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無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ 【コミカライズ企画進行中】  作者: 桜井正宗
黄金の聖女編(最終章甲)

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上級監督官、交代に名乗り出る

 スコルの世界聖書(ウルタガ)にある魔力供給スキル『ソウルコンバージョン』を使えば、魔力は問題ない。

 ハヴァマールに魔法解除スキル『ディスペル』をしてもらい、黄金を解除。


 ディスペルは魔力消費量が膨大だから、供給さえすればこの場の被害者だけでも治せるかもしれない。


 俺に出来ることは、魔力をスコルに吸収してもらうくらいか。とはいえ、俺は魔法使い系ではないから……悲しいかな、そこまで魔力が高いわけではないんだよな。



「決めたぞ。ハヴァマールを連れ戻す。エドゥ、お願いできるか?」

「解かりました。ですが、ストレルカさんの負担が増えるので、交代要員がいた方がよろしいでしょう」


「いいこと言うじゃないか、エドゥ」



 それもそうだ。さすがにストレルカ一人に任せっきりは可哀想だ。となると――そうだな。代わりに……誰がいいんだ? まるで思いつかないぞ。


 今のパーティ、誰かひとりでも欠けるとダメな気がしている。


 となると――。



「この僕かな」



 男の優し気な声がして振り向くと、そこには友人が爽やかな笑みを浮かべて立っていた。



「シベリウス! お前、いいのか……?」

「上級監督官としての責務は真っ当しているさ。それに今は、スケルツォにドヴォルザーク帝国を任せている。つまり、僕の手は空いているわけさ」


 ちゃんと仕事しているのか心配になるが、本人がそういうのならお言葉に甘えよう。

 シベリウスとハヴァマールを交代させる。


 俺は、エドゥにテレポートで彼を連れていくように指示を出した。



「了解しました。では、上級監督官シベリウス殿を連れて参ります」

「頼んだぞ、エドゥ」


「では、三分程度で戻りますので」



 エドゥは、シベリウスのマントを摘まんでテレポート。一瞬で光となり、消え去った。行動が早くて助かるな。


 しばらくはレオポルド騎士団で待つことにしよう。今はそれしかできない。



「ハヴァマールさんを連れてくるんですね」

「ああ、ディスペルしかない。スコル、準備が出来次第、頼むぞ」

「は、はいっ。がんばりますっ」



 今はひたすら待つ。



 ・

 ・

 ・



 三分後。本当にエドゥとハヴァマールが帰ってきた。


「ただいまなのだ、兄上!」

「おかえり、ハヴァマール」


「シベリウスと交代したのだが、急な要件なのだ?」


「そうだ。事情を説明するとだな――」



 俺は黄金のことを、ざっくりハヴァマールに説明。ディスペルをして解除できないか頼んでみた。

 するとハヴァマールは腕を組み、難しそうな表情で空を仰いだ。



「ん~、やってみないと解からないのだ」

「妙に自信なさ気だな」

「うむ。ディスペルといえど万能ではない。スキル説明欄にもある通り“一部特殊なスキルは解除・無効化できない場合がある”と書かれておるのだ」



 ……た、確かに。

 黄金が『特殊』だとすれば……解除できないということだ。


 ディスペルでも無理なのか。


 だけど、諦めるわけにもいかない。


 試してダメなら次を考えればいい。



「やれるだけはやろう」

「そうだな、兄上。では、誰かひとり連れてきてくれなのだ」


「おうよ」



 んー、そうだな。この場にはざっと百人はいる。この中で選べと言われると……難しいが。


「…………うぅ」


 突然、目の前の女の子が倒れた。

 その子は頬に黄金が付着していた。


「マリナ! マリナ!!」


 その子の父親が必死に声を上げていた。

 よし、あの子を助けよう。



「ハヴァマール、まずはディスペルを頼む」

「任せるのだ」


 マリナという女の子の元へ向かい、俺は父親に話をした。



「その子を治せるかもしれない」

「本当ですか……!」


「試させてくれないか」


「もちろんです! あ……聖女のスコル様! もしかして、あなたが奇跡を!?」

「いや、違うんだ。治療してくれるのは俺の妹のハヴァマール。この猫耳メイドだ」


「……こ、このメイドが?」



 そりゃ見た目は、ちょっと子供だから不安にはなるだろうけどね。

 しかし、それよりもスキルが肝心なのである。


 ハヴァマールは、マリナに手を伸ばし『ディスペル』を発動。


 ……どうなる?

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