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無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ 【コミカライズ企画進行中】  作者: 桜井正宗
黄金の聖女編(最終章甲)

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ヒュッケバイン家の最強武器召喚

 ただの棒だと思った、デストンファー。

 それは俺の服を切り裂き、風圧を巻き起こした。



「――ぐッ!」



 っぶねえ。

 振り向くと、そこは場外。高所すぎて震える。



「ほう、私のデストンファーを耐えるとはな」



 面白おかしそうに口元を歪めるウルク。なんて怪力女だ。

 しかし、覚醒無人島開発スキルのおかげで助かった。

 俺は咄嗟(とっさ)の判断で、即席の石のガードレールを作った。今や背後でバラバラと砕けているが、足止めにはなった。


 周囲の獣人たちは少し驚いていた。



「……ウルク、油断するな。その少年は不思議な力を持つようだ」

「分かっている。彼は人間にしてはやる方だ」



 筋肉質な男と会話をするウルクは、その助言に素直に従い身構える。……やはり、高ランクなだけあって一筋縄ではいかないようだ。


 だが、いつまでも付き合っていられない。暇もないんだ。


 覚醒無人島開発スキルを発動。


 木製の槍を数本生成、それを投擲(とうてき)した。



「いけええッ!」


「なんだ、この木杭(きぐい)の数々……!」



 トンファーで破壊されるが、それでいい。そちらはカモフラージュなのだから――!



「更にこれをお見舞いする」



 風属性魔法スキル『サンダーボール』を発動し、俺はゲイルチュールで打ち付けた。それは、瞬間でウルクに激突した。




「ぐ、あああああああああ…………!」




 【7】→【5】



 撃破判定!

 これで残るは【4】、【3】、【2】。



「……バカな。ウルクがやられた、だと……」



 さっきウルクに話しかけていた獣人がビビっていた。恐らく、ゴリラ系。



「さあ、残り三人だ。まとめて掛かってこい」


「四位の俺様が出るしかないようだな」



 腕をブンブン回して向かってくるゴリラ顔の男。こうして対峙すると、凄い迫力だ。早期決着が望ましいな。


 そう思っていたが。



「クソゴリラ、邪魔だ」



 と――【2】のフードの男(?)がゴリラ男の頭をそのまま舞台に押し付けていた。



『ドゴォッ! ――メリメリメリ……』



 凄まじい轟音が響き、そこに小さなクレーターが出来ていた。……おいおい、仲間割れかよ。




「ぼごぉぉぉ…………」



 【4】のゴリラ男は敗退したようで、ランキングが一気に下がっていた。どうなってんだ、こりゃ。



「なんで味方を?」

「このゴリラは、我らヒュッケバイン家に属さない男。邪魔だったから排除した。それだけだ」


「そうなのかよ。背後から攻撃して満足かよ」


「ああ……この戦いに卑怯もクソもない。強い者が全てを手に入れ、弱い者は奴隷になるだけだ」



 予想外の展開だなぁ、おい。



「ラスティさん、いきなり【2】ですよ……」

「そうだな、スコル。こいつを倒せば終わりだ」



 厳密に言えば【3】がいるが、背の低い小動物みたいな少女。どうやら戦う気はないようだ。ニコニコスマイルで静観している。



「僕の名はマキシマス。マキシマス・ヒュッケバインだ」



 フードを取る男――いや、美少年だった。


 中性的な顔立ち、美しい金髪に赤い瞳。

 それに、特徴的なウサギ耳。

 ウルクと同じだ。



「そっちの【3】はいいのか」

「彼女は、僕の義妹(いもうと)でね。普段は心優しいんだ……ずっと【3】をキープしている」



 どうやら必要な時しか戦わないらしい。ならば、この【2】を相手すれば終わりってことか。好都合だ。



「マキシマス、とか言ったな。お前を倒させてもらう」

「……君こそラスティといったかな」


「……なぜ」


「君の相棒のエルフさんが名前を呼んでいたのさ」

「そうか。そうだ、俺の名はラスティ。ラスティ・ヴァーミリオン」



 ゆっくりと舞台を歩くマキシマスは、腰に携えている(さや)から剣を抜いた。



「さあ、来るがいい」

「なんだ、普通の剣じゃないか」


「そうだ。普通の剣だ」



 俺は遠慮なく接近し、ゲイルチュールを振った。

 マキシマスの剣を呆気なく折ってしまった。



「……なっ。簡単に折れた」

「そうさ。僕は剣使いではない」


「なに?」


「接近させたのはわざと。これを耐えられるかな、ラスティ!」



 魔力を爆発的に増大させるマキシマスは、右手に巨大な斧を生成していた。


 俺と同じく、武器召喚(・・・・)か――!


 しかし、なんだこの巨大な斧!



「……こんなものォ!」


「無駄だ! 喰らうがいい、我が最強の“大戦斧エンデュミオン”を――!!」




 軽々と斧を向けてくる。

 俺はゲイルチュールでガードするが――こ、これは! ぐぅ!!




「ぬ、あああああああああああ!!」




 破壊的な物理攻撃によって俺は吹き飛ぶ。

 場外ギリギリで立て直し、覚醒無人島開発スキルを発動。舞台を拡張し、足場を作った。



「この舞台に道を作るとは……厄介な能力(スキル)だな」


「……大戦斧エンデュミオン、なんちゅう威力だ」



 つか、あの少年の背よりも大きいぞ。

 あんなモンを軽々持ち上げるとは。魔力で編んでいるからか?



「ラスティくん、あれはあまりに危険すぎます!」



 背後で見守るルドミラが叫ぶ。

 ああ、あれは今までとは桁違いの強さだ。さすが【2】なだけある。


 でもな、それでも諦めない。俺はまだ限界を超えていない。



 あの大戦斧エンデュミオンさえ回避できれば問題ない。もしくは封じる。……やるしかないだろ!

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