれないほどの解毒ポーションを投げつけてきた。てか、多すぎ!


 いや、ツッコんでいる場合ではない。俺は大至急でポーションを飲んだ。



「――ふぅ。あっぶねえ! 助かったぜ、テオドール」

「それだけあれば、また毒を喰らっても平気だろう」


「なるほどな、考えたな」



 爪攻撃はもう出来ないってわけだ。

 つか、秒殺の猛毒だったはずだが――結構耐えたな俺。毒耐性なんてあったっけな? まあいい、それよりも。


 反撃開始だ。

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