黄金のドラゴンブレス
いつの間にかスコルは『モンスター分析スキル』を習得していたようで、コルキスの詳細が少しだけ判明した。
[コルキス]
[属性:聖]
[種族:ドラゴン]
[詳細]
その全身は本物の黄金である。
万能のアイテム『黄金の林檎』をドロップする。
「……ほとんど情報がないな」
コルキスは“黄金のブレス”を放ってくる。
俺はスコルを抱えたまま回避を続けた。
あれを食らえば全身を金にされるってところだろうか。
地面はどんどん金に染まっているし、アレって本物になったってことか――?
だとしたらマズいな。
状態異常なんてレベルではない。
金の像にされたら、ひとたまりもないぞ。
『――――!』
縦横無尽に飛び回るコルキスは、ブレス攻撃を繰り返してきた。
俺はもちろん、ゲイルチュールを。
――いや、+10覚醒ヴェラチュールに切り替えた。
この槍ならば、あの黄金のボディを貫けるはず!
「ラスティさん、わたしの支援も受けて下さい!」
「ありがとう!」
スコルの支援スキル『キリエ』と『グローリア』によって俺の能力はパワーアップ。これならば……!
『!!』
アルゴナウタイの頂を旋回するコルキス。
なんて動き、なんてスピードだ。
正直、これまでのドラゴンの中で最速だろうな。
そして、永遠と続く“黄金のブレス”は驚異的。ヤツの魔力は底なしか。
「なんだか嫌な予感が」
「スコル。俺から離れるなよ! てか、いっそ“おんぶ”する方がいいかもな!」
「お、おんぶですかっ!」
「その方が動きやすいし」
「で、でもぉ……」
恥ずかしがるスコル。
俺も……緊張で手元が狂うかもしれん。
でも、そんなことを言っている場合でもない。
俺はスコルを強制的におんぶした。
これで動きやすい!
「悪いな」
「……いいんです! がんばってください、ラスティさん!」
次々に放たれるブレスを回避しつつ、俺は+10覚醒ヴェラチュールを投げつけた。
猛スピードで直進する槍は、コルキスの体に命中しそうになったがギリギリで回避された。
「……惜しいな!」
「では、わたしも! ホーリーアーク!」
スコルは右手を翳し、聖属性魔法を放つ。
まばゆい十字の光が一瞬でコルキスに到達するが、ダメージは与えられていない。……おいおい、聖女の攻撃すら通らないのかよ。
なんて防御力だ。
恐らく、物理も魔法防御力もかなり高い。
エドゥが言っていた最強たるゆえんか。
やがてコルキスは地面に降り立ち、俺たちを睨むようにしていた。
なんて迫力!
『…………』
目の前にすると恐ろしいぞ……。
だけど、チャンスでもある。
ここまで距離が縮まったのなら、最大出力で大技を繰り出せば――あるいは。
だから、こそ俺は最強の槍を召喚した。
「これで!! 聖槍グングニル!!」
『…………! マテ』
「へ…………?」
『その槍は……まさかオーディンの』
「は? シャ、シャベッタアアアアア!?」
俺の聖槍グングニルを見るなりコルキスが喋りやがった。てか、知能あったのかよ。まさか対話が可能とは……。
ただのボスモンスターではなかったのか。
「ど、どうなっているんでしょう……」
スコルも困惑していた。
そんな中、ストレルカとシオンも合流を果たした。
……これは、どうしたものか……?




