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無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ 【コミカライズ企画進行中】  作者: 桜井正宗
黄金の聖女編(最終章甲)

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天国か地獄か

 再びアルケロンは動き出す。

 ラピス・ラズリ討伐後、ようやくエチェナグシアを目指し始めた。

 シベリウスから貰った地図によれば、現在地から半日ほどで到着するようだった。

 到着時間まで計算してくれるとは、便利な魔法地図だ。


 未知の国アルキメデスも気になったが――今は寄っている場合ではないな。


 小屋の中にある椅子に座り、のんびりしているとルドミラが前に座った。なんだか乙女のように桃色の髪に触れて。



「あと半日ですね」

「ああ、さっさと黄金の原因を突き止めねばな」


「……その、申し訳ありません」


 突然、謝るルドミラ。意味が解からなかった。


「どうした? 謝罪される覚えはないぞ」

「最近、あまり力を発揮できなくて」


 なにか気にしている様子だな。

 いったい、どのことを言っているのか見当もつかない。



「というと?」

「……モラヴィアニの時や、先ほどのボスモンスター討伐も不甲斐ないところを見せてばかりで……」



 なるほど、そういうことか。

 ルドミラは最近、活躍できずに申し訳ないと言いたいわけか。

 そんなことはない。

 今まで俺をずっと支えてくれている。

 おかげで助かっている場面も多くあるし。


 そのことを伝えると、ルドミラはホッとしていた。



「というわけだ。別に気にしてはいない」

「よかった。ですが、私の勇者としての力は弱まっているようです。それはエドゥやテオドールも同じようですね」


 と、ルドミラはテオドールに視線を送っていた。


「ルドミラの言う通りでね。私も力が衰えているんだ」

「そうだったのか……!」


 テオドールでさえ弱体化しているのか。

 もしかして、神器エインヘリャルの不老不死が弱まっているのだろうか。



「現在の世界のせいでしょうね」



 困ったとルドミラはため息を吐く。そうか、七つの世界がリンクした影響か。

 以前に比べると色濃くなっている。


 世界は確実におかしな方向へ向かっている。


 天国か地獄か――それは解らないが、どちらにせよ止めねば未来はないと俺は思った。


「元に戻すしかなさそうだな」



 それしかないと意見が一致していると、テオドールは普段は見せないシリアスな顔を見せて語り始めた。



「ラスティ。私はね、この世界が好きなんだ。数百年以上見守り続けてきた、この世界がね」

「俺もだよ。これ以上、滅茶苦茶にされてたまるか」


「もう家族を失いたくない。魔王ドヴォルザークのような世界にしてはいけない」

「……テオドール」


「私はその昔、大勢の家族を失った。魔物に襲われてね……何度も憎み、倒してきた。しかし、世界はよくならない」



 どうやら、昔からいろんな女性と結婚してきたらしい。

 子供にも恵まれて幸せな生活を送っていたようだが、いずれも魔物に襲われて失ったという。


 やがてテオドールは、独り身に。


 孤独に錬金術師の活動をしていると、ついにルドミラとエドゥと会ったようだった。それから勇者パーティに加入したと。


 それから世界を救うために立ち上がったようだった。



「俺が変えてやるさ。元通りにしてみせる」

「頼もしいな、ラスティ。だけど、君なら出来てしまえそうだと思える」


「俺の取柄なんてそれくらいさ」


「――ふむ。ラスティ、君になら『神器エインヘリャル』を託してもいいかもしれないな」


「え」


「私はもう十分長生きした。嫁三人とも囲まれてるしな! あの三人と共に人生を楽しもうと思う」


 急に表情を変え、そんなことを言い出すテオドール。


「いや、俺は別に不老不死に興味なんて……」

「いいのか? スコル様は生粋のエルフ族。寿命が違うんだぞ。先に逝って泣かせてもいいのか~?」


 ニヤッとした表情でテオドールは、詰めてくる。い、痛いところを突いてくる。てか、気にしないようにしてたのに!


 でもそうだよなぁ。


 エルフは何百年、何千年も生きる長寿と聞くし……人間である俺とは違うよな。


「そ、そりゃ……スコルとは一緒にいたいさ」

「なら、私の神器を受け取れ。死なずに済むぞ。ただし、殴られても斬られても痛い。痛みだけは克服できん」


「そういうものなのか、不老不死って」

「ああ。それに完全な不死でもない。割と死ぬ」


「マジかよ」


「体をバラバラにされたり粉々にされたり……氷漬けにされたり、石化すれば死んだようなものさ。封印という手もあるし」



 そりゃそうだけど。

 神器エインヘリャルは、あくまで寿命を延ばすものと考えた方が良さそうだな。


 興味がないわけではないが、今は保留にしておこう。



「やめとく」

「では、ラスティ。君が消え去った後は、スコル様の相手は私が――」

「ふざけんな!」


「冗談だ」



 ……やっぱり、神器もらっておこうかな。

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