幻の青い宝石タンザナイト
まさか“青い竜巻”を目にすることになるとは。
青の風が凄まじい勢いでこちらへ接近してくる。これをモロに受ければ肉体をバラバラにされてもおかしくない。
それを証拠に周囲の岩や崖を粗削りしていた。
おいおい……鰹節みたいになっているじゃないか。
「最大出力でいくしかないな」
「ラスティさん、わたしの魔力も使って下さい……!」
と、スコルは世界聖書のソウルコンバージョンで魔力を供給してくれた。ありがてえ! これなら大技を気兼ねなく放てる。
十分すぎる魔力を戴いたところで、俺は最初から『+10覚醒ヴェラチュール』を武器召喚した。
帯電を続ける白き槍は、魔力を増幅させていく。こりゃ、スゲェ。いつも以上の火力を出せそうだ。
しかし、そんな間にもラピス・ラズリのブルーストームが接近。大地を破壊し、とうとうテオドールの植物すらも吹き飛ばしていた。
「私の植物たちが……!」
大事に育てていたのだろう、テオドールはショックを受けていた。仇は討つさ!
「私が引き付けます。ラスティくん、あとはお願いします!」
軽快な動きでルドミラは、嵐を抜けてラピス・ラズリを誘導していく。
よし、今がチャンスだ。
距離を取るルドミラの姿を確認し、俺は+10覚醒ヴェラチュールに最大魔力を込めてスキルを発動した。
「ライトニングボルテックス!」
肩に負荷が掛かるくらい本気で槍をブン投げた。
刹那で目標に到達する風属性魔法は、ブルーストームをも飲み込み蹂躙した。
俺とスコルの魔力が圧倒し、ついに嵐は消え去った。
ヴェラチュールは、ラピス・ラズリの胴体に突き刺さるや『ライトニングボルテックス』を激しく放出。やがて貫通して天空に激しい稲妻を散らしていった。
『ギャアアアアァァァ…………』
胴体から塵と化していくラピス・ラズリ。つまり、俺たちの勝利だ。
複数のアイテムを地面にまき散らし、昇天。
「おぉ。あのラピス・ラズリというモンスターは、レアアイテムを落とすのか」
「そうなのか、テオドール」
「アイテム鑑定してみたが、これは『タンザナイト』だな」
[タンザナイト]
[効果]
幻の青い宝石。
①指輪にすることで以下の効果を得られる
魔力、移動速度、火属性耐性アップ。
②腕輪にすることで以下の効果を得られる
[ギンヌンガガプ]へ転移可能。
③ネックレスにすることで以下の効果を得られる。
ダンジョン[ヘルインフェルノ:地下前]へ転移可能。
「こりゃ……凄い宝石だな」
「そうだろう。こんなアイテムは見たことがない」
「なんだって……?」
「恐らく、未知の世界のアイテムだろうな」
ということは、さっきのボスモンスターも別の世界からやってきたのか。いや、そうだろうな。指輪にするとギンヌンガガプへ行けるようだし。
「他にも珍しいアイテムがたくさん……」
謎の宝石を拾い上げるルドミラ。
スコルも一緒になって採取していた。
まさか数百の宝石をまき散らすとは思わなかったな。
なるほど、ここから先は『ギンヌンガガプ』のモンスターと遭遇することが多くなりそうだ。
アイテムを収集して、アルケロンの元へ戻った。
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コミカライズ企画進行中!!
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