七つの世界
ようやくエドゥが帰ってきた。
世界中を飛び回ってきたらしく、珍しく顔が少しやつれていた。お疲れ様だ。
「……ただいまです」
「おかえり。少し休憩するか?」
「いえ、大丈夫です。それよりも世界のことを話さねばなりません」
詳しくは広間で。
俺とスコル、ルドミラとテオドールも一緒に聞くことに。
各々、椅子に座りさっそく話を聞いていく。
「エドゥ、世界はどうだった?」
「黄金でした」
覇気なく――いや、いつものテンションでぽつりとつぶやくエドゥ。
黄金でした?
それって、やっぱりモンスターも建物も黄金化しているってことか。
「……! やはり、なにか異常が起きているんだな」
「はい。説明しますと――」
世界各地で黄金が浸食しているということ。
見知らぬ大陸が出現しているらしいこと。
この二つが判明した。
いや、まて!
大陸が出現だって?
ありえないだろ、それは。
この世界はイズアール大陸、ルサルカ大陸、オラトリオ大陸の三つの大陸しかないんだ。
そんなポンと出現していいものではないだろう。
「いったい、なにが起きているんだ?」
「何かしらの影響で『七つの世界』がリンクしてしまったようです」
「え……それって」
「はい。星帝シックザールの望む世界です。彼は、世界をひとつにすることを目論んでいましたからね」
「では、まさか」
「いえ。シックザールは封印されていますから、ヤツではないでしょう」
そうだ。俺が世界聖書のひとつ『赤色閃光の聖書』で確かにヤツを封印したのだ。
あれから聖書は、エドゥの結界によって厳重に保管されている。
アレを突破するのは無理だ。
つまり、シックザールではないということだ。
ならば誰の仕業なんだ?
「それで、その大陸は覗いたか?」
「はい。そこには『ギンヌンガガプ』という大国がございました」
ギンヌンガガプ……?
まて、それって!!
「シオンさんの国ですよね」
と、スコルが驚きながらも言葉にしてくれた。
そうだ、その国からシオンが来た。本人がそう言っていたんだ。
じゃあ、彼女は別の世界の住人なのか。
「おい、エドゥ。この世界はどうなちまっているんだ」
「もはや、以前の世界とは思わない方がいいでしょう。見たことのない人たち。人種や職業……モンスターも然り。それ以上の存在も出現するでしょう」
なんてこった。世界はいつの間にか拡張してしまったらしい。
誰の仕業なんだ、これは。
ということは『世界聖書』も七つあるということだ。
全てが集まったら大変だぞ。
「俺たちはこれからどうすればいいんだ」
「黄金の聖女アイファを探すべきです。彼女を先に見つけ出せば、我が大陸は守られます」
「むぅ、それしかないか……」
今は、彼女を探す。俺自身もアイファのことが気がかりで、ずっと頭から離れなかった。
なによりも――。
「俺からも頼む!」
ナハトがやって来た。
そうだ、彼の為にも探してやりたい。
お互い、ずっと離れ離れで寂しい思いをしているだろう。
俺自身もナハトの過去を見て辛かった。
だから。
「ああ、ナハト。世界が変わりつつある以上、全力で探す。黄金の事も調べなきゃならないし」
「ありがとう、ラスティ」
一度、ドヴォルザーク帝国へ戻るか。




