金鉱山ダンジョンのウワサ
レイナルド伯爵は回復したようで、もう少ししたら領地へ帰るという。
俺たちもいずれ『エチェナグシア』へ向かうことになるだろう。
それより先に、ドヴォルザーク帝国へ。
状況が気になるし、向こうでシベリウスやスケルツォに状況を聞かねば。
翌朝、みんなを庭に集めた。
帝国へ戻るのは、俺、スコル、ルドミラ、エドゥ、テオドール、そしてナハト。
ストレルカは、レイナルド伯爵の要望により、黄金の被害に遭って避難している人たちを船に乗せて救出する。ハヴァマールはその手伝いだ。
二人は、今までも力を合わせて仕事を進めてくれているし、相性も抜群だ。
きっと大丈夫だ。
「ストレルカ、ハヴァマール。また悪いんだが、頼んだぞ」
「いえいえ。ラスティ様の為でしたら構いません」
と、ストレルカは笑顔で。
ハヴァマールも「心配するでない。余とストレルカに任せるのだ!」と元気よく手を振る。
二人に見守れながら、俺はエドゥに指示を出す。
「転移を頼む」
「解かりました。それではワープポータルを展開いたします」
右手を静かに翳し、エドゥは転移魔法を発動。そこに光の柱が現れた。この先は『ドヴォルザーク帝国』だ。
一足先に俺が飛び込む。
後ろからスコルたちも。
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【ドヴォルザーク帝国】
スターバトマーテル城に到着。
お、噴水に突っ込まなくなっている。
最近、エドゥは座標を変えたのか城内に出るようにしてくれていた。今までなんて噴水の中だったんだか。
城内を少し歩くと通路にシベリウスの姿があった。
「ラスティ! 戻っていたのか!」
「その通りだ、シベリウス。状況を聞きたい」
「もう耳に入っているんじゃないか? 世界は黄金に染まりつつある」
「やっぱりなのか」
「世界は終焉へ向かっているのかもな」
「それを止めにきたのさ」
「なるほど。それでスコル様やルドミラを連れて……」
「ああ、詳しく話すとだな――」
島国ラルゴでも黄金の被害が出始めていること、レイナルド伯爵がやってきて被害を訴えてきたことを情報共有。
これから彼の領地エチェナグシアへ向かうかもしれないことを話した。
「金鉱山で有名なエチェナグシアか。北側がヒドイらしいからな」
「き、金鉱山だって?」
「そうだ。知らなかったのか」
伯爵はそこまで言っていなかったな。
そんな鉱山があるということは、影響はそこではないだろうか……?
「エチェナグシアですか。あそこは金鉱山ダンジョンで有名ですね」
と、ルドミラは行ったことあるように言った。って、あるのか!
「ルドミラ、もしかして寄ったことが?」
「かなり昔ですけどね。テオドールが錬金術師の研究でお金を使い込んでしまったので……稼ぐ為に」
ギロッとテオドールを睨むルドミラ。今でもあの時の恨みは忘れないと、そんな視線を送っていた。
一方のテオドールは笑って誤魔化していた。おいおい。
「シベリウス、エチェナグシアへの行き方を教えてくれ。マップとかあると助かる」
「解かった。準備をこっちで進めておくよ」
「任せた」
軽く手を振って去っていくシベリウス。頼りになるな。
さて、あとはスケルツォだ。探すか。




