キングロートスライムの水属性魔法
複数のロートスライムを従えるキングロートスライム。
取り巻きと共にゴールドファングへ立ち向かっていた。だが、しかし――!
ゴールドファングの聖属性攻撃『ムーンアサルト』が放たれ、三日月の“かまいたち”によって取り巻きは無情にも引き裂かれていった。
「あぁ……スライムたちが!」
同情の眼差しを向けるスコルだが、しかしロートスライムはこう言ってはなんだが……雑魚レベルなのである。一撃でやられる運命だ。
「ここからが本番さ! キングロートスライムよ、攻撃開始!」
指示を下すテオドール。その声にキングロートスライムは動き出し、ボール状の水の塊を放出しはじめた。
アレは!
水属性魔法スキルの『ウォーターボール』で間違いない。
『ズドドドドドド……!』
強烈な勢いで水の塊が連射されていく。こりゃ、すげえ!
本来なら、ただの水なのだが魔力によって硬化している。あまりに頑丈で人体ならば簡単に貫通するだろう。
さすがの威力にゴールドファングは、体にダメージを受けていた。
『ギャアァァァ…………』
のた打ち回るゴールドファングは、一気に後退。距離を取っていた。それでも、ウォーターボールから逃げられずにいた。100連発ともなると長い。
「ラスティ! 今なら、あのゴールドファングはびしょ濡れだ。君の風属性魔法スキルでビリビリにするんだ」
「名案だな、テオドール!」
俺は直ぐにゲイルチュールを武器召喚。つるはしを手にし、魔力を込めた。直ぐに『サンダーボルト』を発動し、ゴールドファングの頭上に落とした。
『グオオオオオオオオオオオオ…………!!』
濡れているから、与えるダメージも倍になった。
骨が見えるほどに感電するゴールドファング。
ビリビリにしてやった……!
「おぉ。いつ見てもラスティくんの風属性魔法は素晴らしいですね」
先ほどスキルを使って魔力を消費したのか、ルドミラは魔力回復ポーションを飲みながらも俺を称賛。
――なるほど、力が弱まっているのは本当らしいな。
ルドミラが一回のスキル発動で魔力回復ポーションを使うなんて……今までありえなかった。最大魔力量が減っているんだ。
俺ががんばらなきゃな。
ゴールドファングは、塵と化して消滅。アイテムを撒き散らしていた。どうやら、この辺りのモンスターはアイテムを大量に落とすらしい。
テオドールに回収をお願いし、俺は一息ついた。
「ご苦労様です、ラスティさん」
「ありがとう、スコル」
モンスターは撃破したが……そうか、エチェナグシア周辺には未知のモンスターが棲息しているんだな。
金鉱山ダンジョンへ行くのも苦労しそうかも。
「これからどうするのだ?」
腕を組み、黄金化しているエチェナグシアを見つめるハヴァマール。もちろん、決まっている。ダンジョンへ向かう。原因究明にはそれしかない。
「出発だ」
「そうだな、それしかない」
再びアルケロンへ。
ルドミラに案内してもらうことに。
俺は彼女に視線を向けた。
「そのダンジョンは近いのか?」
「はい、ラスティくん。それほど遠くはありません。一時間もあれば到着するかと」
「よし、金鉱山へ向かう」
「ダンジョンの名は『アテン』です」
そこに“答え”があるはずだ――。




