各地で黄金化するモンスターたち
井戸を覗きに行くと、それよりも先に住人が俺に殺到。
「ラスティ様、ありがとう!!」「水が戻ったよ」「これで普通に生活できるわぁ~」「井戸が使えるようになってよかった」「さすが島国ラルゴの主だ」「やっぱり、水がないと不便だからねえ」「マジで助かった!」
感謝の声が上がっていた。
つまり、井戸は復活したということだ。
直接見るまでもなさそうだな。
「水源は元に戻ったようですね」
「そうだな、スコル。これで水源調査は終了だ」
しかし、まだいろいろ疑問は残っている。
コルキスが原因でなかったのなら、別の誰かが悪さをしていたということだ。
そもそも、山へ入る前に出現したゴールドスライム。
思えばあんなモンスターは、この島国ラルゴにはいなかった。
どこから沸いて出てきたんだ……?
再び城へ戻ると、なぜか門の前にテオドールの姿があった。いつもの錬金術師の衣服に身を包み、黒髪を靡かせていた。
なぜそんなカッコつけてんだか。
「待っていたよ、ラスティ」
「こんなところでどうした?」
「君の帰りを待っていたのさ。おぉ、スコル様もいるのか。都合がいい」
「どうやら長くなりそうだな。中で聞こうか」
「そうだね。広間で話そう」
城内へ向かい、そのまま広間へ。
中へ入るとアルフレッドがすでに紅茶を用意していた。
準備が良いな。いや、良すぎだ。
「おかえりなさいませ、ラスティ様」
「もうセットしてあるのか……」
「気配を感じましたので直ぐに準備をいたしました」
さすが俺の執事。
気配を察知しただけで、ここまでしてくれるとは。
「ありがとうございます、アルフレッドさん」
「いえいえ、スコル様」
まずは紅茶を一杯いただき、そしてテオドールに改めて聞いた。
「それで、話しとは?」
「うむ。困ったことに世界各所のモンスターが“黄金化”しているんだ」
「黄金化……だって?」
ま、まさかゴールドスライムのようなモンスターが続出しているのか。
「ああ、エドゥから報告でね。ドヴォルザーク帝国の世界ギルドでも情報が出回っている」
「そうだったのか」
「冒険者の間でも動揺が広がっていてね。あんなモンスターは強すぎて倒せないと」
あまりの強さに帰らぬ人となった冒険者もいるようだ。
各地でそんなことになっていたとはな。
これは『黄金の聖女』に関わる問題なのだろうか。
「俺にどうしろと」
「君は皇帝だからね。なんとかして欲しい。私の商売もあがったりで困っている」
そんな問題になっていたとはな。
こりゃ、久しぶりに帝国へ戻る必要もありそうだな。
しかし、今はまだ島国ラルゴを見守りたい。
防衛力強化も図らねば。
「解かった。もう少し考える」
「頼むよ、ラスティ。私も喜んで協力するから」
「そりゃ頼もしいな。ぜひ頼む」
「では、私は嫁の元へ」
相変わらず三人の嫁さんと仲良くやっているようだった。
テオドールは広間から去り、入れ替わるようにしてルドミラが。
「ラスティくん! 黄金のモンスターが!」
「お前もかっ」
「え」
どうやら、黄金化したモンスターが増えまくっているみたいだな。一度、エドゥを派遣して調査してもらうか。




