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無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ 【コミカライズ企画進行中】  作者: 桜井正宗
黄金の聖女編(最終章甲)

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王政アルキメデス

 アルケロンがバーサーク状態になってくれたおかげで、直ぐに到着してしまった。

 凄まじいスピードというか、爆走だった。


 小屋が吹き飛ぶかと思ったが、テオドールの接着剤のおかげか、その心配はなかった。

 そして、以前と同じハーピィの住処に近い場所に到着。

 そこを通り過ぎ目的地に到着した。



【王政アルキメデス】



 あるはずのない場所に“大国”があった。

 海に広がる陸地。

 本来そこは、ただの海のはずだ。


 さすがの俺でさえ、ここの辺りの地理には覚えがあるぞ。それは当然、ルドミラも同様だった。


「……この国はいったい」


 はじめてみる光景に驚くルドミラ。

 というか、みんなそんな感じだった。



「マジかよ。この国、ほとんど“獣人”じゃないか」



 ナハトもアルキメデスに驚愕していた。

 歩行者の八割は獣人だったからだ。

 犬系や猫系が多いな。


 獣人といえば『ドム』を思い出すな。アイツは殺されてしまったが。



「ど、どうしましょうか、ラスティさん」



 俺の服を引っ張るスコル。

 その表情はちょっと不安気だった。



「そ……そうだな。迫力に圧倒されてしまっていた。とりあえず、アイファの情報を探らないとな」



 このアルキメデスにいるらしいことは確か。

 かなり目立つ容姿をしているし、獣人がほとんどのこの国なら直ぐ見つかるかもな。



「この場合、二手に別れた方がいいんじゃないか?」と、テオドールが提案。俺はそれに同意した。そうだな、この人数のパーティなんだ。ひとつにまとまっているより、二手の方が効率がいい。



「そうしよう。俺、スコル、ルドミラだ」

「では、こちらはエドゥとナハトだな」



 そう納得するテオドール。

 チーム分けは決まったな。


 みんなも納得したので、パーティを二分割。


 俺たちは酒屋で情報収集。

 テオドール達は城の方を探ると言って向かっていった。


 あっちは任せよう。



「それでは、私たちは酒屋へ、ですね?」

「そうだ、ルドミラ。――って、妙に顔が近いぞ」


「すみません、ラスティくん」



 微笑んで離れるルドミラ。今日の彼女は妙に機嫌がいいように見える。でも、それはいいことだ。


 さて、酒屋へ向かうか。


 馬鹿みたいに広い大通りを歩く。

 相変わらず獣人族が行き来している。人間族が珍しいのか、彼らはこちらを(にら)むように見つめてくる。

 目つきがちょっと怖いな。



【王政アルキメデス:酒屋シチリア】



 酒屋は昼にしては薄暗く、客層も良いとは言えなかった。

 俺たちが中に入った途端に目つきの悪い獣人が一斉に振り向いた。



「…………」「おい、見ろよ」「なんだァ? ガキじゃねえか」「おい、子供の入る場所じゃねえぞ」「噛み殺されてぇのか!」「まて、あっちの女騎士は美味そうだ」「おぉ、ビキニアーマーとはな」「肌の露出がすげぇなオイ」「真っ白な肌だ」


 なぜかモテモテのルドミラ。

 対してスコルは、まったくといって興味が向けられてなかった。エルフの需要はないのか。まあ、俺としてはありがたいが。



「ルドミラ、人気だな」

「…………」



 圧倒的な視線を受け、ルドミラは居心地が悪そうどころか堂々として――むしろ、獣人族共に殺気を放っていた。



「……!?」「お、おい」「なんか怖いぞ、あの女騎士」「やべえな」「見ない方がいいな」「ああ、うん」「ひぃっ……人殺しの目だ!」



 あーあ、さっきまで機嫌が良かったのにな。


 でも、おかげでやりやすくなった。


 俺はカウンターへ向かい、酒屋のマスターらしき虎顔の男に話しかけた。



「あんたがマスターだよな」

「そ、そうだが」


「この辺りで人間の銀髪の女の子を見なかったか? 俺の隣にいるスコルに似た少女だ」

「…………う、うーん。見てませんねぇ」



 と、虎顔のマスターは困惑。

 となると、この客の中に情報を持った奴がいるだろうか?


 その時、ルドミラの背後に不審な影が。あれは、さっき怯えていた獣人族の男の一人。ゴリラ顔の野郎だ。まさか背後から襲う気か!



「女騎士! 俺の奴隷になってもらおうか!!」



 酔っ払いのゴリラ野郎は、卑怯にも背後からルドミラを襲っていたが――当然、彼女は気配を察知。覚醒アマデウスで男の腕を叩き折り、ぶっ飛ばしていた。



「てやァ!」


「ぶぶばぼぼばあああああああああぁ…………!!」



 ズ、ドォォォン……そんな凄まじい轟音を共に、酒屋の壁を貫いていってしまった。


 静寂の中でルドミラはベルリオーズ金貨を酒屋のマスターに渡していた。



「主人。これでどうか許してください」

「い、いえ……とんでもない! あのゴリラ野郎は、種族問わず女性のお客さんにセクハラしていたクソ野郎なんで」



 そんな野郎だったとはな。

 しかし、アイファの情報が――お?


 客の中から他とは違う身なりの獣人が現れた。なんだこの男。顔はほとんど人間だが、牛の角を生やしていた。



「我が名はディオファントス。君たちが探している少女に覚えがある」



 なんだって……!

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