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無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ 【コミカライズ企画進行中】  作者: 桜井正宗
黄金の聖女編(最終章甲)

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恐ろしき拳の力

 賢老騎士(パラディン)の男“ガルマディス・ヒュッケバイン”か――。

 今まで出会った中では一桁台の男。


 だけど、ランキングなんて……ただの飾りさ。

 カースト制度なんてくだらないッ。



「覚醒ヴェラチュール!」


「……ほう。そのような槍があるとはな。だが、ワシの“筋肉”に比べれば……そんなもの」



 と、ガルマディスは何故か鎧を次々に脱ぎ捨て――上半身裸になっていた。特にスコルは両手で顔を覆っていた。ルドミラも引き気味だ。


 つか、この爺さんなに脱いでんだよッ!



「正気か……爺さん」

「ふんっ。この肉体を見て怖気づいたか、小僧」


「歳にしては凄まじい筋肉量だな。って、そうじゃないだろ。騎士なんだろ!?」


「それは昔の話だ」

「へ」


「今はこの拳だけで十分じゃあああああああ!!」



 それは突風のようだった。

 凄まじいスピードで接近するガルマディスは、俺の目の前に立っていた。これまた鬼のような悪魔のような形相で闘気を最大限に。


 そして、その岩のような拳を振り上げ――俺の覚醒ヴェラチュール目掛けて攻撃してきた。


 マジで打撃かよッ!



『ガァァァンッ…………!!』



 槍が折れるところだった。

 メキメキとヒビこそ入ったが、なんとか耐えた。


 ウソだろ、俺の武器が……!


 てか、拳で武器破壊されるとかありえるのか!?


 いや、落ち着け俺。

 そもそも、覚醒ヴェラチュールを破壊することは不可能。ヒビは直ぐに修復された。



「っぶねえ」

「ほう。その槍、自己修復(リペア)機能があるのか。珍しいのう」


「爺さん、諦めてリタイアしてくれ」

「リタイア? そうはいかん。この身は王に捧げた。この先を通すわけにはいかんのだよ」



 何度も何度も打撃を繰り返すガルマディス。

 くそ、なんて力だ。



「さすがだな。だけど――」


「ぬ!?」


「落石!」



 無人島開発スキル『落石』で石の雨を降らす。

 城内にも関わらず上空から無数の石が落下。

 ガルマディスに命中していく。



「――な、なんだと!? 石が降ってくるとは……なんだこの奇妙な技!」



 握りこぶしで石を破砕していくガルマディス。さすがにこの程度なら拳で対応できるか。しかし、これなら隙だらけである。


 俺は、すかさず次なる攻撃を開始した。


 覚醒ヴェラチュールを思い切りブン投げ――



「サンダーボルト!」



 風属性スキルを放った。




「ぐ、ぬぅッ!?」




 さすがのガルマディスも、落石に対応中では俺の技は回避できまい。これで決まりだ!


 ついに俺のスキルは命中。

 ガルマディスは全身に稲妻を浴び、ビリビリになっていた。


 これで……!



「ラスティさんの勝ちですよね!?」



 祈るようにしてスコルはつぶやく。そうであれば嬉しいが――む?



「…………っ」



 ぷすぷすと煙を上げながらも、その場に立つガルマディス。おいおい、ウソだろ。モロに喰らったはず。なのにまだ意識があるのか!


 さすが賢老騎士(パラディン)だ。


 只者ではないとは思った。


 こりゃ、まだ長い戦いになるか? と危惧したところで彼は急に倒れた。



『ズドンッ』



 凄い音が城内に響き、ガルマディスは白目をむいて倒れた。痩せ我慢で立っていただけか。

 どうやら、俺のスキルはちゃんと聞いていたようだな。


【66】→【7】


「……ふぅ」

「手ごわい相手でしたね、ラスティくん」


「ああ……。さすが【7】だけある。こんなのがまだ六人もいるのか……」

「でしょうね」



 ……全員を相手にしていたらキリがないぞ。

 てか、俺たちの目的は『アイファ』だ。


 見つかれば、こんな戦闘をしなくていいんだがな。


 この城の奥にいるのだろうか。


 行くしかない。

 確かめねば……!

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