黄金のオオカミ
エチェナグシアを去ろうとした、その時だった。
巨大な黄金のオオカミが現れ、ルドミラに襲い掛かっていた。
『グルルルゥゥゥ…………!』
「――ッ!」
な、なんだありゃ!
この前の狐モンスター『ラピス・ラズリ』並みに大きい。あんなデカいオオカミが存在するのか!
いや、また未知のモンスターだ。
[ゴールドファング]
[詳細]
本来はシルバーの毛並みで『シルバーファング』という名前だが、黄金の影響によってゴールドファングとなった。
聖属性攻撃『ムーンアサルト』に注意。
「あ、あのオオカミさん。金色の毛ですね……!」
「ああ、スコル。あれはこの世界のモンスターではない。気をつけろ」
「は、はいっ」
ルドミラは、槌武器である『覚醒アマデウス』を巧みに使い、ゴールドファングの牙攻撃を防御。
そして、珍しいスキルを放っていた。
「ギルファギニング!」
[ギルファギニング]
[効果]
聖騎士専用 / ハンマー系武器限定スキル。
漆黒の烈風を起こし、敵に魔法ダメージを与える。対象は強烈なノックバックを受け、状態異常[スタン]になる。
真っ黒い風がゴールドファングに激突。
オオカミは激しく弾かれて飛ばされていた。あれがノックアバック効果か。更に、スタンになって動けずにいた。
さすがルドミラ。衰えているといいながらも、あの未知のモンスターを圧倒していた。
しかし、ゴールドファングはターゲットをルドミラから、ハヴァマールへ変えていた。……おい、ウソだろ!
「な、な……余ぉ!?」
「逃げろ、ハヴァマール!」
よりによってハヴァマールは、少し離れた場所にいた。しかも、涙目になって腰を抜かす。オオカミの威圧感に圧倒されたようだ。
「…………む、無理なのだ。怖すぎて……」
恐怖に支配されたか。このままでは噛み殺されるぞ!
ここは俺が何とかするしかに。
無人島開発スキルで緊急の柵を作って隔離する。
「これで守るッ!」
ハヴァマールとゴールドファングの間に、柵を建てた。これで襲われる心配はなくなった。よし、上手くいった。
「助かったのだ、兄上!」
「安心するのはまだ早いぞ!」
「え」
ゴールドファングは、まだ諦めていなかった。
更にターゲットを変えて
今度はテオドールの方へ。
だが、彼は自分を守る術を持っている。モンスターの専門家でもある。きっと凄いスキルを見せてくれるはずだ。
「仕方ない。私がなんとかしよう!」
「頼むぜ、テオドール」
今日は『テイマー』として戦うようで、ペット召喚をしていた。
彼の周囲に次々に現れる『ロートスライム』。
あれは島国ラルゴや、他の草原にも棲息する一般的なスライムじゃないか。
――いや、まて。
あのスライム、大きいぞ…………!?
[キングロートスライム]
[属性:水]
[種族:植物]
[詳細]
ロートスライムの王様。
通常のスライムより強く、体力が非常が高い。
水属性魔法ウォーターボール100連発に注意。
「こいつを使うが来るとはね……!」
「テオドール、ボスモンスターをペットにしていたのか!」
「そうとも。コイツならば、ゴールドファングと戦える」
巨大なキングロートスライムは、すでに膨大な魔力を漂わせていた。まさか、こんなペットを飼っていたとは。これなら勝てるか……!?




