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無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ 【コミカライズ企画進行中】  作者: 桜井正宗
黄金の聖女編(最終章甲)

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ぷちライトニングボルト習得

 ディスペルは発動しなかった。

 いや、効かなかった……が、正しいか。



「ハヴァマール。これは……」

「ダメなのだ。やはり、黄金は“特殊”なのだ……」


「マジか」


「けど、諦めるのは早い。兄上の力が必要だ」

「え、俺?」



 どういう意味なのか聞くと、ハヴァマールは俺の“雷”がカギだという。ということはスキルか。

 サンダーブレイクだとかサンダーボルトだとか、その辺りだろうか。


 しかし、それをどうしろと。



「簡単なのだ。例えば、この女の子の場合は頬に電気を浴びせるのだ」

「なにィ!?」


「大丈夫。スキルレベルを調整すれば威力は抑えられる」

「し、しかしだな。それでも危ないと思うが」


「仕方ないのだ。久しぶりに兄上にスキルを与えるのだ」

「マジか」


「その名も『ぷちライトニングボルト』なのだ!」

「ぷちライトニングボルト?」



[ぷちライトニングボルト][Lv.1]

[効果]

 このスキルはLv.1しか存在しない。

 指先から極小の電気を発生させる。

 マッサージにもピッタリ!



「習得完了なのだ!」

「これで治るのか?」


「いいか、兄上。金の電気の伝導率は高いと言われている。兄上の雷神の電気、そして余のディスペルを掛け合わせれば『特殊』といえど解除できるかもしれん」



 理屈がよく解からないが、治せる可能性があるということか。

 試してみる価値は……あるか。


 てか、小さな女の子に向けるのはちょっと気が引けるというか、大丈夫かなぁ……。大怪我させないといいけど。“ぷち”だから大丈夫か?



「あ、汗が凄いですよ、ラスティさん」


「……」



 スコルが心配そうに俺の顔を覗き込む。

 風属性魔法スキルを最小限に抑えて発動できるか心配だ。


 そのことを打ち明けると、スコルは俺の右手を優しく握りしめてくれた。



「大丈夫ですよ。ラスティさんならできます」

「……そ、そうだな。がんばるよ。ありがとう、スコル」



 励まれて俺は一歩前へ踏み出すことができた。

 やってみよう。



 まずは、ハヴァマールのディスペルだが――先ほどの一回で魔力がゼロ。ここからは、スコルの出番だ。


世界聖書(ウルガタ)のソウルコンバージョンで、今回はスコルの魔力をハヴァマールに供給。これで魔力は回復。



 再びディスペルを発動するハヴァマール。このタイミングで俺が威力を最小限に抑えた『ぷちライトニングボルト』を使用。マリナの頬に浴びせた。



『ビリッ!』



 と、(わず)かに電気が流れて……黄金が解除され…………た?




『ポロリ』




 黄金が取れた!!




「わぁ、治った! お兄ちゃん、ありがとー!!」



 マリナという女の子は涙して喜んでいた。父親も同様に感謝していた。



「ありがとうございます、ありがとうございます!!」

「よ、よかったよ」



 上手くいった!

 手順こそ面倒だが、俺、ハヴァマール、スコルの力を合わせればなんとかなるな。とはいえ、今のところ一人一人が限界。全員を一気に治すには膨大な時間が必要だな。



「成功だな、兄上!」

「ああ、ハヴァマールとスコルのおかげさ」


「ふふーん。もっと褒めるのだ!」



 俺は、ハヴァマールの頭を撫でた。

 猫みたいにゴロゴロして可愛い奴め。


 スコルにも同様に頭を撫でた。おまけでエドゥの頭も撫でておいた!



「……あ、あぅ。嬉しいです、ラスティさん」

「スコルの魔力供給がなければ、ディスペルは使えなかったからな」


「いえ。でも、わたしの魔力もそれほど高くなくて……」

「そうだな。限度はあるよな」


「はい。あと治せて二人か三人ではないでしょうか」



 だよなぁ、上手くいったけどあまりに非効率すぎる。もっと一気に治せればいいのだが……。

 しかし、今は“治せる”と解かっただけでもヨシとしよう。



 しばらくして、ルドミラとルーシャスが戻ってきた。


 ルドミラはこの状況を見て困惑していた。俺は治せることを説明。



「さっきマリナという女の子は治せた」

「さすがラスティくん。しかし、この状況は(かんば)しくないですね」


「このままでは、もっと被害者が増える。その前にエチェナグシアで原因を探る」

「はい。ナハトとテオドールも間もなく合流するでしょう。いよいよ出発ですね」



 そう話している間にも、テオドールが帰還。

 あとはナハトだけだ。


 そろそろ来るはずだが……気配がまるでなかった。……なにかあったのだろうか。心配だな。

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