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無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ 【コミカライズ企画進行中】  作者: 桜井正宗
黄金の聖女編(最終章甲)

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半人半鳥のハーピー

 荒地を突き進むアルケロンは、順調に北の領地エチェナグシアを目指してくれていた。

 ノシノシと速度としては鈍足だが、テオドールによれば途中でバーサークモードにするので、それまでは待って欲しいとのことだった。


 そうすれば高速化して、爆速で着けるはずだと豪語した。


 本当かなぁ。

 でも今は信じるしかないよな。移動手段がこれしかないし。


 小屋でのんびりしながら移動できるのは楽でいいけどね。



 半日移動して、ようやくアルケロンは足を止めた。休息タイムらしい。

 小屋の外へ出た。

 少しは外の空気を吸わないと――と、体を伸ばしていると飛行タイプのモンスターが接近していた。


 て、敵襲!?



「あ、あれは……鳥人モンスターの『ハーピー』ですね!」



 ルドミラがモンスターの情報を教えてくれた。

 両腕に翼が生えている。足は鋭い鉤爪(かぎづめ)だ。あれで攻撃されたら、ひとたまりもないな。



[ハーピー]

[詳細]

 半人半鳥モンスター。

 翼で強力な突風を起こす。

 獲物を捕らえる鉤爪(かぎづめ)に注意。



『…………!』



 ハーピーは、テオドールに襲い掛かってきた……?


 いや、違うな。

 目の前で立ち止まっていた。



「……なんだ?」

「こんな場所にいるとは驚きました……テオドール様」


「ん、キミはもしかしてローラかい?」

「はい。鳥人族のローラです。お久しぶりですね」



 なんと、知り合いだったのかよ。モンスターと仲がいいなんて……ああ、そうか。テオドールは『マスターテイマー』だったな。


 仲よく出来るモンスターとは、こうして交流しているとか聞いたことがある。



「テオドール、彼女は味方なのか?」

「ああ、ラスティ。ローラたちの種族は温厚でね。魔王ドヴォルザーク討伐の時代、その昔に世話になった」


 旧知というわけか。

 ローラは、この周辺の谷に住んでいるようだった。仲間もそこを住処にしているのだとか。


「ルドミラ様もお久しぶりです」

「百年ぶりでしょうか、ローラ。変わりませんね」


「いえ、この周辺はすっかり変わってしまいました。知らぬ国がそこに現れたのですから」


「知らぬ国とは?」


「ある商人から、その“大国”は『アルキメデス』であると聞きました」



 アルキメデス……?

 聞いたことない国だ。

 七つの世界のどこかの国が入り込んだか。


 これで二つ目か。

 ギンヌンガガプ、アルキメデス……まだ残りもあるってことか。



「どんな国なのですか?」

「さあ? でも『黄金の王冠』を見たと、その商人はおっしゃっていました」


「ふむ……」



 黄金の王冠ねえ。なんだか今回の事件に関係がありそうなアイテムだな。今のところ実害はなさそうなので、深く考える心配はなさそうだな。



「では、そろそろ私は行きます。みなさま、さようなら」



 飛んでいくローラは、谷へ戻っていった

 俺たちはさっさとエチェナグシアへ向かうべきなのだが、アルケロンが休んだままだ。しばらくは動きそうにないな。


 そんな中でスコルはつぶやいた。


「ラスティさん。アルキメデスって近いんでしょうか」

「どうだろうな」



 俺は周辺を見渡してみた。

 それらしい国は視界には入ってこないが、ハヴァマールが声をあげた。



「あ、こっちの方角にあるのだ。あれがアルキメデスかー」

「お前、目が良いな」

「当然なのだ。余のスキルでちょちょいのちょいなのだ」


「ちなみに、どんなスキルなんだ?」

「ホークアイという遠見のスキルでな~」



[ホークアイ]

[詳細]

 数キロ先まで見通すことができる望遠スキル。



「こんな便利なスキルがあったとはな」

「アルキメデスへ寄ってみるのだ?」


「いや、寄り道をしている場合ではないな。ここで待つさ」

「そうだな。それがいいのだ」



 長引けば、トイレや風呂、食料調達は行かせてもらうかもしれないがな。今はじっと待つのみだ。

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